ふらあそ!

ゲーム好き・漫画アニメ好き・自転車好き・鉄旅好き。インドアだったりアウトドアだったりのふらふら遊び人の日記帳、略してふらあそ!

【アニメ】艦これ ~いつかあの海で~ EpisodeⅥ「暗雲」感想

うむ。やっぱり完部隊は良い…まさに奇跡の艦隊だからなあ、こいつらは。

 

うーん…これは…運命に抗った、と取っていいのかな? という感じでした。全体的に起伏が少ないアニメなので、ここがターンポイントだったのかは本当に分かりずらいな、というのが率直な感想です。

 

話の流れとしては、輸送作戦に従事するために戦力を二分化する事になった二水戦。残った時雨の元に、かつて護衛任務でともに航海した龍鳳佐世保を訪れている事を知らされます。

再会を喜び合う二人に、提督は台湾への輸送作戦に従事する龍鳳の護衛を時雨に下命。残存駆逐艦の磯風、浜風、雪風とともに龍鳳の護衛をすることになるのですが、出発の直前に雪風が体調不良に見舞われ、急遽4人での作戦敢行になってしまう…というものでした。

 

浜ちゃんのエプロン姿、大変かわゆくございました。ごちそうさまでしたm(__)m

さて、今回は上でも書いた様に、時雨の史実という運命の回避? にスポットが当たった回でした。

大淀や日向・伊勢が中心の完部隊がシンガポール方面に、そして、時雨や磯風達が龍鳳を護衛しながら、御蔵達ヒ船団と合流する、というのは史実通りの様ですね。ただ、所々史実と食い違うところもある様で、そもそもこの世界観がどの程度のものなのか分からないので、何とも言えないんですよね。

タイトルに1944と銘打ってはいる訳ですが、当然、その時代に艦娘がいた訳はないですから、そういうパラレルワールドなのか、あくまでも近未来の話なのか。

今話のBパートで時雨達は敵潜水艦と戦闘になるのですが、そこで爆雷を使い果たした時雨がピンチに追い込まれてしまい、彼女は自身が轟沈するヴィジョンを垣間見てしまうのです。それも、自身が海底に沈んでいく様と、艦そのものが沈んでいく様を重ね合わせながら。

実際、史実では時雨はこの作戦中に戦没しており(ただし、このピンチを乗り切った後、時雨は御蔵達と合流したが、史実では時雨が轟沈したのはその後である)、そう考えると史実での出来事は艦娘達とリンクしているように思えます。

しかし、この作品の世界観がはっきりしていない以上、それは過去の記憶を垣間見ただけなのか、それともパラレルワールドで並行で行われている事が重なったのか、さっぱり分からない。時代背景は昭和初期っぽい様が第4話で描かれてはいますが、それも明言されてはいない。

背景をあえてぼかして、受け取り手側の想像力に委ねる、というのは特に二次創作の盛り上がりに一役買う要素ではありますし、実際、艦これのゲーム版はそれで成功した側面があるのは事実です。が、こと全8話しかないアニメ版なら、むしろそういう所はしっかり説明するべきで、ましてや、原作付きとなれば、各々のプレイヤーの脳内にある世界観とは完全に切り離された世界観になるのですから、しっかり作り込んだ方が良かったと思います。提督を登場させたこと自体は悪くはないと思いますが。

それでも、筆者的にこれはこういう解釈かな、と納得できる要素があればいいのですが、例えば、今回時雨がピンチに陥った際に、第4話で山城が贈った木箱が彼女を救う事になるのですが、なんと、木箱の中身は爆雷だったのです。これは、山城が時雨がいずれ潜水艦に追い詰められて危機に陥る事を知らなければ出来ない贈り物です。

だって、山城=戦艦は爆雷とは無縁なんですから。

それとも、駆逐艦である時雨に合うと思って偶然に贈った? それなら小口径砲でも熟練見張り員でも電探でも探照灯でも良かったはずですよね? もしくは同じ駆逐艦の満潮や朝雲山雲に贈らせても良かったはず。

