白露退役というショッキングなスタートをした第一話だけど、史実調べてみたら白露って「魚雷を回避しようとして」「タンカーとぶつかり」「衝撃で爆発物が爆発して自爆」という最後だったのね。戦没と言えなくもないが…うーん…
さて、満を持して始まりましたね、艦これのアニメ二期。正直言うとゲームの方は末期症状であり、これ以上の発展が望める作品ではなくなっていますが、企画ものとしてはまだまだ人気コンテンツであり、アニメ二期もその一環だと思われます。
一期はかなり意見の分かれる作品でしたが、さて、今作はどうなるのでしょうか?
話の流れとしては、深海棲艦と艦娘達との戦いも末期に入っており、物量作戦によって次第に追い詰められていった艦娘陣営は部隊を再編成、決死の反撃作戦を試みようとしていました。
そんな状況の中、駆逐艦・時雨は戦艦山城が旗艦を務める第一遊撃部隊第三部隊へ転属されるのですが、メンバーとの顔合わせでは急造りの艦隊と個性的な面々で結束はばらばら。時雨の機転によって、いったん落ち着くもの、山城は暗い顔で、この部隊は全滅覚悟の囮部隊であることを皆に告げる…というものです。
全体的流れについて
まずはOPテーマ曲に入る前にあらすじが導入され、人類が突如現れた深海棲艦により危機に瀕している事、それに対抗できるのは古の艦の魂を宿した艦娘だけである事、戦況は深海側の大物量作戦によって劣勢に立たされている事、などが簡潔に語られました。
元々、原作ファンターゲットの傾向が強い作品でしょうから、つかみ部分はこれでよいと感じました。聞いた話では全8話予定とのことですから、あまり背景に時間を割くわけにはいかなかったでしょうしね。
最初の舞台はブインだった様ですが、簡素な部屋にあまり豪華とは言えない泊地であり、全体的に暗い雰囲気が流れています。絶望的な状況をあがいて逆転しようとしている状況であり、悲壮感が漂っているのですが、史実的にも戦争末期がそうだった様ですから、後はどこまでそれを貫き通すのか、でしょうか。
かなりの数の艦娘が台詞の有り無しを含めて出てきましたが、何せ原作ゲームで250隻以上のキャラクターが実装されているため、サービスなのは分かるのですが、非常に散発的に感じました。
声優関係や全体スケジュールなど、様々な要素があるでしょうが、話の最後で日向に託された瑞雲を山城が最上に渡すシーンがあるのならば、ゲームの関係性も含めて、日向と山城の会話シーンはあっても良かったと思いますし、後述する西村艦隊以外はあまり上手に描かれてはいない*1印象です。
ただ、つぶさに見ると隠されたメッセージ性がありそうな雰囲気でしたから、見逃がし配信などでじっくり見ると新たな気付きがありそうでした。
西村艦隊について
第一遊撃部隊第三部隊(以下、西村艦隊)の面々ですが、まあ、キャラクターとしてはゲーム通りであり破綻はしていなかったとは思います。特に難ありの性格の旗艦・山城は遅刻した時雨にキレ散らかした挙句、駆逐艦を「如き」呼ばわりしたりあまりいいイメージはなかったですが、原作通りと言えば原作通り。*2
ただ、後に彼女が西村メンバーに語った「自分たちは寄せ集めの囮部隊」である事と、旗艦を任されるという大役で無理に威厳を保とうとしているが故、と考えれば微笑しくもあるのですが。
ただスケジュールが押しているのは分かるのですが、駆逐艦を軽視した態度を取った山城に反発する満潮や朝雲、おっとりが過ぎる扶桑など、全く一体感がないチームが、時雨が「おやつにしようよ」と切り出しただけで毒気を抜かれたり、水上機を飛ばす真似をして遊ぶ最上に和やかになる駆逐艦たち、と言ったシーン程度で一気に結束を固めたのは流石に拙速に過ぎるとは感じます。
この話の最後で囮部隊としてスリガオに向けて抜錨するシーンがありましたが、その際には山城が自身の簪を時雨に挿して、自分に何かあった際には姉(扶桑)と他のメンバーを守ってほしいと、自身の願いを託しており、正直、何をしてそこまで時雨を信用したのか(或いは目をかけていたのか)は測りかねました。
この西村艦隊の話は当然、太平洋戦争時の史実にモチーフがあり、艦これファン及びミリタリーファンにとっては知っての通り、時雨以外は全滅という未来が分かっています。山城の死亡フラグの立て方と言い、全体的な作品の雰囲気と言い、この運命は回避できない匂いがぷんぷんしますが、反面、このスリガオ突入は数年前にゲーム内でもイベントとして展開されており、この時には見事な勝利を収めています。
前作の一期も最後は運命を逆転させる物語でしたが、王道としてはやはりひっくり返ってほしいんですよね。そもそも運命が避けられない、というのならば、そんな(全滅が分かり切っている)作戦を通す必要性がない訳で。ただ、後半は雪風主役で坊ノ岬じゃないかと言われているからそんな余裕あるかなあ…
個人的には山城の勝利に向けての咆哮を聞きたいですかね。
「邪魔だ! どけええええええ!」
主人公・時雨について
今の段階では口数が少なく、突如ポエミーな事を呟くなど、あまり表情を表に出さない事も相まって、不思議ちゃんと言った印象です。
それだけに時折見せるきりっとした表情や、山城にかつての仲間を掛けた上で侮辱された際に見せた怒りの表情などは却って活きていたとも思います。しかし、現段階では感情表現はまだまだ乏しいので、そうなってしまった理由も含めてちょっと描写不足感は否めません。
彼女と関わった龍鳳の行方不明や白露の退役が序盤で描かれましたが、龍鳳は文字通り結末不明、白露は退役になった理由が描かれておらず、これで時雨の心情を推し量るのはやはり難しいと感じます。そこら辺は史実を調べてよ、という製作者側のメッセージかもしれませんが、こういうところは1クール作品の弱点でもありますね。
生真面目で頑張り屋という、テンプレート的な性質を持っていた前作の主人公・吹雪の方がヒロインとして華があると感じました。
ED(エンディング)について
時雨がぴょんぴょんと軽やかなステップを踏む様がかわいいですが、他にも様々な艦娘が登場してここら辺もファンサービスを感じます。
ところで曲の中盤、ちょうど曲のタイトル「未来」のクレジットが流れるシーンで出てくる艦娘なんですが…
これ最後まで生き残った俗に言う「呉空襲組」なんですよね。*3まあ、尤も、呉空襲で大破着底した艦もありますから「生き残った」というのは語弊があるかもしれませんが。
この作品は時雨と雪風が主人公であることが示唆されていますが、史実通りであれば彼女たちのメインシナリオともいえるスリガオ突入と坊ノ岬海戦の後には呉空襲という「未来」が待ち受けています。
もしそういう意図でこのキャラチョイスをしたのならば、なかなかいいセンスだと感じますが、それだと呉空襲モチーフの話はやるのかしら?
呉空襲は特に筆者の嫁艦・伊勢のエピソードが涙なくしては語れないだけにちょっと期待したいのですが、史実そのものは町ごと動けなくなった艦が一方的に爆撃される内容ですし、難しいかなあ。救いがなさすぎる。
次回は西村艦隊、スリガオに突入ですね。悲劇に彩られるのか、運命に抗う事に成功するのか。期待したいと思います。
今回のいつ海をかいつまんでナナメからバッサリ
この場面見て「日向優しいなあ」まで妄想するのが航戦スキーの嗜みというものよ( ´艸`)*4
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