ふらあそ!

ゲーム好き・漫画アニメ好き・自転車好き・鉄旅好き。インドアだったりアウトドアだったりのふらふら遊び人の日記帳、略してふらあそ!

【アニメ】ひろがるスカイ!プリキュア総評

ソラの、ましろの、ツバサの、あげはの、エルちゃんの長い長い冒険の旅がとうとう終わりました。

まずは製作スタッフの皆さまに感謝とお疲れさまでしたの気持ちを捧げたいと思います。

何とも不思議な感覚です。よくよく考えてみると、舞台の大半はソラシド市でしたし、そこから大きく動いてはいない。なのに、なんか大きな旅が終わったような感覚。ソラが旅人を想起させる格好をしていたからか、所々スカイランドが舞台になっていたからか、久々の4クール完走だったからか。振り返ってみましょう。

 

さて、お約束ですが、ここからは長文注意です。ついでに言うと、かなり辛辣な事を書いていますので見たくない方は回れ右&自己責任でお願いいたします。

 

↓以下長文注意↓

 

プリキュアサイドのキャラクターは申し分なかった

まずはこれですかね。

全員、とてもキャラクターが立っており、物語を引き締めるのに一役買っていたと思います。主人公の5人は言うに及ばず、彼女たちの保護者的立ち位置だったヨヨさん、シャララを筆頭にした青の護衛団の面々、スカイランドの王族やプリキュア達の親戚筋の人たちも要所要所で登場し、しかも物語にしっかり絡むため余計なストレスがない。

ただ、これは物語が完結し、全てが終わってみてようやく、という感じでもあり、個人的にはかなり後半までツバサはあまり機能していないな、と感じていましたし、ましろに至ってはラスト2話でやっと受け入れられたというか、そこまでは一歩足りないと感じていたほどでした。もちろん、エルちゃんは物語の大半を赤ちゃん状態で過ごしたため、そこまで深くは描かれていなかった気もします。可愛かったですけどね。

逆に最初から最後まで主人公・ソラは非常に上手に描かれていました。

最初期こそなろう主人公か、というぐらい無双していましたが、徐々に世間知らず故の未熟さが出始め、中盤でのシャララを巡る懊悩、後半でのスキアヘッドとの攻防での自身の未熟さの痛感、そして自身が導き出した答えからのカイゼリンとの和解。

生真面目ながらもどこか抜けている所もあり、それでいて勇敢でありながらも決して蛮勇を振るうタイプという訳ではない。どちらかというとその本質は争いを好まない心優しい少女でした。この子が中心に立っていたからこそ、他のキャラクター達も活きた。常に礼儀正しく、尊敬に値する者になら礼節を以て接する。まさにリーダーに相応しいキャラでした。

当該記事でも書きましたが、カイゼリンに対する和解と彼女の質問「自分はこれから何を信じればよいのか」という問いに対する回答は満点と言ってよく、集大成にして第49話でとうとう完成に至ったな、と感じずにはいられませんでした。

あげはもいいキャラクターでしたね。年上設定という事で全体的に落ち着いており、チームへの貢献度もミックスパレットと献策両面において大活躍しました。かなりの後半までツバサを食っていた感もありましたが、終盤ではその分鳴りを潜めましたね。尤も、それは後半になればなるほど敵の強さは上がってくる故にどうしてもパワープレイになりがちで、シナリオもツバサのミラーパッドバリアの話が大きなウェイトを占めたからで相対的に時間が取られがちになったからだとは思います。しかし、カイゼリンが暴走した際には一番最初にハッパをかけており、十分に描き切れていたと思いますね。スタッフさん、お気に入りだったんじゃない?( ´艸`)

そう言えば、あげは絡みで言えば、今作は戦闘シーンが全体的に見ごたえがあったのも大きな美点だと思います。あげは=キュアバタフライが筆頭でしたが、相手のパワープレイを工夫した戦い方で打開する展開が多く、楽しく視聴する事が出来ました。

この様に味方側の描き方は大きな不満点はなく、楽しく盛り上がった要因となりました。

 

