うむ。安売りのリサーチは重要よな。感心感心。
ふうううううう…正直、ちょっと言葉に詰まっています。
これまた、大きな転換点を迎えてしまいましたね、ひろプリは。え? わりかししょっちゅうそんなこと言っていないか? ですって?
しかし、今回ばかりは、今までのシリーズとは事情が違う気がします。というのも、第22話にして、この作品の評価そのものを決定付けかねないシナリオをぶち込んできたからです。
今話はソラがメインのお話で、正直言えば来週の放映を待って原稿を書いた方が良いであろう、完全な二話以上の構成です。しかし、今回はあまりにも大きすぎるポイントがあったので単独感想記事とさせていただくことになりました。
話の流れとしては、定期連絡でスカイランドと通信していたひろプリチーム。そんな彼女らに国の方々でシャララの目撃情報があった事がベリィベリーによってもたらされます。
色めき立つソラ達。あげはは不確定な情報過ぎると若干の警鐘を鳴らすものの、ソラは心の底から安堵。書いたことは必ず実行する、と誓いを立てているメモ帳に風船型ランボーグ襲撃時の際にシャララが残してくれたメッセージを書き写して、新たなる一歩を踏み出そうとします。
後日、買い出しに出ていたソラ達でしたが、そこでソラはシャララ隊長の姿を目撃。他のメンバーを尻目にその後姿を追いかけます。長い距離を移動し、人目のない広場でようやく追いつけたものの、そのシャララはやはりと言うべきか、偽物。バッタモンダーが作り上げた幻影に過ぎませんでした。
流石に激昂するソラ。しかし、なぜこんな真似をするのか、と怒り心頭で問いかけるソラにバッタモンダーは「優しくて強い僕にどす黒い感情を植え付けたから」と身勝手極まりない言い草でランボーグをけしかけます。すぐさま変身し対応するソラ=キュアスカイでしたが、戦いが一段落したところで、バッタモンダーは奥の手を披露。なんと、そのランボーグはシャララ隊長自身が核になったものでした。
手が出せなくなり守勢一方になったキュアスカイでしたが、他のメンバーが遅れて到着、タイタニックレインボーアタックで浄化してシャララの救出を試みようとするのですが、余裕の態度を崩さないバッタモンダーにキュアプリズムとエルちゃんが不審を抱き制止。それを見て残念がるバッタモンダー。
スカイランド襲撃に失敗したあの日。キュアスカイに凄まれ撤退した先に、偶然吹き飛ばされて失血死寸前だったシャララを発見したバッタモンダーは、なんと失われつつある血液の代わりにアンダーグエナジーを注入、彼女をランボーグとして生き永らえさせ、復讐のための切り札にしていた、と言うのです。
血液の代わりにアンダーグエナジーで生き永らえている、という事は、浄化技で浄化してしまえば、アンダーグエナジーが消滅する=彼女の死が確定してしまう。
そして、憎きキュアスカイ自らの手で尊敬するシャララを討たせようという残忍な計画を立てた訳ですが、その目論見自体は外されたものの、どちらにせよ切り札はバッタモンダー側。しかし、今までの無機物とは違い、生身の人間を使用したシャララランボーグ(便宜的に以降シャララボーグで統一)は安定性に欠け、この場は納まりますが、シャララを倒すか倒されるか好きな方を選べ、とバッタモンダーは余裕綽々で撤退。
残され呆然とするソラ達。最善策を考えよう、となんとかソラを慰めようとする他メンバーですが、シャララの大事とあって冷静でいられないソラはそのすべてを拒否。絶望に打ちひしがれた彼女の手に握られたスカイミラージュペンが消失し、スカイトーンも色を失い石化、という場面で幕となりました。
吐き気を催す邪悪! をどう処断するのか
あー、まず最初に筆者のお気持ちから表明しておきますね。
もし、これでひろプリチームがバッタモンダーをぶっ殺す事*1が出来ず(若しくは、それに匹敵する何かを与えるか)、剰え彼を許すような展開になったら今作は90%駄作評価にします。残り10%は目を見張るような解決策があるかもしれないから残した数値に過ぎません。
