ふらあそ!

ゲーム好き・漫画アニメ好き・自転車好き・鉄旅好き。インドアだったりアウトドアだったりのふらふら遊び人の日記帳、略してふらあそ!

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第47話「さよなら一番星! プリンセスのめざめ!」感想

(ククク…これで将来スカイランドは我が手中よ…)

 

さて、いよいよ一番星の秘密が明らかになり、物語の事情も粗方判明していよいよ最終決戦だ! となるかと思いきや、あえ? スカイランド陣営(エルレイン)とアンダーグ帝国陣営(カイゼリン)の言っている事、完全に齟齬が生じているぞ!?  どないなってんねん! という内容でした。

正直言うと、これを新年明けの終盤の終盤でやってちゃんとまとめられるのか、性急になりはしないか、少し不安要素ではありますが、まずは整理してみましょう。

 

話の流れとしては、光に包まれ少女の姿になったエルちゃんの元に他のひろプリメンバーも集まりますが、どうやらエルちゃん自身も自分の身に何が起こったか分からない様子。そんな折、夜の帳降りる星空に輝く一番星が人の形を取り始め、エルレインの姿を取って皆の目の前に現れ…という内容でした。

 

一番星=エルレイン側の事情

一気に解明編という感じでしたね。箇条書きしてみましょう。

  • 一番星はエルレインだと確定。彼女は将来スカイランドが災厄に見舞われた時のために自信の力の全てを注ぎ込んでマジェスティクルニクルンを作成、その際に落命して(吐血する描写、その映像を見て慌てるひろプリチーム、というシーンがあった)一番星となりスカイランドを空から見守る存在となった。

  • そして、300年の時をかけて自身の力を少しづつ削ぎながらエルちゃんを誕生させる。厳密には違うかもしれないが、エルちゃんはエルレインの生まれ変わり、という解釈で良いかと。
  • エルレインはクルニクルンの力で過去に飛んだソラ達の事を覚えていた。クルニクルン=エルレインともいえるので断言は出来ないが、やはりソラ達は第44~45話で過去に飛んでいたと考えられる(「久しぶり」とも言っていたしね)。

  • 和平締結後に何があったのかは彼女自身も分からない。最初は友好的(エルレインの誕生日プレゼントのぬいぐるみを渡すカイゼリンとそれを優しい表情で見守るカイザーという描写があった)な関係を築いていたのだが、ある日を境にぷっつりと連絡が途絶えてしまった。エルレインはそれに危機感を抱いてクルニクルン作成を決意した。

  • そして、自身の力のかけらの最後をエルちゃんに託して消滅。かつて自身の愛した国を未来の若者たちに委ねたのね…これにより、エルちゃん=マジェスティは完全状態に。アワーズエンド(技名が実は若干違う)に加えバリア技(マジェスティックベール)まで習得。姿も少女化で固定化と思われたが、空腹になると幼児状態になるという不思議仕様( ´艸`)

 

カイゼリンの事情

  • カイザーは殺された。実行犯はキュアノーブルである(アワーズエンドで切り裂かれる描写があった)。

 

さて、どう考える?

…いやいやいや…完全に双方の言い分が食い違っています。このままでは、どちらかが嘘をついているか、何かしらの誤解があるのか。

現状、情報が多かったのはスカイランド陣営=エルレイン側と言えますが、カイゼリン側はシンプルなだけに嘘を言っているとは考えにくい。已むに已まれぬ事情でカイゼリンの与り知れない状態で彼女の言った行為が行われたのだとしても、エルレインがあそこで嘘(急にアンダーグ帝国との連絡が途絶えた)をついていたとは考えにくい。

そう考えると、双方に誤解を与える様に第三者が動いていた? 仮にそうだとしても、今の段階で伏線は見当たらないし、今まで出てきた登場人物に300年前に関わる人物はスキアヘッドぐらい。

そのスキアヘッドにしても、今回はミラーパッドバリアを破るために最期の出陣をしており、とうとう彼の力を上回ったスカイとマジェスティを道ずれに自爆攻撃をして消滅してしまっています。

彼が信頼されているであろう自身の死を演出してカイゼリンを煽ったように仕向けた、とも取れますが、マジェスティの新技・マジェスティベールの前に自爆攻撃すら通用しなかったことに「力がないとはかくも惨めなものなのか」カイゼリンをこれ以上守れない事への嘆きを口にしながら消滅した辺り、スキアヘッドのカイゼリンに対する敬愛・忠誠が偽物だとはちょっと思えないんですよね。

他の登場人物にしても、スキアヘッド以外の幹部達に黒幕が務まる様なものは存在しませんし、スカイランド陣営でも王族、青の護衛団関係、ヨヨさんですら少なくともエルレイン存命時代からの長命者がいるとは考えにくい。だとすれば、第三者的な裏ボス? 仮にそうだとしても、ぽっと出感が半端ないけど…ま、次回に期待するしかないのでしょう。引っ張るな―。

この話は解明編的な色が強く、筆者自身の感想としてはあまりなかった回なのですが、個人的にはエルレインが現在の王と王女につらい役目を背負わせて済まなかったと口にしたのは凄い好印象でした。

エルちゃんを預ける際に非情の言葉を(「エルちゃん育成を拒むなら他の適合者を探すまでだ」)掛けていましたが、実際は彼ら以外に預ける気はなかったんじゃないですかね。そして、エルレイン消滅の件を王族に報告し、エルちゃんが事が全て終わったら再び彼らの娘として帰ってきてもいいか、と声をかけたのもすごく良かった。

これはエルちゃん的には当然とも取れますが、エルレインの力をすべて引き継いだエルちゃんが言った、という事に凄く意味があった様に思えたんですよね。だって、エルレインの父母の姿って結局一切出てなかったんですもん…その上での「ありがとう」だったとすれば…*1

 

次回はスキアヘッドまで失ったカイゼリンが大暴れするみたいですが…青の護衛団、そしてキュアウィングが活躍しそう。どのように料理するのか見守りましょう。1月入ってもこんなにハラハラするのは結構久しぶりかも。

 

今週のひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

これさ表情も相まって煽っている様にしか見えないんだけど!( ´艸`)

 

そして、毎年恒例! 次回作「わんだふるぷりきゅあ」の番宣が入りましたね。少し調べてみましたが、犬が人間態になっての主人公なんですね。…うーん、正直、動物と人間の感情を同一視するかどうか、というのは個人的には結構難しいテーマだと思うので、ちょっと不安要素ありますね。中の人に旬尚且つ実力派を擁しているので演技力には問題ない&カバーしてくれるとは思いますが…率直な感想としては少し変化球狙い過ぎでは? です。まあ、その辺りは2月に入ってからでいいでしょう。キャラデザインは相も変らぬ可愛さですし、ここ近年、かわいい系多いなー、プリキュアシリーズ。

 

-------------------

 

*2024/1/12:一部加筆しました。

*1:もしエルレインにネガティブがあるとすれば、カイゼリンに対する親子関係への羨望、というのが考えられる(断定はもちろんできないが)。エルレインがプリキュア化した際に、彼女が知らない所でダークエルレインみたいなのが誕生していて暗躍していたとか? 彼女のプリキュア化は若干唐突感があったし相当の負担があったのでは? 今思い返すと、ひろプリチームはエルちゃん=エルレインから力を分けてもらってプリキュア化したニュアンスにも見えるしね。

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第46話「ヒーローたちのクリスマス」感想

悪いなのび太ツバサ、このソリ、四人乗りなんだ。

 

さて、クリスマス回という事で完全な息抜き回でしたね。変身シーンこそありましたが敵の襲来もなく嵐の前の静けさ、と言った所でしょうか。来年からは怒涛の展開が待っていそうです。

 

話の流れとしては、とうとうツバサの研究が実を結び、ミラーパッドバリアと呼ばれるスカイランド城下町をアンダーグエナジーから守る結界が展開される事になりました。いずれ攻めてくるであろうアンダーグ帝国に備えて、近隣の住民は城下町に次々避難してくるのですが、時期はちょうどクリスマス。スカイランドではスリクマスという名で似た行事がある様子。

戦時である事も相まって、せめてクリスマスパーティーをして国民の不安を払拭できないかと考えるひろプリチーム。最初こそ今はそんな雰囲気ではないのでは? という方向性でしたが、エルちゃんの鶴の一声で開催の方向に。

着々と準備を進めるひろプリチームでしたが、そんな所にシャララから極秘任務を彼女らは頼まれて…というものです。

 

という訳で、上でも書いた様に完全なオマケ回でした。敵の襲来もなかった訳ですが、これは冒頭でミラーパッドバリアが発動した事で理由付けになっていましたね。

正直、このバリアがどの程度の能力を持っているのかは分かりませんが、そもそも内側にワープゲートを開かれれば無意味となってしまいます。が、このバリアはアンダーグエナジーを弾き、それ以外は素通しするという優秀なものであり、アンダーグエナジーの能力であるワープゲートにも効果を発揮するかもしれません。そもそも、障壁の対象が城下町のみなので、いざとなれば青の護衛団なりにワープゲートを警戒させる手もありますしね。先回にはこのバリアはスキアヘッドも警戒している発言をしていましたので、かなりの有効性があるものだと思われます。

筆者は正直、このバリアの話が出た時に最終的にバリアに閉ざされたスカイランドと地上世界が完全分断される=地上組とスカイランド組の別れに発展するのかな? と考えていたのですが、カイゼリンの登場や今話でのバリアの仕様が判明した段階でこの流れはとりあえずはなさそうですね。

 

後半はターサンという地上世界で言う所のサンタさんの役割を与えられている鳥族を助ける事になるのですが、ひろプリチームは彼らが子供たちに贈り物をする理由「子供らの笑顔が自分たちにとって何よりのプレゼントだから」に感銘、彼の手伝いをしながら、スカイランドの民たちの笑顔を守る、この平和のひと時こそが自分たちの護りたいものなのである、と決意を新たにしました。

これは中々メッセージ性がありますね。昨今の世界情勢を鑑みた時に、今クリスマスに限らず平穏に生活できていることの大切さ、そして、それがいつ壊されるか分からない怖さ、自分たちには何が出来るのか。色々考えさせられます。でも、まずはその平和を享受する、でもいいと思うのですよね。その上で何故その平和が保たれているのかを個人で考える。アプローチの仕方こそ違いますが、考える余地を残す、というやり方は先日終了したオトナプリキュアと基本は変わりません。

 

最後の場面ではお互いに同じクリスマスプレゼント渡しあうソラとましろの目の前で成長したエルちゃんが淡い光に包まれながら現れ…と言った所で幕となりましたが、早速物語が大きく動く予兆を残して今年分の放送は終わりました。

 

次回はいよいよ一番星の謎が詳らかになりそうですね。そして、それに伴ってカイゼリンの事情と、和平締結後に何があったかのかも判明するかもしれません。目が離せないですよね。こういう引きは上手いなー。

 

今週のひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

うーん、これはすでに女帝の貫禄!