プリキュアの限界を垣間見せてしまった男、バッタモンダー

しかし、味方側の描き方は申し分なかったのですが、全てをぶち壊すほどのネガティブな存在が現れてしまいました。それが二番目に登場した敵幹部・バッタモンダーです。

敵キャラとしては、既出の幹部・カバトンとは対照的な痩せぎすな体に尊大な態度。そしてそれとは裏腹に臆病で狡猾な性格というどちらかというと策士的なキャラクターでした。

最初期こそ、彼が呼び出すランボーグはひろプリチームと互角の勝負をしていましたが、次第に彼女たちの能力が彼を凌駕し始め追い詰められ、更に初めてキュアスカイと対峙した際のトラウマが重なってしまった彼は決して手を染めてはならない禁忌的な行動に出てしまいます。

それは偶然確保していた、スカイランドでの戦いで放っておけば死が確定する程の重傷を負っていたシャララを利用したキュアスカイへの卑劣な攻撃でした。

死の淵を彷徨っていたシャララにアンダーグエナジーの輸血を行い、ランボーグ化させひろプリチームを襲わせ、剰え浄化攻撃を誘発させキュアスカイ自らにシャララを殺させようとするという、絶句するほどのどす黒いやり方。

はっきり言いますが、筆者的に初めてでしたよ、プリキュアシリーズで殺意を本気で抱いた敵キャラは。今までも非道の敵は数いれど、殺意を向けるほどの者はいなかった。ゴーダッツも、ダルイゼンも、12女神やブルー(笑)ですらそこまでには至らなかった。

そして、最終的には浄化した直後にミックスパレットの回復能力を差し込むことでシャララの命は事なきを得て、あまりのバッタモンダーの非道なやり口と振舞いにキュアスカイから戦うに値しない、と放置されるという結末を迎えた訳ですが、そこで野垂れ死にしたり粛清されたりした訳でもなく、のうのうと生き延びる結果になりました。

この時点で問題点は二つあります。

まず一つは死という不可逆なものを無理矢理捻じ曲げてしまった事。正確にはそこに至る演出のまずさです。と言うか、アンダーグエナジーの輸血というそれを取り除けば死が確定している状態という演出をしていながら、実際は浄化直後の回復能力で助かるというのは、いくら何でも安易が過ぎる。

血液がアンダーグエナジーで補完されていたというのなら、浄化が決まった状態でバッタモンダーが言う通り死亡確定な訳で、ミックスパレットの癒しの力が瞬時にシャララの全血液量の20%を*1回復したというのはいくらなんでも強力過ぎます。癒しの力の効果がそこまで強力だった描写もこの段階ではありませんでしたし。

何より、この件で当のソラは変身できなくなるほどのショックを受けており、これが結局既存能力の組み合わせで解決出来るという演出は、これではまるでソラが馬鹿みたい&バッタモンダーの戦略があまりに杜撰だった、という事になってしまう。それをあの絶望感煽りまくった次の週でやられるのはがっくりものでした。

もう一つは、結果論でバッタモンダーを見逃してしまった事。確かにシャララは助かりましたが、それで彼が行った卑劣な行動が消える訳ではない。上でも書いた様に放置するなどというのは、悪い言い方をすれば「シャララは助かったから、まあいいや」と言った様なものであり、今度は彼女のシャララに対する尊敬心に疑問が生じてしまう。これでバッタモンダーが悔しさのあまり憤死でもしたというのならまだしも。

さて、しかしバッタモンダーについては、まだ続きがあり、彼は中盤から後半で重要な役割を果たします。ひろプリチームに打ちのめされ、復讐を図ろうとしていた彼はひょんなことから紋田という青年に化けてましろに近づくことになります。

そして、何と、彼がメインで絡む回が4話も発生したのです。

もちろん理由は分かります。この一連の紋田とましろとの絡みで、ましろ=キュアプリズムは究極の浄化能力・プリズムシャインに目覚めたからです。

このプリズムシャインは実質的な最終決戦だったダークヘッド戦でも最後の切り札として発動したほどの正に物語の中核を担う大技だった訳で、ここに時間を割きたかったのは良く分かる。もちろん、ましろが大きな浄化能力に目覚めるきっかけがあれだけの行いをしたバッタモンダーとの和解こそ充てるに相応しい相手だったのも良く分かる。