それはプリキュアには相応しくないだろう? 確かにそうですね。つまり、バッタモンダーはプリキュアには相応しくない、完全に度を越した悪役になってしまった、と筆者は考えています。
今までも人の心を踏み躙る最悪クラスの悪役は数々登場しています。直近…というよりは、この傾向は最近の作品の方がむしろ強く、プリアラのエリシオ、ヒープリのダルイゼン、デパプリのフェンネル、また一時的にですが記憶除去装置を利用した際のトロプリの三幹部などが記憶に新しいですが、エリシオはその生い立ちからしてプリキュア達を陥れるのに固執していたに過ぎませんし、そもそもプリキュア以外のメンバーの少なくとも命まで利用はしていません。ダルイゼンも追い詰められた際の身勝手さが今までの行いにフィードバックされただけですし、標的はあくまでものどかの身辺のみ、フェンネルも質こそ悪かったものの自分に従えば命の保証はしてくれています。
しかし、このバッタモンダーは人の命を弄んだばかりか、復讐相手であるソラの尊厳を踏み躙り、心に一生残る傷を故意に残すように仕向けた。シャララを盾にしてキュアスカイを打ち倒し、エルちゃん奪還への足掛かりにしさえすればよいものを。その理由が自分のちっぽけな自尊心が傷付けられたから、という傲岸不遜なものである上に、本人はキュアスカイやキュアバタフライ、果てはエルちゃんにまでビビり散らかすどうしようもない小物の癖に。心を傷つけた、という点でキュアスカイも同じだろう? と言うのであれば、彼女は少なくとも何かを盾にしてはいないし、命を弄んでもいないし、悪意で傷つけようとすらしていない。
まあ、悪役としては申し分ありませんよね。実際、敵対関係な訳ですし、相手を慮る必要性などバッタモンダー側にはない。*2
しかし、ここまでやった以上、バッタモンダーはそれ相応の報いを受けない限り、やはり納得はしにくい。プリキュアはピカレスクではないし、ニヒリズムを掲げている訳でもない。新しい試みはあるべきでしょうが、本質はあくまでも「善」性であり、そこを外してしまえば、それはプリキュアではなくなってしまう。
さて、ひろプリチームはどの様な選択をするのでしょう。メタ発言をするならば、四人同時の合体技や、場合によっては追加戦士の登場により、浄化+回復がシャララに施されるというものが考えられます。特に今話で登場したのですが、ミックスパレットには黄色+青:癒しの力=回復能力がある事が判明しています。この辺りを応用するのか。
しかし、それでシャララが結果的に無事で済んだ場合、めでたしめでたし、としてしまうのか。確かにシャララはバッタモンダーに発見された際に瀕死状態ではありましたが、同時にこのままでは死んでしまうだろうとも明言されています。そこを適切な処置ではなく、アンダーグエナジーの輸血という処置をされてしまっている以上、現段階では生きた屍に等しい。
死は不可逆なんですよ。この大原則を破ってしまうと、話としてはどっちらけ甚だしい。ザオリクやアレイズやカドルトがある世界観じゃないんですから。
このバッタモンダーの行いを許容せず完全断罪まで踏み込んでしまうと、それは単なる復讐劇と化してしまう危険性があるし、逆に許容してしまうと、人の死を利用してまでプライドに固執した外道を見逃すことにつながる。復讐劇大いに結構、という考え方もありますが、それをプリキュアでやっちゃうの? となってしまう。このバッタモンダーの非道はプリキュアというプラットフォームではあまりに敷居が高いんです。実際、ヒープリのダルイゼン断罪は大きな賛否両論があったようですし。…まあ、まずはキュアスカイ復活が先決ですがね。
おまえはそこでかわいてゆけ
みたいな結末が一番しっくりくる終わり方かなあ、とは思いますが、良くも悪くもプリキュアでそこまで思い切れるか、という不安があります。
ご都合主義でハッピーエンドにするのか、シャララと涙を飲んで別れを果たすのか。上でも書いた様にこの作品を決定付ける重要な分岐点かな、と思っています。どういう結末であれ後者が出来れば大したものだと思いますが…果たして!?