 

-------------------

【アニメ】キボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜総評

前番組がスポンジボブというところが二重に嬉しかった(笑)いや、好きなんだよね、所謂一つのアメリカンジョークってヤツ。プリキュアの前にゲラゲラ笑って準備運動するという。*1

 

さて、先日終了したキボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜ですが、タイトルでは総評と銘打っていますが、少し雑感めいた形で纏めてみたいと思います。

 

まず、とても良くまとまっていましたね。前半部では各々成人した5GOGO、SS組の葛藤や精神的な成長を変身を絡めて描き、後半部は主人公たちの住む町で起きている怪奇事件・シャドウ騒動の黒幕に迫りつつ往年のプリキュアのテーマである夢を諦めない事や意志を貫く事を描きながら締める。

最後に出てきた初代や準レギュラーで出てきた星野夫妻、満と薫、ブンビーさんももちろんいいスパイス。

最後にはささやかながらも人間に対する驕りに対する警告を滲ませながらも、原作当時からやきもきさせられていたのぞみとココが正式に結ばれる、というフィナーレ。いきものがかりさんのOPテーマ曲も出来が素晴らしく、一言で言い表すならば1クールで最大限の力を発揮したファンサービス作品といった感じでした。

敢えて言うならば、最終盤が初代が出てきたことも含めて、オールスター映画のノリになってしまい既視感のあるものになってしまったのが惜しかったかな、とは思いましたが、これだけの登場人物を出しながら1クールでプリキュア的に締めるとなれば、この流れしかなかった気もしますし、大きな問題点ではないと感じます。

 

テーマは大きく分けて三つ。

一つは大人になった故の各人の事情。各々良く考えられたものであり、特に他人が絡むことによりままならない事が増える様を良く表していました。これはかれんの気難しい患者への対応や、くるみが受けたパワハラ、舞の失恋など、なかなか思い切った展開が多くSNSでも度々言及されていましたが胸に刺さる場面が多かったです。

個人的に舞を振った男は理解に苦しみましたが( ´艸`)世の理不尽という少女時代とは全く質の異なる敵と戦わされる各メンバーというのはオトナプリキュアの名を冠するに相応しく、よく練ったな、と感心させられました。

二つ目は未来への指標と少年少女時代の夢を忘れないように、という製作者側からのメッセージですかね。各々が自分たちの道を歩むべく一歩成長した姿が描かれましたが、これは取りも直さず、かつての少女時代の夢を思い出す事で、タイムフラワーとの同調での変身があったからこそだと感じました。

考えてみると今回出たメンバーは皆、少女時代に描いた夢を叶えてはいるのですが、色々な事情で行き詰っており、今作はその殻を破るストーリーになっていましたね。特に驚いたのはくるみで、人間世界でのOL生活を良しとせず、故郷のパルミエ王国に帰還し総理大臣を目指す事を宣言するというなかなかのぶっ飛び具合でした。咲が本格的な修行に向けてパリに飛び立つのも良かった。

三つめはやはりSDGs関連ですかね。筆者はこれについては否定的、というかこれが正解とは分からないのにごり押ししている感があるのが鼻につくのですが、確かに所々に食べかけの食べ物を遠慮なく捨てる人々や、余った商品を廃棄、自然を破壊しての開発などのメッセージ性を含めた場面が多々ありましたが、今作ではあくまでもメインテーマには据えず、必要最低限にとどめて、各視聴者の考え方に委ねていたので、胸をなでおろしていました。

このテーマはヒープリの最終回でも取り上げられましたが、当該記事でも書きましたが、あれはいきなりのその話題が出た上に、そもそも正解のない問答に終始した感が否めなく、最後に取り扱うにはちょっとな、と思っていたのですが、今作は所々にシーンを差し挟む程度には演出しつつ、最後の場面でも未来の人間に対する警告、しかし後は自分の頭で考えろ、的な内容で終わっていたためそこまで悪くはなかった、というのが筆者の考えです。むしろ、これをメインに据えられて思想的な内容をやられたりする方が苦しかったと思います。ヒープリ最終回の記事でも書きましたが、答えのないテーマなんですから。

furafuraasobinin.hatenablog.com

 

 

プリキュア20周年という事もあっての特別企画だった訳ですが、1クールアニメとして良く出来ていたと思いますし、大人になった各キャラクターの美人具合や存外アダルティなテーマを取り扱ったことも相まって楽しく視聴する事が出来ました。個人事情で言うなら、いつもこの時間帯に視聴していたチャリダーと完全バッチングしてしまっていたのがツラかったかな?( ´艸`)

20周年企画の第二弾として魔法使いプリキュアの後日談も予定されているようですし、今作の様なクオリティで制作されるのならば期待大ですかね。

 

オトナプリキュアをかいつまんでナナメからバッサリ

いや、ホントに前半から中盤は酒クズプリキュアでワロタ。でもその女子会に参加できるブンビーさんには嫉妬(# ゚Д゚)

 

-------------------

 

 

*1:正確には車の擬人化アニメが前番組だが、あれってショートなのよな。

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第44~45話雑感

300年っていう事は…つまり、バ、ババア! だよん(ゴクリ)

 

ふうう~。怒涛の二週間でしたね。

最近シリーズでも恒例になりつつある、過去に飛んで「事件の発端を知る事になる」だった訳ですが、二話かけてじっくり描いた上に謎はかえって深まったという、なかなか面白い展開となりました。

 

まずはあらすじから

アンダーグ帝国襲来の可能性があるワープゲート反応がスカイランドで発生した報を受けたひろプリチームは急ぎ現場に急行します。

しかし到着した彼女らを待っていたのは、一人の女性。黒い衣装に身を包んだ彼女はカイゼリン=アンダーグと名乗り、300年前の復讐と涙の上に成立しているスカイランドを滅ぼす、と宣言。彼女は一瞬で町中に複数のランボーグを召喚できることを盾にひろプリチームに最大浄化技を撃ってくるように促します。

それに応えるひろプリチームでしたが、カイゼリンの力は凄まじくプリキュアマジェスティックハレーションを以てしても敗北。全員変身解除され、絶体絶命のピンチにエルちゃんに憎しみの目を向けるカイゼリン。幼子のエルちゃんを容赦なく手に掛けようとしたところで突如、時間が停止し同時にマジェスティクルニクルンが光を放ち始めます。その光はソラ、ましろ、エルちゃんを飲み込み、彼女らは…300年前のスカイランドへとタイムスリップしてしまい、そこで偶然にも当時の女王・エルレインと邂逅を果たしました。

自分と似た名前を持つエルちゃんとその一行であるソラ達をエルレインは気に入り、賓客としてもてなしますが、どうもプリキュアの伝説も名前も知らない様子で、しかしスカイランドを思う気持ちは誰にも負けない彼女の高貴さにソラ達は好感を覚えます。

しかし、その日の夜、アンダーグ帝国の王、カイザースカイランドに侵入。突如としてスカイランド城下町への侵攻を多数のランボーグを用いて開始します。

たちまち町はパニックになり、変身できないひろプリチームの必死の誘導もあって生き残った人民たちは郊外に退避。一夜にして占拠されてしまったスカイランドを目の当たりにしたエルレインは、空を望む丘で祈りを捧げます。彼女の真摯な願いは通じ、エルレインはまばゆい光に包まれ、伝説の戦士・キュアノーブルへと変身を果たしました…ソラ達はヨヨさんから聞いた伝説を己の目に刻み込む事となったのです。(第44話)

それからしばらくの間、スカイランド陣営=キュアノーブルとアンダーグ帝国との戦いは拮抗状態にありました。キュアノーブルの浄化能力にランボーグでは抗しきれないものの、周辺の村々は破壊され人民たちは疲弊するばかり…しかし、その戦いを憂いの目で見ている者がいました。

彼女の名はカイゼリン=アンダーグ。アンダーグ帝国王カイザーの愛娘です。彼女の隣には教育係としてスキアヘッドの姿も…

彼女は「争いから生み出すものは涙でしかない」という反戦主義者であり、父親の侵略での自国防衛に疑問を抱いていました。戦時のスカイランドをあてもなく歩いていたところを鳥族のチンピラに絡まれた事をきっかけに偶然出会う事になったエルレインと会話する事になった彼女は、エルレインが力が全てではない、という考えを持っている事を知り自らの身分を明かし、父親の助命と講和を持ち掛けます。

愛娘の説得に折れたカイザーはエルレインとの講和の話し合いを誰もいない草原で実現させますが、彼は同席したカイゼリンをアンダーグエナジーのバリアに閉じ込めて口出しできない状態にした後、約束を反故。スキアヘッドを使い、町中でランボーグを暴れさせます。

ここまでされても、お前は私を許せるのか? 和平を望めるのか? と問うカイザーについに怒りを爆発させたエルレインはキュアノーブルに変身、「それが力だ」と満足げに嗤うカイザーと一騎打ちを開始。

スカイランド城下ではひろプリチームが必死の避難誘導をしていました。エルレインからカイゼリンからの申し出の事を聞いていた彼女らは、このランボーグ襲撃に疑問を抱きながらも自分たちが為すべきことに集中します。

一方、平原では戦いはクライマックスに。キュアノーブルの怒りは凄まじく、取り巻きのランボーグを次々と撃破しカイザーに肉薄します。そして、必殺技・プリキュアマジックアワーズエンド(以下、アワーズエンドで統一)をカイザーに放ちますが、その直前、カイゼリンはバリアを自力で突破、父親を庇ってアワーズエンドを一身に浴びてしまいました。

余りの出来事に、泣き崩れるカイザーにショックを受けてへたり込むキュアノーブル。そんな二人に、カイゼリンは「こんな力がない私でも父を守れた。これは強さではありませんか?」と問いかけます。

愛娘を傷つけてしまった事で自身の正義に疑問を持ち始めたカイザーに、怒りで我を忘れて戦ってしまった事を後悔したキュアノーブルは一つの提案をします。

アンダーグエナジーで彼女の傷を塞いで助ける事は出来ないか、と。

アンダーグエナジーにそんな力はない、と被りを振るカイザーでしたが、キュアノーブルは今の貴方なら出来る、と声をかけ…

夜が明け始め、突如ランボーグたちが姿を消しはじめ、何とか生き延びる事が出来た国民たちは、意識が戻ったカイゼリンを抱きかかえたカイザーとエルレインが帰還してくる所を目撃します。そして、エルレインは国民たちの前で宣言します。アンダーグ帝国と和平を結ぶ、と。

スカイランドに平和をもたらしたのはカイゼリンだった。彼女の純粋な優しさが二国間の衝突を防いだ。その歴史的場面を見た瞬間、ソラ達の姿がその場から消滅。

次にソラ達の目前に飛び込んだのは凍った時の中でエルちゃんにとどめを刺そうとしているカイゼリンの姿。

決意を新たにするソラ。時間が動き出したと同時にエルちゃんを間一髪で救い出し、手早くあげはやツバサに事情を説明しながら再変身。ソラやましろは自身が今し方体験した事をカイゼリンに話しますが、彼女は和平が為った際のエルレインの言葉「夜と朝の間、美しい瞬間に」ましろが発した事で激昂、再びアンダーグエナジーによる極大攻撃を行います。しかし、エルレインの決意、カイゼリンの優しき過去の姿をみたキュアスカイは彼女の黙れという言葉に黙りませんと返し、かつてのカイザーやエルレインが犯した過ちを彼女も犯そうとしている事を止めようとマジェスティックハレーション発動。押し切る直前でスキアヘッドが彼女を守る様にその力を相殺し、かつての傷が開いた彼女を庇う様に撤退。