しかし、それはせめてバッタモンダーがそれに相応しい贖罪をした場合のみでしょう。バッタモンダーの過去が語られ彼が歪んでしまった要因*2はある程度理解できましたが、だからと言って勝つために人の死を弄ぶようになるほどの理由とは筆者にはどうしても思えなかったし、それが理由なら彼自身が歪んでいたに過ぎない。

挙句に、ましろはバッタモンダーの言葉を噛み砕いた上で、彼の事情を詳しくは知らないにも関わらず同情的な態度を見せて救済を決意するのですが、あれではましろの優しさでバッタモンダーの悪事を上書きした様にしか思えませんでした。

最終的にはましろの優しさに絆されたバッタモンダーはアンダーグ帝国…というよりはスキアヘッドから離反し、ひろプリチームに助力をしてくれましたが、この際にも感謝の言葉はキュアプリズムにのみしており、これまた悪い言い方ですが、シャララとソラへの件は悪びれてすらいないようにも見受けられました*3。キュアスカイもあっさり許したのも頭痛かったです。

結局、何が言いたいかというと、これほどの邪悪な相手まで許容しなければならないというのならば、それはプリキュアの限界が悪い方向で出てしまったのでは? ということです。プリキュアシリーズは基本的に味方側については善意に基づいて成り立っています。そして、復讐という「悪意」で戦うのはそれに相応しくはありません。だからこそ、敵を倒す際にも「浄化」な訳ですし、相手に情状酌量の余地があれば受け入れる。

この手の話で俎上に上がるのはやはりヒープリのダルイゼン断罪でしょう。プリキュアでありながら、救いを求めてきた彼を浄化したキュアグレースには大きな賛否両論が巻き起こりましたが、筆者はあれは当たり前だと思っています。そこまでの悪事を考えれば断罪されて仕方なかった。しかもダルイゼンは助ければ以降悪事をしないのか? という問いにすら最後まで答えていません。はっきり言えばあれこそがプリキュアらしい強固な意志だったのでは? と思うほどです。

翻ってバッタモンダーですが、あれでは、シャララは生きていた訳だし、彼自身も悲しい過去があった訳だし、そこまでする必要性はないでしょ、と製作者側が考えているという事になってしまう。最後に致命的な結果になりさえしなければ、人の死を精神を心の拠り所を弄ぼうが許されていいとなってしまう。それでいいんでしょうか?

当該記事でも書きましたが、いくらましろの優しさでバッタモンダーの悪事を上書きしても、彼の行いは決して消えないんですよ。このキャラクターのしでかした事をあの程度*4で最終的にうやむやにしてしまったという事実が、奇しくも善意を礎とするプリキュアの限界を見せてしまった。バッタモンダーの処遇も、それに対するプリキュア側の結論も全く納得できない。彼はもっと大きな贖罪をするべき(若しくは悲惨な結末を迎える)だったし、プリキュアサイドもそんなに簡単に許してはいけなかったでしょう。時間がなかったというのならともかく、中~後半で4エピソードも費やしているというのに。それとも彼がシャララにした事はそんなに軽かったとでも?

プリキュアシリーズの敵の行いと立ち位置をどうするのか。これから先にも大きくのしかかる可能性を秘めた問題点だと思っているので、良くも悪くも大きな転換点になってしまった敵キャラだったと思っています、バッタモンダーは。

 

どこまで視聴者を騙すのか、という度合い

バッタモンダーも大概でしたが、別の方向性で頭の痛い敵キャラクターがもう一人出てきてしまいました。それが後半の主要幹部であり、最後は実質ラスボスを務めたスキアヘッド(ダークヘッド)です。

正直言えば敵としては申し分ありませんでした。初登場時の絶望的な強さ、何故かキョーボーグをけしかけても自ら手を下さず撤退を繰り返すのにも理由があり、とにかく無感情・無表情である不気味さも相まってなかなかいいキャラクターだったと思います。

ところが、話が終盤に差し掛かる頃に、彼が戦う理由が「愛する者を守るため」である事が発覚。事情持ちであることが推察されます。実際、その言葉を聞いたキュアスカイが躊躇した事で彼に未熟呼ばわりされてしまい、彼女は再び自らのルーツを問うという懊悩の迷宮に踏み込むことになりました。