つまり山城が時雨の運命を知っていた上で爆雷を贈ったというのなら、それは史実を承知している、という事で、それだとこの世界観はかつての大戦のあとの近未来、という事になってしまう。

しかし、そうなると今度はこれだけ史実を上書く様に事が進んでいるにも関わらず、何故、上層部はいちいち史実に基づいた作戦を敢行してしまうのか、という疑問にぶつかります。そう考えるとパラレルワールドの並行進行という考え方が捨てきれない。

どうにも判別がつかなくてちぐはぐなんです。そして、それが故に作品の世界観にイマイチ入り込めない。

本来あるべき悲劇を回避する、という物語にしたいのは分かる(まあ、時雨はまだ予断は許されないけど)。それは山城から贈られた簪がやたらと鳴る演出や、爆雷が木箱の中にあって、これが逆転のきっかけを与えた事からも明白かと思いますが、そういう悪い言い方をするとファンタジーな要素は、それこそ、山城轟沈でもしていないと映えない演出であって、西村艦隊の想いを時雨が背負っているにしてもあまりにご都合的すぎます。まして、時雨はそういう感情を前面に押し出すキャラクターでは(今のところ)ありません。

どうにも、この轟沈はしないけど再起不能という表現は一期の俗に言う如月ショックの影響が色濃いような気がするんですよね。実際、今話のAパートで金剛と浦風が轟沈は免れたものの実質リタイヤみたいな事が語られましたし、西村艦隊の面々も結局轟沈はゼロだった訳ですし(史実では最上・時雨以外は全滅)。ただねえ…あの如月ショックは何であそこまで不満が爆発したのか、運営さんは分かっていないんだろうなあ…まあ、これについては割愛します。正直、筆者はあれについては一過言あるどころではないんですが、長くなってしまうので。

 

ご都合的な展開を除けば、ミカンの食べ過ぎでおなかを壊した雪風を馬鹿め、と罵ったり、その彼女を睨みつけたのに、当の彼女は笑顔で返してきてぐぬぬする磯風とか、穏やかな表情で差し入れを持ってくる浜風とか、瑞雲連呼する伊勢・日向(笑)とか、艦娘の色々な表情が見れたのは良かったです。特に磯風はあまり思い入れのないキャラだったのですが、とても感情豊かで今話でちょっと好きになったかも。

また、潜水艦との戦闘は、見えない水中からの攻撃の恐怖を存分に描くことに成功しており、時雨が轟沈一歩手前まで追いつめられたことも相まって、なかなか見応えがありました。

艤装装備から発進のシーンはかっこよかったんですが、時間かけ過ぎぃ。もうちょっとスピーディーにした方が良かったんじゃないですかね。こういうのをみっちりやっていいのは長期間やれるのが確定している作品だけな気がする(それこそプリキュアシリーズの変身シーンなんかはそれ)。

時雨自身は雪風へ憧憬とも取れる表情、台詞を口にしていたり(直接的にではなかったが)、ようやく少し動きが出てきた感じで悪くはなかったのですが、もう全8話中の6話目。遅きに失しているかな、と。

あまり言いたくはないですが、もうこの流れのままなし崩しで終わるのかな、というのが率直な感想です。

 

次回は二水戦以外の残存組、利根や北上、青葉に焦点が当たるのですかね? 完部隊がシンガポールに向かっている以上、呉空襲という事はないのでしょうが(この辺りは全員呉空襲組)、微妙に史実からずれているからなあ、この世界。

 

ここまでのいつ海をかいつまんでナナメからバッサリ

まあ、でも11月のランカー装備で、木箱の中身の爆雷は布石打ちされていたのよな。ただ、たまにしかランク入りできない自分には正直これは微妙装備だったよ…

 

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