とりあえずの危機を回避し佇むキュアスカイに、次に会った時にまた話し合えばいい、とキュアマジェスティが寄り添う、と言った所で幕となりました。

 

ダイジェストとはいえ、二話分丸々のあらすじは長かったですね。結構「おや?」と思った点も多かったので順番に見ていきたいと思います。

 

アンダーグ帝国全体について

ここにきて元凶が出現しましたね。カイゼリンの父親、300年前にアンダーグ帝国の王として君臨していたカイザーです。

さて、このアンダーグ帝国、詳しく語られたわけではありませんが、どうも元々弱肉強食主義の侵略国家らしく、その臣民も「アンダーグエナジーの海」と呼ばれるアンダーグ帝国のどこかにあるエネルギーの吹き溜まりみたいな場所から誕生するようです。

そうなると、カイゼリンがカイザーの娘というのは納得できない部分もありますが、まあ“海”からの発生とは別の生殖方法があるのか、若しくは海から自分の子供を生み出す法でもあるのか、それは良く分かりません。

注目したいのは、カイザーの侵攻の目的が「自衛」である点です。彼曰く、スカイランドがいずれワープゲート技術を入手してしまえばアンダーグ帝国は必ず侵略される。だから、やられる前にやれ、の理屈で侵攻を正当化しています。

…なんですが、彼自身が何回も「強さは正義であり、弱さは罪である」と豪語しており、更にはぱっと見とはいえ、スカイランド側には版図を広げる野心が垣間見えないんですよね。つまり、侵略行為の体のいい言い訳に見えるんです。

それでも、娘に対する愛情は本物らしく、自分を庇って瀕死の重傷を負った際には落涙しながら狼狽えており、またカイゼリンもエルレインに真っ先の父親の助命を嘆願している所から、親子仲そのものは悪くなかったと考えられます。ならば、いずれ自身を継ぐであろう娘に盤石の帝国を築いておきたかった、というのも理解できなくはありません。

しかし、問題は侵略という方法もさることながら、完全に和平交渉を反故にしたりこの物語の元凶である可能性が高い点。しかも、過去に飛ばされたソラ達は和平締結の瞬間に姿を消してしまったため、実はその後が分からずじまいです。当然その後も存命だったのでしょうから、これからの物語に参入してくる可能性もある。

ぶっちゃけ、彼がラスボスの線も否定できなくなりました。*1

更に、スキアヘッドがカイゼリンの教育係として仕えていた事も判明。これで、彼がカイゼリンに対して敬愛の念を表しているのが繋がりましたが、彼は300年前でも「力こそすべて」という考え方は変わってはおらず、カイゼリンがそこに影響を受けていなかったのかはちょっと分からずじまいでした。

ただ、カイゼリンを戦場に連れてきた事をカイザーに叱責されていたり、そもそも武官ではなく文官的な扱われ方をされていた点といい、当時の彼の処遇はあまり良いものではなかったことが読み取れます。だからこそ、今の段階においても無駄な努力(に見える)をしていたバッタモンダーを見てイラついたり、弱肉強食主義を徹底的に貫いたりしているのかもしれませんね。

尤も、武力はともかく、300年前の城下町に大量のランボーグ召喚の任務を一任されており、一定の評価は受けていたものだとは思われます。

そこだけ考えると、彼が黒幕、という線も捨てきれませんが、カイゼリンに対する敬愛は本物だと思われますので、現段階では考えにくいかなあ、というのが筆者の感想ではありますね。

 

カイゼリンという少女

聖女でしたねえ…300年前は。

実際、スカイランドとアンダーグ帝国との戦争を終わらせ、和平にもっていったのは彼女の功績です。カイザーは言わずもがな、エルレイン=キュアノーブルの功績もそれほど大きなものではありません。

特に自身を犠牲にして父親を庇った上に、彼と戦ったキュアノーブルを一切責めることなく、消えゆく命の中で自分でも役に立てた事を微笑むという…ちょっとローフル過ぎて、割とぽっと出キャラだったにも拘らず、かなり胸に来る展開だったと思います。

それだけに、300年後、現代の彼女とのギャップが凄まじい。

スカイランドの滅亡を望み、強大なアンダーグエナジーを操り、赤ちゃん状態のエルちゃんであろうと容赦なく手を掛けようとする。

いくら300年の時があったとしても豹変し過ぎです。

いくつか考えられることがありますが、まず真っ先に考え付くのが、和平締結後にスカイランド陣営から手酷い裏切りがあった可能性です。第44話終了段階で、父親が殺害されたので逆恨みしたのでは? という推測が飛びましたが、第45話終了段階でその可能性は否定されました。しかし、彼女は「スカイランドは涙の上に成立している」と憎しみを向ける理由を語っています。これをどう捉えるか。*2

次に気になったのが彼女の延命方法です。致命傷だった傷をアンダーグエナジーで塞ぐ、という方法だったのですが…

あれれれれ~? どっかで聞いたことがあるぞ~(CV:高山み〇み)

そう、これってバッタモンダーがシャララ隊長に施した延命策とそっくりなんですよね。しかも、この延命法は上でも書いた様にアンダーグエナジー使用史上初の試みだったと思われます。バッタモンダー如きが知っていたという事は、アンダーグ帝国ではこれ以降、技術として伝えられていた可能性もある訳ですね。

さて、アンダーグエナジーを注がれたシャララはその影響でランボーグとなり果てました。最終的には助かったものの*3酷い副作用です。スカイランド人とアンダーグ人という差はあるでしょうが、カイゼリンが和平後にアンダーグエナジーに汚染され歪んでしまったという線は考えられる。場合によってはランボーグ化してキュアノーブルと対峙する羽目になったとか? ただ、回復直後の彼女は今までと変わらない状態ではあったのですが。

以前、スキアヘッドは別の思惑があるのでは? と筆者は記事に書きましたが、ひょとしたら、カイゼリンを助ける一手をひろプリチームが担えるかも…と考えているのかもしれません。実際、ひろプリチームはシャララでの実績がありますし、彼女らをパワーアップさせる必要性にも一応の説明はつく。ただ、彼は昔から(少なくとも表面上は)弱肉強食主義者ですし、そうすると、今度は序盤から中盤にエルちゃんを狙っていた事と説明がつかない。それとも、最初はエルちゃんを利用してカイゼリンを元に戻そうとしたが、ひろプリチームの回復術を見て考えが変わった? 実際、44話でエルちゃんをカイゼリンは手に掛けようとしていたわけですし。ただ、あの癒しの力はミックスパレットの一能力に過ぎないんですけどね…

最後に考えられるのが、今のカイゼリンと300年前のカイゼリンは別人説。これも様々な解釈があると思いますが、中身がカイザーであったり、偽物や擬態であったり、何かの意思に乗っ取られていたり(この場合もスキアヘッドが彼女を救おうとする理由になる)、単純ですが、あまりの豹変ぶりを考慮すると、ないとは言えない路線だと思われます。ただ、300年前にアワーズエンドで受けた傷は完治していない様なので、肉体は少なくとも彼女のもので間違いはなさそうです。ついでに言うと、現在版の衣装がキュアスカイが反転したようなデザイン(片マント等)なのも気に掛かります。

以上、3つほど推論をつらつらと書きましたが、和平締結後の話は最終決戦の流れで出てくるのはほぼ確実でしょうから、後は終盤の流れを見るしかないのでしょうね。

 

エルレインとエルちゃんの関連性

パーソナルカラーが同じ紫、変身の口上がほぼ同じなど、転生体、少なくとも血縁者である可能性が濃いのですが、明言はされませんでした。

筆者的にはエルレイン=キュアノーブルは必殺技・プリキュアマジックアワーズエンドを持っているのに対してキュアマジェスティは単独技を持っていないのがヒントかなあ、と思っています。

意識的に記事を書いているのですが、アワーズエンドは「必殺技」です。「浄化技」ではない。*4現実としてアンダーグの民とはいえカイゼリンに致命傷を与えてしまっています。実際、この技でカイゼリンを傷つけてしまったことにキュアノーブルは相当なショックを受けており、以降、この技を封印した事は十分に考えられます。そして、その封印(若しくは無意識下での記憶)はキュアマジェスティに引き継がれている、という可能性。

逆から言えば、この封印が何らしかの事情で破られた暁には、アワーズエンドをキュアマジェスティが放つというのも考えられますね。その時には浄化技として昇華していればムネアツ展開なんだけどなあ。

ところで、エルちゃんが深く関係する話にも関わらず、一番星がこの2話通じて名前すらも出てきませんでした。どうも、この一番星に関しては筆者は疑念を払拭しきれていないので、これまた最終盤で関わってくるのか注視したいと思っています。

カイゼリンが捕縛から殺意にエルちゃんに対しての接し方が変わった事といい、何かエルレインとエルちゃん関係はまだ裏がある様な気もするので、注目したいですね。

 

マジェスティクルニクルンの思惑

実はこの二話中で一番気になったのがこの点です。この本が見せた過去、腑に落ちない点がいくつもある。

まずそもそもこれはソラ達を実際に過去に飛ばしたのか、あくまでも追体験の様な形で映像を見せただけなのか。筆者的には前者だと思っているのですが、その理由として、ソラ達が街の復興を手伝っている際に、どうもスカイランド神拳はソラが発祥、ヤーキターイ発祥がましろである事を匂わせる演出があった事です。

更に、エルレインは未来から来たソラ達の言う事を信じ、未来のスカイランドの様子を尋ねてそれが希望に満ちているものだとして安堵しています。これは推論なのですが、この出会いがあったからこそ、マジェスティクルニクルンがあった遺跡には、キュアマジェスティの周囲に4人のプリキュアがいる事を示唆するレリーフを彫り込んであったのでは? と思われます。ソラ達がどの程度の期間過去のスカイランドに飛んでいたのかは不明でしたが、結構な時間が経過していた描写があり、そこでエルレインと未来の様々な事を語り合っていた猶予は十分あったと思われます。だとすれば、マジェスティクルニクルンの遺跡そのものがエルレインが未来に託した遺産である可能性がある訳です。

逆説的に、だからこそ、過去に飛ばされたのはソラ、ましろ、エルちゃんだったのにもある程度納得は出来ます。逆にツバサとあげはを下手に干渉させれば歴史が変わってしまう可能性がある。*5