話が進むごとに、その愛の正体はアンダーグ帝国の女帝、カイゼリンに向けられていると思われたのですが、どうもスキアヘッド自身が無口である事も相まって、叙述トリック、即ちそう思わせておいてその愛の対象は別にある、という可能性もある状態となりました。

更に、カイゼリンがかつての先代プリキュアでありスカイランドの女王だったエルレインを憎悪していている事もあって、彼が彼女に協力している可能性も示唆され、否が応でも興味を引くことになりました。

しかし、第48話ラスト、スキアヘッドは突如カイゼリンを裏切り不意打ちで重傷を負わせ、愛している発言を虚言だと言い放つのです。

これ自体は別に問題はありません。スキアヘッドの目的(アンダーグエナジーを受け入れる器にカイゼリンを考えていた)も理に適っていますし、そのために彼女に偽りの愛を囁いていたのも良くあるパターンでしょう。

なのですが、それをプリキュア達に、そしてそれを通じて視聴者にまでフェイクとして見せてしまったのはいくら何でもやり過ぎ、というか彼の虚言という情報の提示が唐突過ぎてどっちらけ甚だしかった。カイゼリンを騙すために虚言を繰り返すのはまあいい。しかし、プリキュア達に「愛する者を守るために戦っている(迫真)」*5などと言う必要性はなかった。キュアスカイに戦う理由を問われたとはいえ。

やりようはいくらでもあったと思います。例えば、カイゼリンがスキアヘッドを案じて彼の戦いを常に見ているような描写を入れれば、プリキュア達の前で「愛する~」発言をしても不自然ではなかったでしょうし、プリキュア達の問いに答えなくても良かったし全く別の答えを用意しても良かったはずです。要するにプリキュア達まで騙す理由が存在しない。

或いは最初からアンダーグエナジー受け入れの条件・類稀なヒーロー性をキュアスカイに見出し、カイゼリンと天秤にかけていたというのならば、その虚言をひろプルチームにぶつける理由になったのですが、彼がキュアスカイのヒーロー性に瞠目し始めたのは、虚言を受けて悩みの先の答えを出したキュアスカイが彼と比肩する力を発揮した時の事なのですよね。

アンダーグエナジーを受け入れる器が必要とは言っても、そもそもそれで何がしたかったのかもわかりませんし、どうにも消化不足ですよね。これはヒープリのキングビョーゲンもそうでしたが、最終目的が見えない、というかその後どうするの? と言う感じでした。スキアヘッド=ダークヘッドがアンダーグエナジーそのもの、という表現だったため、本能の赴くままに破壊と殺戮を繰り返し弱肉強食の世界を作る事が目的だったのかな? と推測は出来ますけどね。

ただ、スキアヘッド絡みでのついでの言及をしますが、カイゼリンはとてもいいキャラクターだったと思います。最終盤である44話から大きく出張る事になりましたが、優しさこそが最大の強さである、というましろのリスペクト面がありながら、肉親を失った(と錯覚させられた)ことで自身が忌避していた力を欲するという反転をしてしまう。しかし、元来の優しさは失われておらず最後は和解となりました。

結構考えさせられるキャラクターですよね。だって、これ一歩間違えたらプリキュアサイドだって陥るかもしれない罠だったんですから。

だからこそ、上で書いた様にバッタモンダーを復讐で処断してしまわなかった話は対になっている気もしますね。

更に当のキュアスカイがアンダーグエナジーを受け入れてダークスカイに一時的になりかけましたし、あのままだったらスキアヘッドに心を潰されバッドエンド確定だったでしょう。そう考えると、この物語の真の主人公はバッタモンダーすら許し、キュアスカイを最後まで信じたましろ=キュアプリズムだったのでは? と思うほどです。正直言えばヒーロー性という観点で言えば、カイゼリンもソラもさほど差はなかったでしょう。でも、ソラには側にましろがいてくれた。だからこそ、カイゼリンの問いに対するソラの答えは「友達になりましょう」だったし、逆に序盤でもあった様にソラがあくまでも一人で戦う事を選択していたら、カイゼリンと同じ道をたどっていた可能性が高い。