ソラの思い違い
少々厳しい物言いですかね。ただ、筆者はこの回でソラはとんでもない考え違いをしていたんだな、と感じました。
彼女はヒーローになりたかったんじゃない。
シャララになりたかったんだ、と。
我ながら酷い言い草だと思います。
でもだからこそ、シャララが行方不明状態だと彼女の最後の言葉をメモに書くことを躊躇していたし、シャララが生きているかも、という希望が出てくれば誓いの言葉を記すメモ帳に彼女の言葉を書き写す。そして、シャララがこのままだと助からない、という事実が分かった瞬間崩れ落ちた。
そして、そのこと自体をソラ自身が気が付いていなかった。故にシャララという彼女にとっての絶対的な存在が消滅する危機に直面し、彼女のアイデンティティは崩壊してしまったのです。
ここで考えなくてはならないのは、シャララがソラに「ヒーローになれ(出番だ、立ち止まるな)」と言っているのは、ヒーローとしての規範そのものを指しているのであって、決してシャララ個人を指しているのではない、と言うこと。
シャララは間違いなくソラを買っていました。前の記事でも書きましたが、後継者として考えていたのでしょう。だからこそ、ベリィベリーの怪我の件や、地方視察を通じて様々な事を彼女に教えようとしていた。その最後の言葉こそが、風船ランボーグに立ち向かう際に残した最後のメッセージ「立ち止まるな」だったはずです。
残酷な話ですが、シャララはもう助からないのかもしれません。
でも、例えシャララが死しても彼女の教えは残るのです。彼女が導いてくれた「ヒーロー」への道は残るのです。
今のソラの姿をシャララが見たら、彼女はその頬を叩いてこう言ってくれるはずです。
「立ち止まるな、ヒーローガール」
と。
そこまでソラが気が付いて、この状況にどういう答えを出すのか…ですかね。予告を見た感じではヨヨさんが助言をしてくれる可能性があるので、見守りましょう。
その他の動向について
まずはバッタモンダーですかね。
まあ、やってくれましたね。個人的にここまで殺意が沸いた幹部は初めてかも。とにかく癪に障るのが「自分は絶対に正しい」と思い込んでいる事。ソラを憎んだ理由が「本来優しくて強い自分にどす黒い感情を植え付けたから」というものなのですが、なんてことはない、キュアスカイのあまりの剣幕にビビり散らかして逃げただけの弱虫の分際で、完全に自身を「優しくて強い」などと嘯いて正当化している。おまけにやっていること自体が人を弄んだ挙句、安全地帯から腐った殴り棒を用いていたぶるという、自己評価からかけ離れた残忍な行為ばかり。
悪いけど、小物なら小物らしくさっさと滅んでくれ、ここまで行くと貴様の事情など知ったこっちゃない、という感じです。
あと、欠点があるにしろ、アンダーグエナジーを生物に注入できる事が正式に判明しました。まあ、正確にはカバトンが自身に施した先例はあるのですが。これは敵側が今後も人間を盾として使用できることを意味し、バッタモンダーが出張り続けたり、彼並みの非道が主人公たちを追い込む際に使える手段となり得ます。ただ、現状、アンダーグエナジーを生物に使用する事に大きなメリットはないみたいですね。カバトンは自身の力に上乗せ、という使用法でしたが。
味方サイドだと、やはり気になるのはましろ。
正直、ソラのあの姿を見てどう思うのでしょう…あれだけ親しかった彼女が絶望する姿は痛々しくて見ていられないはず。まして、ましろは他人の痛みを自分の痛みとして感じるような優しい子です。
次回はキュアスカイを除いた三人がバッタモンダー&シャララボーグと対峙するみたいですが…ちょっと、キュアプリズムの奮闘に期待したいです。ああいう優しい子は本当に怒らせると手が付けられない気がするので。そして、それだけの行いをバッタモンダーはしてしまったはずなので。
あげははてっきりバッタモンダーと因縁の関係になるのかなあ、と思ったのですが、彼がソラに対してのみ異様なヘイトを向けていたのはむしろ意外でした。先回はキュアバタフライの啖呵にもビビり散らかしていたんですがね。当然、この先、そのヘイトがあげはに向かう可能性もありますから油断は禁物ですが。尤も、どういう結末になるにせよ、バッタモンダーはそろそろ退場の様な気はします。
そして、ちょっと希望的観測として、次回是非出てきてほしいのがカバトン。元アンダーグ帝国幹部にして、今は改心してソラシド市で再出発しているはずです。そして、ソラの強さを良く知っているキャラクターでもあります。
個人的には、彼が絡んでソラ復活の兆しになってくれると激熱なんだがなあ、と思ったりしています。また、彼はアンダーグエナジーを生物に注入(本人)した初の経験者でもあります。ひょっとしたら、シャララの件の打開策を知っているかもしれません。
色々書きましたが、次回に大いに期待しましょう。果たして、ソラが、そしてスタッフがどのような結論を出すのか。個人的には予想を大きく覆してほしい事案でもあるので。
ソラは書いたことは必ず実行するというメモ帳に、シャララ隊長の「立ち止まるな、ヒーローガール」を書き込みました。これは誓いです。最早、彼女は立ち止まれない。隊長を助けるにしろ、彼女の意思を継ぐにしろ。
今話の最後でソラは「私はヒーローにはなれなかった」と嘆いています。それはそうでしょう。上でも書いた様に、ソラはそれを目指していたわけではなかった。でも、目指していたシャララ隊長に「立ち止まるな」とヒーローへの道程を託された。今こそ、彼女の本当のヒーローへの旅が始まるのだから。
ここまでのひろプリをかいつまんでナナメからバッサリ
ものすごい重い話をやっているのに、中間新アイキャッチがめちゃくちゃほのぼの系だったの、地味にじわっているんですけどッ!( ´艸`)
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