しかし、そうなるとソラ達に過去を中途半端に見せたのが今度は謎になります。ありのままの感想を言わせてもらえれば、和平締結後にスカイランド陣営にとって見せたくない不都合な事実があったとしか思えない。その場合、カイゼリン関連をわざわざ見せておきながら? という事になってしまいますが、これを現在のカイゼリンとの関連性そのものは低い、と取るか、エルレインの意思が強く働いているのか、はたまたクルニクルンも力の限界があそこで来たのかは現状何とも言えません。ただ、一つ考えなくてはならないのは、300年前のカイゼリンの人となりは、視聴者視点では十分分かっていても、実はソラ達にはそこまで伝わってはいない、という事。エルレインから聞いていただけで、和平締結宣言の時に少し見ただけに過ぎないんですよね。…メタな話をするならば、視聴者視点はクルニクルンの力でソラ達も視ていた可能性は否定できませんけど。

他にも、ヨヨさんが語った伝説が微妙に食い違っていたり(姫の祈りに応えてプリキュアが現れた、とされているが、実際は姫自身がプリキュアとなった)、上でも書いた様に一番星関連が一切出てこなかったり、現在のカイゼリンの憎しみの感情の事も考慮すると、どうしても隠している事がある様に思えてならないんですよね。

そもそも論で言えば、マジェスティクルニクルンそのものが謎のアイテムです。上でも書いた様に、エルちゃん…というよりはキュアマジェスティ専用アイテムである事に加えて、浄化技を放つ起動キーという性質から、エルレインが遺してくれた遺産である可能性は高いと思いますが、それも確定要素ではない。エルレインとエルちゃんの関連性もクルニクルンは示唆してはくれませんでしたしね。

 

という訳で、あらましこそ分かれど、謎はかえって深まった、という筆者的には俄然面白い展開となってきました。正直言うと、ここ最近は少々退屈な展開が多かったかな、と思っていた所なので一気にモチベーション上がったかも。

 

次回はクリスマス回みたいですね。スカイランドにクリスマス文化を持ち込むのかしらん? ハードな展開から一呼吸、そして年始から怒涛の最終局面と予想されますので期待するしかありませんね!

 

ここまでのひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

たださあ…ここまで書いといてなんだけど、エルレインの中の人って一番星と同じなんだよね…そうなると、王と王女に非情の言葉を投げかけたのも彼女…!? ちょっと考えにくいんだけど、果たして!?

 

(2023/12/25追記)ここからは妄想なので、あえて隠しで書くけど、ひょっとして何らかの事情でエルちゃんの体→エルレインの肉体(若しくは転生体)、魂→カイゼリン、エルレインの魂→一番星、現在の黒カイゼリンの肉体→300年前当時のもの、中身→別の人格(カイザーとか別の黒幕とか)、とかないかな? その場合、カイゼリンの冒頭の「300年待った」の解釈が難しいけど…300年前のカイゼリンイコールエルちゃんだと妙に納得できるんだよな…だからこそ、黒カイゼリンは最初はエルちゃんの肉体を狙ったし、復活がなった今は近い存在故の憎悪になっているとか? まあ、来週には判明すると思われるので期待かな。多分救いと和解の物語(第46話でのあげはの園児に対する手紙等から)になると思われるので、違うとは思うが。まあ妄想妄想( ´艸`)

-------------------

 

*1:これに関しては自分がかつて参加したTRPGのキャンペーンで、敵の強大な女王の背後に伏線ありで父親がいた挙句そいつがラスボスになった、というのを経験した事があるので、余計そう感じるのかも。

*2:この裏切りは当然エルレインが関わっていなくても成立する、が…彼女は国の安寧を第一に考える主義だという事は一考しなければならない。

*3:実は、シャララは本当にアンダーグエナジーの影響を完全に除去できたのか? と筆者は疑っているのだが。

*4:ただし、これについてはカイゼリンがアンダーグの民だから浄化=ダメージになった、アワーズエンドは術者の意思で物理破壊系に切り替えられる等様々な解釈は可能

*5:特にツバサが300年前にバリア技術を持ち込めば歴史が大狂いしかねない。

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第40~43話雑感

そのスタイルでそれを言うのか…あー、許せない。これは許せない発言ですわー(虚ろな目)

 

さて、今期間では敵味方、様々な事情や思惑が入り乱れながら終盤に突入する流れになりました。次回はエルちゃん絡みで大きく話が動く可能性が大なので、そこまでに懸念材料を粗方消化したようなイメージでしたね。

 

敵側の事情について

やはり目玉と言えば、バッタモンダーの正式退場でしょうか。このお話(第43話)があったために更新が遅れたほどです。まあ、物理的に退場、という訳ではなかったので最終決戦辺りでひょっこり出てくるかもしれませんが。同じく和解したミノトンは「受けた恩はいつか返す」と言っていたぐらいですし、敵幹部、最後に助力してくれるフラグじゃないかなー。

さてそのバッタモンダーなのですが、41話と43話でがっつりとましろに絡みました。バッタモンダーは嫌がらせレベルとはいえ、ひろプリチームへの復讐を諦めてはいなかった*1のですが、彼の正体に気が付いていないましろが、バッタモンダーが自身を卑下して揶揄した落ち葉が好きであるという事と理由を聞いて迷いが生じ始めます。しかし、43話で再度紋田と出会ったましろは落ち葉を題材にした絵本のアドバイスを求め、ついに我慢できなくなり感情を爆発させてしまった紋田=バッタモンダーは正体を現し、彼女のペンを奪って逃走する…という内容でした。

そこからはそのあらましを見ていた(と思われる)スキアヘッドに怪物になって心をなくした状態でアンダーグ帝国に最期の奉公をするか、今この場で殺されるかの二択を迫られ、前者を選択するものの、今までのましろとのやり取りやスキアヘッドに散々無価値だと罵られた事、そして、ひろプリチームと対峙した際のましろの「自分の価値は自分で決めるんだよ、他人が決める物じゃない」という言葉を承けて、とうとう離反。その後は我を忘れての暴走状態になったものの、ひろプリチームの浄化技が決まり、憎まれ口を叩きながらも和解という流れとなりました。

第41話では、アンダーグ帝国内ではあまりいい扱いを受けていなかった事も語られており(恵体ではないにも関わらず過剰な筋トレを課せられ音を上げていた)、強さへの執着、諦観、汚い手段を使う事の躊躇のなさと、嗜虐的思考、そしてビビりの根本、すべて一本の線でつながっていました。

でもね。

それでも、彼がシャララに行った行為と、ソラにした仕打ちは消えないんですよ。第43話のラスト和解後に、ましろにだけ聞こえる声で彼女の絵本の下書きを破ってしまったことを謝罪するシーンがありましたが、彼が本来謝罪し許しを請わなければならないのはシャララとソラでしょうに。確かに彼がシャララにアンダーグエナジーで延命した事は結果的には彼女を救う事になりましたし、ソラも何も失わずには済んだ。しかし、それは結果論です。少なくともあの当時のバッタモンダーにそういう意図はなかったどころか、悪意を以て利用しただけなのですから。

前回の記事で、筆者はバッタモンダーの悪事をましろの優しさで上書きしようとしているのでは? と評しましたが、どうやらその通りになってしまいました。

個人的に、この一連のバッタモンダー問題はこの作品の評価に大きな波紋を投げかけたというか、うーん、これは総評でまとめた方がいいかな? かなりのネガティブポイントになった、と個人的には思っています。

ひとこと言わせてもらえば、ソラが和解の憎まれ口を叩いていたバッタモンダーに「反省しているならそれでいいです」と言ったのは流石に頭痛かったです。もちろん、ソラが狭量な人物ではない事は百も承知ですが、そうなると今度は、あれ? 彼女のシャララに対する想いはその程度だったの? ってなってしまう。

許容するにしても

これぐらいはやってほしかったかな、というのが率直な感想でした。*2

もう一人の幹部・スキアヘッドは相変わらずひろプリチームをストーキングしながらキョーボーグを呼びだしては撤退を繰り返すに終始していますが、第41話~42話で面白い動きを見せました。

事の発端は第41話。キョーボーグの浄化後、覗き見をしていた紋田をスキアヘッドが発見、始末しようとするのですが、その様子を見てキュアスカイが激昂「何故、そんなひどいことするばかりするのか」と直情的に殴り掛かかります。その攻撃を捌きながらスキアヘッドは愛する人がそれを望んでいるから」と意外な返答をするのです。

それを聞いて躊躇ってしまったキュアスカイはキュアウィングの機転で致命攻撃を免れるものの、スキアヘッドには未熟扱いされ、彼女に戦う意味を懊悩させる結果となりました。

さて、ではスキアヘッドの「愛する者」とは何なんでしょうか? もちろん現段階では分かろうはずもありませんが、これが忠誠を示しているアンダーグ女王=カイゼリンを指すのか、別の何かを指すのか、愛すると言っても、性愛なのか、情愛なのか、敬愛なのか、で結構変わっては来ると考えられます。どちらにしても、彼が何らかの思惑で動いているのはほぼ確定にはなりましたね。

更に、バッタモンダーと接触した際には、彼の過去を振り返り、訓練でもすぐに音を上げる彼を前々から気に入らなかったらしく、挙句にプリキュア討伐やエル奪還にも失敗している彼を価値なしと断じ、すぐさま始末しようとするなど、結局アンダーグ帝国特有の弱肉強食主義者である事は変わらないんですよね。と言うより、その主義が一番徹底されていると思われます。

そんな無感情で非情な彼ですが、悩みに悩んだソラ=キュアスカイが自身との話し合いを望んでいる事を知って最初は一蹴するのですが、そんな彼女の彼から見ての戯言を、仲間の助けを借りてまで貫き通そうとして、彼の必殺攻撃までも打ち破ってみせたのを見て流石に動揺する、という場面がありました。

弱肉強食を是とする彼が、それとは真反対の話し合いという手段のために彼の極大攻撃を受けきる=自分と同じレベルまで上り詰めたキュアスカイに感情を動かした、と言うのは非常に興味深かったです。ちょっと今の段階では道筋が見えないけど、これ、彼との和解もあるかもしれませんね。

 

プリキュア側の事情について

この期間であまり動きがなかったのはあげはですかね。大きな動きはせず、あくまでも他四人のフォローやツッコミに終始していた感じがありました。

エルちゃんも第40話でピックアップはされましたが、ツバサを通してとはいえ、みんな大好き、というお話としては先回の焼き直し感がちょっとありましたね。結婚式に興味を持ったりする辺り、あの年にしてちょっとませてきてるのかしらん?( ´艸`)

あ、あと、バサ君もとうとう「嫌い!」判定食らったのはちょっと笑ったかも。あとはましろだけだな!( ´艸`)

エルちゃんは次回に大きくクローズアップされそうなので、そこ次第かもしれませんね。

さて、ツバサ。地味ですが、ここにきて活躍し始めています。ちょっと唐突感はありましたが、キラキラエナジーをスカイジュエルから抽出して、スカイランド全体をバリアで覆ってアンダーグ帝国の襲撃に備える、という研究をしており、確実に賢者としての道を歩み始めています。これは物語の最終盤での重要なファクターにもなりそうですし。