カイゼリンはプリキュアの根幹の一つである仲間の大切さと、強い力は一歩間違うと反転してとんでもない事にもなるんだぞ、例えそれがプリキュア(並みの精神性を持っていたとしても)であったとしても、というの良く表した良キャラクターだったと思います。でも、登場が遅かったよなあ…もう少し早く登場させて(まあ、31話で出ては来ていたし、声だけならもっと前に出てはいた)掘り下げたらもっと良かったのでは? というのが悔やまれます。そうすれば「彼女はスキアヘッドに騙されているのでは…?」みたいな演出も出来た気がするんですよね…

 

シナリオを俯瞰した時の違和感と、中盤以降の「ずれ」

序盤こそ良かったのですが、中盤は中弛みもしましたし、最終盤の詰め込み過多も気になりました。が、それ以上に感じたのが「いいんだけど、でも、うーん」というのが非常に多かった事です。

取り扱うテーマは良いのに、なんか素直に納得しきれない、というか。

例を挙げれば、第38話の竜族を諭すキュアウィング(言っている事は正論なのだが、彼が竜族を諭すだけの経験をしたかは疑問が残る)や、バッタモンダー和解(安易なキュアスカイの許容や、キュアプリズムの感情欠落のような表現)、ミノトンの正々堂々とした態度とは裏腹の自身が戦おうとしない姿勢など、枚挙にいとまがないほどです。勿論、最終盤のスキアヘッド関連(カイゼリンの記憶改竄や虚偽発言)なんかはその最たる例です。物語の大きな流れというのは様々あります。例えば「終わり良ければ総て良し」なんていう言葉もありますが、今作に関して言うならばバッタモンダーによるシャララボーグ事件以降から上記したような奇妙なズレを感じるようになってしまったのですよね。

そして、それ以降、このずれを最後まで引きずってあのスキアヘッドの種明かしに繋がり不満点が爆発してしまった。さりとて、プリキュアサイドの描き方には最終的には文句はなかったし、カイゼリンとの決着もまあ納得は出来る。でも、なんか煮え切らないモヤモヤ感は残る。

で、一つ思ったのが、この作品ってひょっとして見切り発車したんじゃないの? という事。ただ、カイゼリン自体は第12話で出てきていますから、大まかなプロットやキャラクター設定はあったとは思います。

ところで、今作は20周年作品という事があったにせよ、放映以前から独自設定がかなり前面に押し出されていましたよね。初の青枠主人公、初の男レギュラープリキュア、初の成人レギュラープリキュア、初の異世界人が主役を務める、など、とにかく「史上初」が推されまくっていた。

そこで考えたのが、結局そういうのが先にありきで、シナリオの細かい部分は後付けだったんじゃないか、という事なんですよね。直上でも書いている様に大まかな流れは決めていたかもしれませんが、正直最後まで考えてはいなかったんじゃないか、と。

そう考えると、特に後半のスキアヘッドとカイゼリンの動きと最終盤の駆け足感も妙に納得できる。そして、バッタモンダーのやり過ぎ感をプリズムシャイン覚醒のキーに当てはめる事で無理矢理整合性を持たせようとした結果、味方キャラの描き方は申し分なくても、敵側の描き方とプリキュア達の関わり方で奇妙な齟齬が生まれてしまった。だからこそ、シャララボーグ事件以降が「ずれ」になってしまった。

もちろん、これは筆者の推論に過ぎませんし、真実は分かりようもない。でもこう仮定すると、わりかし辻褄が合う。

これは筆者自身の体験でもあるんですけど、創作物を作る時、最初に考え付いた設定等でがーっと書いてしまう方法と、結末を最初に決めてその過程を紡いでいく方法があると思うんです。で、筆者は圧倒的に前者タイプなんですが、これをやってしまうと締め方に本当に苦労するのですよね。この作品にはそれと似た匂いがするんですわ。

勿論、どちらにやり方にも一長一短があるでしょう。後者タイプの場合、急な思い付きを差し込みにくいという欠点を抱えますし、ただ、今回は前者タイプが悪い方向に出てしまったんじゃないかな、と。