戦闘でも、咄嗟の判断でキュアスカイを致命攻撃から救い出したり、飛べる=機動力をうまく使いこなしていますね。

少し気になったのは、ツバサの研究の事をスキアヘッドが知っていた事。前作の様にまた内通者か? それともご都合? でもツバサが何故それを、と驚いているのでシナリオには組み込まれているっぽいんですよね…しかし内通者にしても現段階でヨヨさんが、とは考えにくいし、エルちゃんが敵側と繋がっている(彼女の意思とは関係なく)…とか? ただ、これは気のせいかもしれませんが、第42話にてツバサがこの研究を応用すれば、例えば青の護衛団でもランボーグやキョーボーグを浄化する力を付与できるかも、と言った時、それを聞いていたシャララが一瞬躊躇と言うか少し考えこむような動作を見せたんですよね。考え過ぎかな…

同じく42話ではスキアヘッドに未熟だと言われて悩んでいるソラが今度の事は自分で解決しなければならない、とシャララに溢したところを盗み聞きしていた彼が「またそんなこと言うのか!」と詰め寄って直情的なところを見せたり、第40話では改めてエルちゃんに傅いて彼女のナイトである事を再度誓うなど、キャラクターもようやく固まってきた感があって良かったと思います。特に、ソラの件について「人には一人で解決しなくてはならない事もあるんだよ」という製作者側からのメッセージに感情を露わにした点はまだ幼いながら自分の心情をはっきり吐露する「らしさ」があってとても好感が持てました。彼はこれからそういう事を学んでいくんだろうな、と。戦闘中にスキアヘッドとの対峙の仕方に悩んでいたキュアスカイに「話し合えばいいじゃないか」とあっさり後押ししてくれたのも好印象。

ソラはここにきて戦いの意義を問われるという、大きな転換点を迎えました。そして、その答えがスキアヘッドとの話し合い。そして、誰かの事情を慮る事が未熟だというならば、自分は未熟なままでいい。未熟だからこそ前進する事が自分のヒーロー道である、という強固な意志を固める事となりました。

あのソラが出した結論としては一瞬「?」でしたが、考えてみると、彼女はそもそも争いごとそのものは好きではないんですよね。第23話の回想で幼少時にそう溢しています。お互いの信念を持つ者同士であれば、まずは話し合いを。それでも相容れないのなら、聞く耳すら持ってもらえないのならば、その時は戦いも辞さない。ヒーローを目指しての鍛錬に余念がないのは決して彼女が脳筋なのではなく、あくまでも和解のための手段に過ぎない、というのはソラ=ハレワタールと言う人物を良く表していたと同時に、彼女なりのヒーローと言うものに対する答えなのかな、と感じました。

だからと言って、バッタモンダーをあんな形であっさり赦したのは解せませんでしたけどね…

最後にましろ

とても優しくていい子です。先回でも「彼女の最大の強さは優しさ」と書きましたが、とうとうバッタモンダーまでその優しさで絆す事となりました。

ただ、何と言うか…この子は実は前々から何か一歩足りないなあ、とは感じていました。キャラクターデザインはいいし、性格も申し分ない。優しいという点も今までのシリーズに沿っているし、意志だって強い。ギャグだって変顔だってこなす。あまり非の打ち所がないにも関わらず、何か物足りない。

ずっと不思議に思っていたのですが、今回の第43話でようやく合点がいきました。

この子には喜怒哀楽の怒の部分がすっぽり抜けているんです。

バッタモンダーが正体を明かして、今まで騙されていた事に打ちひしがれたましろでしたが、今までの事は全部嘘だったのか、と彼に問いかけ、バッタモンダーがそれを肯定した時に何とも微妙な表情で「良かった。ならば苦しんでいた事も嘘だったんだ」と言ってのけるのです。

この時の表情は悲しみを堪えつつ微笑みながら、というもので、だからこそバッタモンダーの胸を打ったのは分かったのですが、筆者的には怒りの感情が抜け落ちてしまっているが故にその様な微妙な表情になってしまったように読み取れました。これは声優さんの抑揚を殺した平たい声での演技だったのもそう思わせた要因でした。*3

考えてみると、確かに彼女は露骨な怒りの感情を今までも見せた事はないんですよね。第23話でのバッタモンダーに対する「許さない」発言の時ですら、そこまで厳しい表情を見せていません。親友の嘆きをあそこまで見ていたにも拘らず。これは他のメンバーが怒りの感情に関しては割とはっきり見せるのも拍車をかけてしまったと思います。

彼女は自身は何の取柄もない=弱者目線だったからこそ、バッタモンダーに同情し、彼を救う道を選択しました。エピソード的には申し分なかったのですが、彼女の無償の愛(この場合の「愛」はアガペー的な物)がバッタモンダーの今までの行いを矮小化させたり、キャラクターとしての弱点を露呈させたり、何ともすっきりしない事になってしまいました。と言うより、今作は話自体は良かったんだけど、でも、うーん…というのが多いですよね。特に中盤以降。

 

次回は、いよいよエルちゃんの謎に深く切り込みそうですね。途中クリスマス回も挟むでしょうが、12月で大胆にシナリオの謎部分を明かし、1月からエンディングに向けて突っ走るという感じかな? エルちゃんについては色々考察が捗りそうなキャラなので期待したいですね。

 

ここまでのひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

連れてもらったショッピングモールで買ったものが実用性重視のジャージとか、シャララさんとソラはやっぱり同属性なんだな、とほっこり。

 

-------------------

 

*1:ただ、口で言ってるだけで、実際のところは諦めていた風でもあった。どちらかと言えば、二つの感情の板挟みになって所在なさげだった、と言うべきか。

*2:逆から言えばここの流れ、数コマでキャライメージを崩さず二人の和解にもっていった荒木先生の技量は本当にすごいと思う。

*3:だからこそ、筆者は定期的に過去記事内で「こういう子を怒らせると怖い」と言っていたのかもしれない。

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第38~39話雑感

この構えを天地魔闘の構えと言う。

 

さて、今期間はやはり第38話のツバサメイン回が見どころでしたね。逆から言うと第39話はかなりおまけ回の印象が強く、どちらかと言うとひろプリメンバーよりもバッタモンダーを完全コミックリリーフ化して笑わせに来るという、あまり主軸シナリオとは関係のないお話となりました。

 

第38話はスカイランドで空の道標として機能していたハレバレジュエルという宝石の光が突如失われてしまった所、その解決を依頼されたヨヨが代わりにツバサを推薦。ひろプリチームがハレバレジュエルがあるという浮島に挑む…という内容でした。

ツバサの集大成と言えば…まあ、集大成だったのですかね。浮島に人目を避けて隠れ住んでいた竜族との交流と、彼の知識によるフォロー、そして最後には将来の道が示されるなど、一通りの要素が詰まっていました。

竜族のフォローについては申し分なし。特にスキアヘッドに追い詰められ、羽の退化により飛行が不可能になっていた竜族に丈夫な植物の葉を利用する事で逃亡を促し、最後は彼らの奮起を促して再び飛行する事に成功させました。これは飛べない種族であるプニバード族であるツバサがキュアウィングとなって飛べた事や、彼の父親がかつて一回だけ飛んだことがあった事とのオマージュにもなっていましたね。

ただ、この竜族かつてその姿から人間たちを恐れさせてしまった経緯から、浮島に隠棲するようになったという過去があり、しかし、その事についての怨恨はなく、空の灯台ともいえるハレバレジュエルを代々守ってきた、というとても善良な種族なのですが、それ故に自分たちが再び多種族の前に現れれば混乱を招き寄せる&自分たちも再び奇異の目で見られる、という強迫観念に怯えています。

そこをツバサはかつての自分の姿と照らし合わせ、竜族に今は時代も変わったし、受け入れてくれる者もいる、一歩踏み出すべきである、と助言を与えるのですが、ここはちょっとしっくり来ませんでした。

いや、ツバサの過去とも合致しているし、良い事を言ってはいるんですが、ツバサが空を飛ぶ事への憧れを他の同世代のプニバード族にどの程度嘲笑されたのか、その度合いが分からないんですよね。*1そこから代々引き継がれてきた竜族の教えに疑問を呈するのは些か弱い。

前作のらんの変人トラウマもそうでしたが、その言葉によって当該キャラクターがどの程度のショックを受けたのかが分からないと、こういう場面はどうしても薄っぺらくなってしまう。竜族は極めて温厚で、彼の言葉を咀嚼してくれましたが、それこそよくありがちな「貴様に何が分かる!」をやられたらちょっとぐうの音も出ない。

最終的には、戦闘シーンでは竜族のフォローも含めての指示役として今回大活躍しましたし、ヨヨさんが王様に直々に彼を将来的には(恐らく王宮付きの)賢者として迎え入れる事を提案するなど、まとまりはしたのですが、何とも今までの微妙な立ち位置を払拭できたかと言われればそこまでは…というのが素直な感想でした。

あ、あと、この話では飛べるようになった事で久方ぶりに人前に姿を現した竜族を王自らが慰労し更に正式な依頼としてハレバレジュエルの管理を改めて任せるという場面があり、個人的には王様の株爆上がりしました。正直、ちょっと頼りない人物と思っていたのですが、締めるところはきっちり締められるのですね。

 

第39話は…良くも悪くも普通のハロウィン回でしたね。異郷の地の風変わりなお祭りを邪魔された事で、戦闘中にそれを起爆剤にするキュアスカイも、彼女らしいですが、ちょっとなんだかなあ、と苦笑。

この話はどちらかと言うと、上でも書いた様に、またしてもバッタモンダーのコミックリリーフ化に余念がなく、今回は結構な時間をかけてキュアパンプキンなるものの変身バンクを描くなど、嫌な言い方ですが、少しスタッフさんの必死さが読み取れます。

物語の最後のオチの一つとして、キョーボーグを呼びだしたのはバッタモンダーである、とソラシド市民皆から誤解され(実際召喚したのは当然スキアヘッド)這う這うの体で逃亡するなど、なんとか彼をギャグ要員にしたい意図がありありでした。*2

ただ、この期に及んでも、彼はまだ(嫌がらせレベルとはいえ)ひろプリチームへの復讐を諦めてはいない様なので、もう1エピソードぐらいあるかもしれませんね。

あ、仮装姿のひろプリメンバーは、とてもかわゆくございました。ましろんがいる魔女の館とかふらあそも行きたいですよ…もちろんイタズラ希望です!(最低)

 

次回は…な、なななな、な!?

 

ここまでのひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

憤死

しかも次週お休みというダブルパンチ。もうダメだ…立ち直れないほどのダメージを受けてしまったZE…

 

-------------------

 

*1:「なら俺は目からビーム出しちゃおうかな」とか完全なおちょくり口調が入っていたため、思ったよりツバサの心の傷は深かったとは思う。

*2:ただし、彼が幹部で暴れていた時代のランボーグが倒されてからの性格豹変もスタッフはギャグのつもりだった感はある。

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第34~37話雑感

オールスター系の映画の番宣が入るといつも思う事なんだけど、敵側の気持ちになった時「もうダメだぁ…おしまいだぁ」というのが一番強くなるの、キュアラブリーさんが出てきた時だよね…

 

さて、シリーズ恒例の追加戦士加入からの中盤の山場を経て、秋季の日常パートメインに入りましたね。

各キャラクターの掘り下げを、というのも恒例ですが単純に一人ずつ順番に、といった感じではなく、ましろ→ソラ→あげは→ましろ&あげはという少し変化をつけてきました。次回がツバサメインと予想されるので、そこから+αして終盤に突入しそうな雰囲気ですね。

反面、話の流れ的には大きな進展はなく、エルちゃんも変身時のみ成長するという路線は変わらず、停滞気味な進行でもありました。

 

プリキュア側の事情

確かに各話メインキャラが据えられたシナリオではあるのですが、今作はチーム全員が一つ屋根の下で暮らしている事もあって、とりあえず全てのキャラクターがどこかしらに絡んでくる、というのが多かった印象です。

あげはが自動車の運転という最大機動力を持っているため、どこに行くにしても全員が付いてこれる。第37話なんかそのは典型でしたね。

いくつか興味深いエピソードがありましたが、まずはソラが野球を通じてチームとしての結束を再認識する第35話でしょうか。ソラシド学園の野球部のエース・たまきがけがをした事によって臨時コーチを引き受けたソラが、ピッチャーという最重要ポジションが抜けてしまった穴に苦悩する彼女から、自身のヒーローとしての立ち位置を再認識するというもの。

言うまでもなく、野球はピッチャーこそが最重要ポジションです。正直言うとこのポジションの強さで8割がた決まってしまうと言っていい。しかし、同時にピッチャー以外の8人が捕球し守り打たなければ野球は成立しない。結局お互いの支え合いなんですよね。ソラもたまきと同様、責任感が強いタイプですが、そこをましろがあげはがツバサがエルちゃんが支えてくれたからこそここまで来れた。あくまでも彼女一人で戦おうとしていれば、シャララボーグ登場時に彼女の旅は終わっていたのでしょう。

そう考えると、ましろがキュアプリズムになってくれた事や、シャララ隊長の皆とともにヒーローの道を歩め、はとんでもない伏線張りにもなっていたんですよね。一見野球を絡めるという脈絡のない話に見えて、ソラの成長の集大成の様な話になっていたのは良い塩梅だったと思いました。

第37話のましろとあげはの友情の話も印象に残りました。ましろとあげはの幼い頃の思い出を振り返るエピソードでしたが、ましろが幼少時人見知りであったことは予想通りではありましたが、あげはの明るい性格とましろ優しい性格が上手くかみ合ったのはお見事でしたね。

風で飛ばされたましろの帽子が高い木の枝に引っかかってしまい、それを取りに行こうとして尻餅をついて失敗してしまったあげはを心配するましろの姿は、なるほど、序盤で言っていたましろんの最大の美点は優しさである」というあげはに言わしめたのに見事に掛かっています。

第36話ではあげはが何故「最強の」保育士を目指すのかも判明。別に誰かと競おうとしている訳ではなく目標としている「最強の保育士」が存在していた事が明かされました。しかも、それは先回も出てきたたける君の祖母である事も判明。ちょっとご都合っぽかったですが、何かしらのネガティブ要素がなかったのは正直ほっとしました。正直、家庭事情が一番複雑で闇がありそうなのがあげはだったので。

あげはと絡んだもう一人のキャラクター、たける君も面白かったですね。急な引っ越しが決定し、あげはと別れる寂しさから彼女から距離を取ってしまう…というのが第36話の大まかな流れだったのですが、最終日にたける君と砂遊びをしている最中に別れの寂しさであげはが涙を流している所を見て、自分もそうであると我慢していた感情を吐露していました。

これを見て思ったのが、たける君にとってあげはは初恋の相手だったのでは? という事。この年齢で? と思われるかもしれませんが、早熟な子なら十分に考えられますし、まして相手はあげは先生。子供から見れば非の打ちどころのない先生と言っても過言ではなく、十分恋愛対象になり得るのでは…と思わせました。

全体的に言える事でしたが上でも書いた様に、過去回のキャラクターや事象を上手に絡めながら進行したイメージでした。言及しなかった第34話もバッタモンダーが絡むお話でしたしね。

 

戦闘シーンについて

最初こそスキアヘッドが召喚するモンスター、キョーボーグにキュアマジェスティ以外は手も足も出ない状態でしたが、今期間中に互角よりちょっと劣るぐらいまで是正されており、マジェスティ頼りな面はだいぶ改善されました。

…そこに至る過程が描かれていないのはちょっと不満点ではありますけどね。ただ、ソラなどは日々鍛錬を怠ってはいないでしょうから、徐々にパワーアップしていても不思議ではない訳ですが。

そんなキョーボーグをある程度知恵を絞って連携しながら戦うのは、毎回楽しんで戦闘シーンを見られている事もあって工夫が垣間見えてよい感じですね。

特に感心したのは第36話のキュアバタフライ。

この話のキョーボーグはホーミング飛び道具を乱射し迎撃が難しい上に、接近戦に持ち込もうとしてもカウンターが上手いという難敵だったのですが、キュアバタフライは一計を案じ、上空に舞って下方にバタフライシールドを展開。敵の弾はホーミング弾のため、当然シールドを避けてバタフライに迫りますが、彼女がシールドを展開した真の目的は弾の射線を限定させること。ホーミング=自分狙いである事も逆手にとって、直前で弾を躱し相打ちにさせて、その余勢でシールドをそのまま利用してキョーボーグ本体にバタフライプレスを仕掛けるという頭脳戦を見せました。

第37話では竹やりを二本持ったキョーボーグに手を付けられなくなったチームにキュアプリズムが皆に足止めを依頼、プリズムショットで竹やりに一点集中攻撃を加え破壊するという荒業を見せましたが、やはりバタフライに比べると戦術面では一歩劣るイメージですかね。単独の打破ではない上に力押しですし。*1

それよりもこの回は普段戦闘では矢面に立つことが少ないプリズムが自ら現状打破を志願する事に意外性がありました。この回はあげはとの思い出の地での戦闘になったため、その場を守るという意思込みだったのでしょうね。やる時はやる、というのが見られたのは良かったと思います。

 

敵側の事情について

第34話にてバッタモンダーが大きくクローズアップされました。彼は先回での敗戦後、社会に溶け込む形でソラシド市に潜伏しており、貧困に喘ぎながらもプリキュア達に復讐の機会を伺っている…という描写が為されました。

尤も、復讐を狙っている、とは言うものの、キュアスカイ復活の際の戦闘は今でもトラウマになっていて、最早心はバキバキに折れまくっており、そこまで大それたことは出来なくなって模様。

このシナリオでは、ましろが絵本作家になる夢を持っている事を偶然立ち聞きしていたバッタモンダーが、美大生に化けて偶然を装い彼女に接近、彼女の作品を貶して自信喪失させてやろう、というせこい作戦を思いつく…というものでした。流れとしては、そこにソラ達が乱入し正体ばれにびくつくバッタモンダーや、嫌味を言おうとしても、ましろがすべてポジティブに解釈してしまい、結果的にアドバイスまでしてしまう始末で…まあ、ぶっちゃけ言うとギャグ要素が強めでした。

ましろが批判覚悟でアドバイスを求めて来たり、誰もが納得できるものが作れるわけではない、という事を理解した点は作家向き性格を良く表しているとは思いましたが、やっぱり全体的に先回ヘイトを貯めまくったバッタモンダー救済回に個人的には見えました。内容がコメディタッチだったのも、彼のイメージをコミカル方向に上書きしようとしたようにしか思えない。

あくまでも自分的な意見ですが、この程度でバッタモンダーがしでかしたことが上書きされるかと言われれば、それはありませんし、いちいちこんなシナリオに一回分を費やしたのは、制作側にとって、バッタモンダーの悪行に対するヘイトは想像以上だったのかな? と感じざるを得ない。だとしたら見通しはかなり甘いでしょう。

なんか、如月轟沈の反響が大きすぎて、劇場版を彼女の救済に充てざるを得なくなった艦これのアニメみたいだ…*2

ただ、話の途中でスキアヘッドが登場し、プリキュアに戦闘を仕掛けようとした際には彼に縋ろうと一瞬考えるものの「おめおめ帝国に帰れば処分されてしまう」と再考し、戦いを静観した挙句、キュアマジェスティ登場に驚いたりしていますし、彼のひろプリチームへのトラウマレベルの恐怖心から察するに、この回で実質退場したとみていいと思います。というより、退場だけで1シナリオ使わざるを得なかった、と見た方がいいんでしょうかね。

最後に、ましろから美大生の姿をしている状態で偶然に出会い、アドバイスに感謝され、お互い頑張ろうと言われた際には「誰かにがんばれって言われたのは初めてだ」と毒気を抜かれた様な顔で呟いており、彼がアンダーグ帝国でどういう扱いを受けてきたのかは、今までのゲスムーブも含めてちょっと気にはなりました。まあ、同情の余地はありませんけどね…先回のミノトンさんの事もあり、最終局面でプリキュア側に付く可能性もゼロではありませんね。同じアパートの隣室にカバトンさんも住んでいる事だし( ´艸`)

スキアヘッドは毎回新モンスター・キョーボーグをプリキュア側にけしかける事に終始していますが、第34話では「これが始まりだ」、第37話でキュアプリズムで自分たちを狙う事を詰問された際には「お前たちが知る必要性はない。私だけが知っていれば良い」とにべもないながらも、明らかにストーキングしながら彼女たちを狙い撃ちにしており、なんか、キョーボーグと戦わせること自体に意味がある様にも読み取れます。

先回も書きましたが、少なくとも、何らかの思惑があるのは確実っぽく、キュアマジェスティだけでなく、ひろプリチーム全体の底上げを狙っている風にも見えるんですよね。ただ単にひろプリチームを潰すだけなら、スキアヘッド自ら出張ればキュアマジェスティがいたとしても可能でしょうし、敢えて言うならば、プリキュアマジェスティックハレーションを警戒している可能性がありますが、彼はその起動キーであるマジェスティクルニクルンの入手さえ予定のうち、と言っているんですよね。

その事にソラ以外の誰が気が付くか、かなあ。ソラは逆に敵の術中に嵌って自らを鍛錬している様にも見えますし、第37話のましろのスキアヘッドに対する詰問はその前兆かな、と思えます。

 

次回はいよいよツバサメイン回ぽいですね。どうもプニバード族が関係するシナリオみたいなので、彼の集大成になる話になるかもしれません。今の段階では戦闘中のお姫様抱っこ役ぐらいしか印象がない役回りなので、ここらで大立ち回りを期待したいですね。

 

ここまでのひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

セパタクローって足でやるバレーボールみたいなヤツだよな…中学でこの部活あるの、かなり珍しくなイカ!?