考えてみれば、第12話では声だけで初登場したカイゼリンはカバトンを粛清しようとしているんですよね。いくら憎しみに捕らわれて性格が豹変していたにしても、300年前の優しかった頃の彼女からは考えられない所業です。あえて擁護するならば、生き永らえたカバトンやバッタモンダーに刺客を送らなかったのは彼女がそこまで残忍な性格にはなっていなかったことの現れかもしれませんが、こういう食い違いもカイゼリンのキャラクター性をそこまで深くは当時考えていなかったのでは? と言う疑念に繋がる。カバトンの粛清なんていかにもありがちな悪役ムーブですしね。

 

まとめ

そろそろまとめましょうか。

結論を先に言うと、プリキュアサイドの描き方としては名作と言って良いと思いますが、敵サイドの描き方は明らかに駄作です。

主にバッタモンダーとスキアヘッドの事について言及しましたが、プリキュアシリーズの根幹を揺るがしたにも拘らず放置同然の処遇となったバッタモンダーと、視聴者を騙す事に拘泥してしまったスキアヘッドは完全な悪手だったと思っています。

他にも、そもそもアンダーグ帝国がどこにあるかもわからないし、アンダーグエナジーの海ってなんぞや、そこから無限に生命体が湧いて出てくるというのなら、同じような事件はまだ起こるかもしれないし、そもそも最終回で浄化されたダイジャーグがアンダーグエナジーそのものだというのなら、もうアンダーグ帝国自体が国家として機能しない訳で、そこの女王に収まる事になったカイゼリンがどうなるのかも分からずじまいなど、粗を探せばいくらでも出てきます。

が、そこは大きな着眼点ではなかったのでしょう、スタッフにとっては。むしろ、プリキュア達の成長と精神性を主眼に置いており、はぐプリ程ではありませんでしたが思想的な内容も結構盛り込まれていた気がします。

具体的にはソラのヒーロー性やましろの優しさは言うに及ばず、知識への探求心を提示したツバサや、夢を諦めずに邁進する事と大切なものを守る事を提示したあげは、そして若くして亡くなったであろうエルレインの意思を継いで王家の愛情に応えようとするエルちゃんなど、味方サイドは見所満載で非常に良く描けていたと思います。

 

前作もそうでしたが、敵に関してフェイクを絡めたどんでん返しを狙っているのなら、それなりに敵サイドのヒントを提示しなければダメだと思いますし、プリキュアサイドをいくら良く描けていても、戦いを通じて敵と接する事がある以上はおざなりと言う訳にはいかないでしょう。

プリキュアシリーズは敵を駆逐するだけの物語ではないし、敵味方含めて善意を以て和解を良しとするのが基本ですが、それでも度を越した相手を許容すればそれは悪を許容したに等しくシリーズの根幹を覆してしまう事になりかねない。

この和解傾向はむしろ最近の方が強く感じますが、今一度、何を許容して何を許容しないのか、を良く考え直した方がいいように感じました。勿論、やるせない悲劇的なプリキュア、と言うのがこの先あってもいいとは思いますが、それならそれで敵の事情だけははっきり提示する必要性はあるでしょう。ハートキャッチプリキュアはかなりこの側面が強く成功した作品ですよね。

偉そうな物言いで申し訳ありませんが、今作はそれぐらいシリーズの根元を考えざるを得なかった、という所で今回は筆を置こうかと思います。

 

乱筆乱文失礼いたしました。

 

-------------------

*1:成人の血液量は4~5ℓであり、1ℓ失血すると生命に危険が及ぶ可能性がある。アンダーグエナジーで生命維持をしていた、浄化すれば死が訪れる、というのなら、致死量の血液をそれで補完していたという事であり、これが失われた瞬間、瞬時に元の血液を補完した事になる。しかも、ランボーグになってしまうほどアンダーグエナジーがシャララの体を充満していたというならば、その比率はもっと高くなっていた可能性すらある。

*2:強さが是であるアンダーグ帝国で過剰な筋トレを課せられ、アンダーグエナジーを操る能力もスキアヘッドには遠く及ばず、強さへの渇望と諦観の板挟みになっていた。

*3:ただ、謝罪の気持ちがあったとしても彼の性格から考えるに、あそこで素直に謝る様な男ではないが。

*4:敢えて、あの程度、と書かせていただくが

*5:特に第47話の虚偽退場の仕方は迫真過ぎて、全てを見終わった今となっては酷い騙し演出だと思う。