 

-------------------

 

*1:プリズムショットの能力の強みはこの速射性にあるともいえる。

*2:ただ、公平な目で言ってこの劇場版が艦これアニメの中では一番まともな内容ではあった。

【お知らせ】お詫び(オトナプリキュアについて)

お疲れ様です。ふらあそ管理人です。

 

すっかりプリキュアブログと化した本ブログですが、先週の土曜日から始まったキボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜について、感想記事を上げるつもりでした。が、ちょっと色々な事情もあって断念させていただくことになりました。

 

ここから先は言い訳コーナーですので、上記の事さえわかればいいや、という方は回れ右でお願いいたします。

 

続きを読む

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第33話「究極のちから! マジェスティクルニクルン」感想

個人的に久しぶりに王宮に帰ったエルちゃんが王様に「パパ~」と言って懐いていたの凄く安心した…

 

さて、キュアマジェスティパワーアップ回、と思いきや、5人合体技のお披露目回でしたね。考えてみると、追加戦士の浄化技お披露目より前に合体技に導かれる、ってかなり珍しくない?

 

話の流れとしては、突如スカイランドに遺跡が出現。その調査に赴いていたヨヨは、その遺跡がエルちゃん=キュアマジェスティの目覚めにより復活したものであり、ひろプリチームを招聘、王の許可を得て中の調査をする事に。

入口のない迷宮は遺跡の真ん中にある翼形のモニュメントにエルちゃんが触れた事であっさり封印を解除。隠された入り口を進むと、まるでエルちゃんが導く様に最深部方向に進みます。

やがて、最奥にキュアマジェスティとそれを囲む4人のプリキュアレリーフで封印された場所にたどり着き、ヨヨさんを除くプリキュアメンバーでその奥に…

一方、遺跡の外では操られたミノトンが襲来。力づくで迷宮に張られた障壁を破壊し始め…というものです。

 

さて、わりかし情報量の多い回でしたね。

メインは5人合体技であるプリキュアマジェスティックハレーションと、その起動キーであるマジェスティクルニクルンの入手でしたが、もう一つのテーマとしてましろの懊悩がありました。

ましろはエルちゃんがキュアマジェスティだと判明してからというもの、そもそも彼女が戦いに参加する事を危惧しており、今回もその優しさと心の揺らぎが「皆の心が一つにならなければ」解けないマジェスティクルニクルンの封印解除の足かせとなってしまいました。

それだけ、エルちゃんに傷ついて欲しくない、という思いが強かった訳ですが、これはここまでましろが彼女をべったり甘やかしていたのが良い布石になっていましたね。逆に、エルちゃんの躾に厳しかったソラが彼女の意思を尊重していたのも実にらしかった。

そして、そんなましろの悩みにソラが自分もましろに対してそういう感情を抱いたからこそ理解を示す流れは秀逸でした。第5話が実際そういうお話でしたからね。ただ、難を言うと、ましろの場合はエルちゃんを狙う相手がスキアヘッドという現状勝ち筋が見えない相手なのに対し(現にスキアヘッド初襲来時に「さっきまであんなに楽しかったのに…」と恐怖に打ち震えている)、ソラのあれはカバトンがさして脅威になっていなかった段階であり、状況がかなり違うんですよね。そう考えると、ソラとましろの悩みは質は同じでもその度合いが全然違う。

最終的には、キュアバタフライやキュアウィングから自分たちでこれからもエルちゃんを守護していくという事には変わりはない事、キュアマジェスティ本人からもみんなを守りたい旨を改めて伝えられて、キュアプリズムも皆を信じる事を決意、無事マジェスティクルニクルンの封印は解除されました。

そのマジェスティクルニクルンですが、本型のアイテムであり、その形状からクロニクル(年代記)に掛けているのですかね。正直、クルニクルンは相当言い難いですよね。素直にマジェスティクロニクルで良かったのでは? とは思いました。

とりあえずはこの本の力で5人合体技・プリキュアマジェスティックハレーションが発動しましたが、その内容はランボーグ登場時の暗い空間に青空の背景が出現、5人が飛翔しながらスカイが大きな円を、その中に他の4人がダイヤ型の線を描き、それが光を図案化した円形のフィールドを形成、キュアスカイが中心となり5人同時にそのフィールドから浄化光線を照射するというもの。

なかなか派手でカッコいいですが、キュアマジェスティ専用アイテムから、キュアスカイが中核になる合体技が出るのはちょっと不自然かなあ。今回は出てきませんでしたが、この本を基軸にしたキュアマジェスティ単体のオリジナル技があるかもしれませんね。

 

敵側に目を向けると、今回でミノトンは再浄化されたわけですが、流石にスキアヘッドの回収は受けずにとうとうひろプリチームと和解。自分を正気に戻してくれたことに礼を述べ、彼女たちの強さを認めた上で、今後、この恩はどこかで必ず返す、と言って姿を消しました。

素直に敗北を認めた潔さは良かったのですが、同時に彼女たちへの助力も宣言しており、カイゼリンへの忠誠心との葛藤がなかったのかはちょっと気になりました。

尤も、カイゼリン側はミノトンをあっさり見捨てた上に、アンダーグエナジーで望まない戦いを強制してきたわけですから、見限る理由には十分かもしれません。が、彼の気真面目な忠誠を見るに、ひょっとして、カイゼリンにしろプリキュア達にしろ、強いものにこそ敬意を払う性質なのかもしれません。だとすれば、ミノトンは彼女たちは成長前提ですが、カイゼリンよりも強くなるかも…と見込んでいるのかもしれませんね。

もしくは、三国志関羽の魏への義理立ての様に、一時的な助力に留まるか。ソラも今話にて「決着をつけるなら正々堂々の勝負をしよう。武人のあなたはアンダーグエナジーなんかに負けてはいけない」と喝を入れていましたしね(尤もその後に和解になったのだが)。

スキアヘッドは今回の戦いを遠見で見ているにとどめており、しかもマジェスティクルニクルンの入手さえ「予定調和のうち」であると呟きました。

彼曰く、キュアマジェスティ出現も、マジェスティクルニクルン入手も全ては「知識の宮殿」の記載通りらしく、しかもそのこと自体はカイゼリンに報告するでもなく、独り言ちている、その割にカイゼリンには「力が目覚めないうちにキュアマジェスティを討った方がいい」と強化ミノトンをけしかけるなど、取りようによってはひょっとしてわざとキュアマジェスティを目覚めさせるように仕向けた? な進言をするなど、ちょっと彼は彼で別の思惑があるのかも…と思い始めています。

 

ましろの悩みと、ソラの伏線台詞回収やエルちゃんの決意、エルちゃんを守るというチーム総意の表明など、全体的に良く出来た回だったのですが、現段階でキュアマジェスティと他4人との格差が合体技が出たとはいえ全く是正されておらず(ただ迷宮最終地点で全員が光に包まれる描写があり、その際にパワーアップした可能性はある。ただ、あれはその先に進める有資格者が光っただけのようにも見えた)、他メンバーも「流石マジェスティ」と少し頼り切っている風にも取れる発言をしているのは気になります。

特に今回は最初こそ強化ミノトンと優勢に渡り合っていたキュアマジェスティが、アンダーグエナジーをドーピングし暴走同然になったミノトンを抑えきる事が出来なくなっていく場面がありました。正直言えば、暴走ミノトンがスキアヘッドよりも強いとは考えにくく(ただ、強さのベクトルは違うが)、普通に戦うとひろプリチームの方が合体技ありだとしてもまだ分が悪く感じます。実際、今のままでは今話の様にキュアマジェスティが崩れると総崩れになる可能性大でしょう。

ただ、今作のプリキュアというのがキュアマジェスティが中心のチームで「元来」あったというのならば分からなくありません。実際、迷宮最終地点でのレリーフでは他の4人はマジェスティを守護する立ち位置として描かれています。だけど、その迷宮最深部にあったマジェスティクルニクルンでの浄化技がキュアスカイ中心という、何ともいえないちぐはぐさも気に掛かりました。もしくは、まだまだマジェスティクルニクルンには秘めた力があるのかも。プリズム他メンバーが中心になる別浄化技があるとか? キュアバタフライのミックスパレットも様々な効果があるとんでもアイテムなので、今後に期待しましょう。

エルちゃん自身も秘密が多く、スキアヘッドの態度やカイゼリンが彼女を欲している事も含め、更にどうにも非情にも見えるエルちゃんを遣わした一番星の態度も謎の部分としては大きい。どの辺りで彼女を取り巻く状況が大きく動くのかも注目点ですね。

 

次回は…え? ひょっとして、もしかして、まーさーかーとは思うんですけどー…おめおめ出てくるのか、アノ男が? ちょっとこれは目が離せないシナリオになりそうですね…

 

ここまでのひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

実はさ…筆者、マジェスティクルニクルンのこと、この話が始まるまで「マジェスティグングニル」だと読み違えていたんだよね…紛らわしいなあ、もう!( ´艸`)*1

 

-------------------

 

*1:先回の次回に対するコメントで「エルちゃん専用武器が~」と言っていたのはこれが原因。

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア第31~32話雑感

こういうのに専用変身カットイン用いるの、遊び心あって好き…

 

さて、怒涛の追加戦士・キュアマジェスティお披露目回となりました。エルちゃんが変身したのは流石にお約束というか、予想通りではありましたが、まだまだ謎が多い存在なので、次週以降も掘り下げが進むかと思われます。

 

話の流れとしては、プチイヤイヤ期に入りかけていたエルちゃんの機嫌を取るために写真館での記念撮影イベントに行くひろプリチームでしたが、その帰り道にアンダーグ帝国の次の刺客・スキアヘッドの襲来を受けます。

ワープゲートを自在に操り、攻防共に完璧なスキアヘッドに為す術もなくエルちゃんを奪われ、ひろプリチームも絶体絶命のピンチに。

しかし、そこに後光とともに新たな戦士が現れ、スキアヘッドと互角の勝負を展開。彼女はキュアマジェスティと名乗り、スキアヘッドを撤退に追い込み、それと同時に姿を消してしまいます。

窮地を脱したひろプリチームの元に攫われたはずのエルちゃんがひょっこり現れて事なきを得ました(第31話)。

新たな強敵の出現に頭を悩ますひろプリチーム。その最中、謎のプリキュア、キュアマジェスティの話題になりますが、エルちゃんは片言でそれは私だ、と皆に告げます。

最初は驚くひろプリメンバーですが、王と王女から聞かされていた運命の子という予備知識もあってか、それはありうる話かも、という流れに。

しかし、ペンの代わりにスプーンを掲げても当然変身など出来るはずもなく、他のメンバーの真似事をしても変身できず、とうとう癇癪を起して泣きぐずるエルちゃんをあげはは必死に宥めますが…

そんな折、鳥たちからツバサに連絡が入り、正気を失ったミノトンが町中で暴れている、という報がもたらされ…というものです。

 

エルちゃん=キュアマジェスティについて

満を持して…というよりは突然やってきた、という感覚が強いです。エルちゃんが追加戦士である事はなんとなく予想は出来ていましたし、最初期からいるメンバーですし、運命の子という設定もありました。エピソードそのものも2話分使っておりじっくり描いているはずなんですが…やっぱり、あげは=キュアバタフライが満を持して登場し、そこからあまり期間が空いていないから…かな? 少し調べてみましょう。

キュアバタフライ登場は第18話。14話分*1も空いている。ちなみにキュアウィング登場は第9話なので、ウィング→バタフライの期間は9話分(ただし、あげはは第4話から登場はしている)。

うーん。そうなるとキャラの描き方の密度ですかねえ。エルちゃんは言葉を発せない期間が長かった上に、行動も制限されていますが、あげはは変身前からかなりアクティブでしたからね。加えて、今回の敵の手による拉致が唐突だったのも一因でしょうか。

キャラクターとしてはプチイヤイヤ期に入ったという事で、わがままな振る舞いに対して、怒る場面は怒るというスタンスをとっているソラや、諭すように教唆するあげはを「嫌い」と言ったりして甘やかしてくれるましろにべったりする、といった態度を見せましたが、心の底では全員大好きであり、変身動機もそれに沿った危機に陥ったみんなを守りたいというものでした。そして、大好きだからこそ、自分も同じ立ち位置で戦いたい、というのが健気っぽくもありましたね。実際、ソラたちの行動を真似て変身しようとしたりしていましたし。

変身の際にはソラやましろと同世代と思われる姿に急成長してからモーションに入りますが、現時点では変身解除と同時に元の赤ん坊の姿に戻るため、あくまでもキュアマジェスティとして力を振るうための媒介、というイメージが強いです。少し亜流ですが、ドキプリのあぐりに性質は近いですかね。このまま赤ん坊状態で進むのか、どこかで急成長するイベントがあるのか、現段階では不明です。

それにしても、成長時のこのメスガ…表情がいちいち生意気っぽいのが、特定のファンからは好評を得そうですね( ´艸`)。今の段階ではこの姿の時の性格がまだ判然としないので何とも言えませんが、エルちゃんって結構我儘気質だし、今までにない生意気タイプだとちょっと面白そう。ほら、ポ●モンでもピカ●ュウ転生がちょっと話題になってたじゃない( ´艸`)

変身後の姿、キュアマジェスティについては、他の4人がかりでも全く歯が立たなかったスキアヘッドと互角の勝負を繰り広げたり、スカイパンチすら弾き返した強化されたミノトンを殴る蹴るで吹き飛ばすなど、格ゲー風に言うと必殺技より強い通常技持ち、というちょっと別格感が漂っています。

追加戦士にここまで実力格差があるのは結構久しぶりかな? ただ、第32話ではミノトンを圧倒した後に浄化はアップドラフトシャイニングに託しており、固有必殺技や浄化技などの有無は不明のままとなりました。

今の段階では超規格の攻撃力と体裁きを会得した脳筋パワー系且つソラの上位互換のイメージかなあ。スキアヘッドと対決した際には彼が放つアンダーグエナジーを別の力で相殺しており、アンダーグエナジーと真逆の力を持っている様な表現がありました。

何にせよ、久々の不思議系追加戦士です(逆から言えば近作の追加戦士はそこまで謎の存在みたいな感じではなかった)。これからに注目していきたいですね。

 

他のプリキュアメンバーについて

第31話だけではないのですが、ソラは案外エルちゃんの躾に厳しく、事あるごとにそれはヒーローには相応しくない、と叱っていたりしたのですが、なるほど、弟のレッドが結構きかんきでその世話に手を焼いていた過去があったからなんですね。

ましろは相変わらず絵本の制作を続けている様で、料理の研究にも余念がない様子も描かれました。一番マイペースでエルちゃんにも懐かれています。ただ強敵出現などでいち早く弱音を吐いてしまうのも彼女なんですよね。

ツバサは陣形などの戦術を学んでいる様子が描かれましたが、今後の戦闘シーンで活きてくると嬉しいですね。先回の記事でも書きましたが、そのポジションは今はキュアバタフライが担っている感が強いので、上手く軍師的なポジションをこれから得られると良いのですが。

あげはは目指しているものがものだけに、エルちゃんの保護者的な立ち位置が定着化していますね。実際、あやし方も上手であり、実践で着々と経験値を積んでいる感じです。…尤も第31話ではエルちゃんを諭そうとして「嫌い」判定を食らって大ダメージを受けていましたが(苦笑)。

機転も相変わらずよく利き、スキアヘッド初登場時にはその異常さにいち早く気が付き車を即座にUターンさせるなど決断力も早い。現状では最も頼りになるキャラクターと言っていいと思います。

 

スキアヘッドについて

第31話にて登場した新幹部…ですが、他の幹部とは格が違う、という感じですね。敵の首魁・カイゼリン(この話で初めて名前が出た。EDのスタッフロールにてカイゼリン=アンダーグと表記されている所から、彼女がアンダーグ帝国トップかと思われる)から「最初からお前に任せておけばよかった」と厚い信頼を寄せられており、実際、その実力も折り紙つきです。

目立つのはワープゲートを自在に開いての攻防であり、自身を転移させて攻撃をかわすのは序の口で、プリキュア達の目の前に現れて攻撃を加える、車内にいた筈のエルちゃんを誰も気が付かない状態で拉致する、車のような大きな物体も楽々転移させるとやりたい放題。

最初はワープ特化の能力持ちかな、と思いましたが、プリキュア達との戦闘中にすべての攻撃を障壁で防ぎ、それを弾けさせる事で攻撃転用するという隙のない攻防一体陣も見せており、どうも能力の本質は「アンダーグエナジーを自在に操る」事だと思われます。ワープに目が行きがちですが、これもアンダーグエナジーの能力の一端に過ぎないのでしょう。実際、他の幹部もスキアヘッドほどの乱発はしていないものの、使用自体はしているのですしね。

性格は冷静な分析系ですね。ワープを含めたアンダーグエナジーの攻防に対処できないひろプリチームに「お前たちは何も出来ない」と無感情に呟いたり、エルちゃんの拉致に成功した際には「任務は果たした。お前たちを倒す事まではそれに含まれてはいない」と撤退しようとするなど、ソラも戦慄していましたが、とにかく無感情なのが不気味です。第32話ではミノトンをアンダーグエナジーで操っており、目的のためなら手段を択ばない非情さも持ち合わせています。

だからと言って、命令だけを忠実に実行する人形みたいなキャラクターかと言われればそうでもなく、キュアマジェスティが現れた事により、彼女の力が完全な状態になる前に叩き潰す事を提案するなど、自分の意思もしっかり持っており、これは実力的にも最後の幹部かな、と思わせました。

そう言えば、カイゼリンとスキアヘッドの会話から、アンダーグ帝国側はキュアマジェスティの存在そのものはどうも知っていた臭いですね。あれだけ執拗にエルちゃんを狙っていた訳ですから当然と言えば当然なのでしょうが、ひょっとしたら、アンダーグ帝国側からすると、他の四人のプリキュア達の方がむしろイレギュラーなのかも…と感じます。

スタプリのガルオーガもそうでしたが、とにかくワープを使いこなす敵は難敵です。ワールドトリガーのハイレイン&ミラvs三輪みたいな展開にならないかしら?(「その技はすでに見た!」)*2 ソラ達がどう攻略していくかが今から楽しみでもありますね。

 

ミノトンについて

生粋の武人でしたね。

カイゼリンよりエルちゃん奪還をせずにプリキュアとの勝負に固執している点を咎められた際には、彼女への忠誠心篤い事を示しながらも、プリキュア達と勝負したいのは武人のサガである、とし己の道を優先しました。

…まあ、本人が戦っていないのがちょっとモニョりますけどね…

プリキュアへの戦闘に関しては我を通してはいましたが、主への忠誠心は高いようです。ただ、カイゼリンはそんな彼の言い分には聞く耳を持たず、あっさりエルちゃん捕獲の任を解任して後任をスキアヘッドにしたばかりか、遠回しに役立たず呼ばわりしています。

ミノトンがカイゼリンに尽くす理由が何なのかは焦点の一つかもしれません。帝国のトップだから無条件でなのか、感じ入る何かがあるのか、半ば強制なのか。彼の態度から強制はちょっとなさそうなので、盲目的に上位身分に忠誠を誓っているのか、強さに魅入られているのか、ですかね。そのいでたちから代々帝国に仕える軍人出身の可能性もありますし。

更迭された後はアンダーグエナジーで強化された状態でスキアヘッドに操られ街中で暴れまわる事となりました。途中、渾身の一撃を耐えきったひろプリチームを称賛し正気を取り戻しかけたのは、強い精神力の顕れでしょうか。最終的にはアップドラフトシャイニングで浄化はされたのですが、スキアヘッドがまだ利用価値があるとして回収。再生怪人みたいな扱いされちゃうのはちょっと嫌だなあ。どこかで改心&和解、もしくは武人としての正々堂々の一騎打ちをしてくれると嬉しいのですが…

そう言えば、強化ミノトンが出てきた際、ソラがかつてシャララに行ったのと同じ手である、と激昂していたのですが、それはちょっと違うんじゃないかなあ。シャララ隊長のは瀕死からアンダーグエナジー注入の延命であって、ミノトンはあくまでもアンダーグエナジーでの強化&意識乗っ取り。言うなれば、カバトンが自ら行った強化に近く、シャララ隊長のそれとは似て非なるものであると言わざるを得ない。

まあ、本人の意思を無視してアンダーグエナジーで操ったというのは共通項ですし、心情的にそういう行為をソラが許せないのは理解は出来るんですけどね。ただ、額面通りに捕らえると今回のミノトン操りとシャララボーグは同列に扱っている節があり、スタッフさんのそこら辺の認識がどうなっているのかは少し気になりました。個人的にはシャララのエピソードはかなりデリケートだと思っているので、この周辺の話は物語が完結してから判断かな、と思っています。

 

次回は舞台をスカイランドに移して、エルちゃん=キュアマジェスティの謎に迫る遺跡を調査する話みたいですね。タイトルからすると、彼女専用の武具or力の解放? が手に入るのかしらん? あと、この洞窟って、かつて幼少時のソラが侵入したという洞窟じゃないよね? そして、ひょっとすると、エルちゃん急成長のキーになるかもしれないので期待したいですね。

 

ここまでのひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ

見よ! この陽キャに接せられて困惑する陰キャの表情を!*3

 

Furutaコソコソ噂話

この商品、甘いチョコに中の柿の種のしょっぱさがいい具合にマリアージュされていて中々の逸品だゾ。チョコを舐め溶かしながら柿の種のじゃりじゃりとした食感を楽しむんだ。コスパも高くて一時期筆者のおやつに大活躍していた。個人的にはチョコがもう少し甘さ控えめだと助かる( ´艸`)

 

-------------------

 

*1:第31話を初登場とする場合は13話分

*2:あのシーンで三輪を見直したんだよなあ、筆者。

*3:ララって最終的には是正されたけど、序盤は結構大人しかったよね…