さて、今回は一応2話分の総評にはなるのですが、第41話は実質総集編回だったので、第40話のみのり個別エピソードにスポットを当てたいと思います。
第40話:成長物語としては良かったのだが…
話の流れとしては、トロピカる部発案の卒業フェスティバル、まなつの提案で部の出し物としてみのりの書いた小説「マーメイド物語」の演劇をやろう、という事のなるのですが、みのりはあの作品は欠陥品である、と拒否します。
しかし、ローラの提案でならば悪いところを直した上でシナリオ化すればいいのではないか、という話になりますが、みのりはそれを保留。
一方、まなつはマーメイド物語内に登場するアイテム「伝説のパパイア」がどんなものなのかに疑問を持ち、翌日、みのりを含むトロプリメンバーを伴って伝説のパパイアを探しに街に繰り出すのだが…というものでした。
しかし、探索開始すぐに伝説のパパイアが見つかってしまうという衝撃の事実(笑)。まあ、実際はブランド名だった訳ですが。こういうところにクスリと笑えるネタぶっこんでくるのいいですよね、トロプリ。
さて、みのり再起動回でしたね。話の流れとしては申し分なく、逆から言えばテンプレート的でもありました。
八百屋で伝説のパパイアのブランド名のパパイアを作っている農家との繋がりを得てそこを訪れるトロプリチームなのですが、そこでパパイアの味を知らなかった、どころか食べた事すらなかったみのり、そこから生じる自身の経験不足への自己嫌悪、そして初めて食べたパパイアを通じてトロピカる部の面々が自分に様々な経験をさせてくれていた事への再認識、という展開となりました。
何より象徴的だったのは、皆で楽しく農家さんに振舞ってもらったパパイアを食べながら「(自分の作中の)伝説のパパイアがあるとすれば多分こんな味なのでは」とみのりが言っていた事です。
パパイア自体が美味しかったこともさることながら、やはり心を通わせ合った仲間とともに食べればより美味しい、という事なのでしょうが、マーメイド物語に於いて、まなつ自身も疑問を持っていましたが、どうもその「伝説のパパイア」というものは正体が分からずじまいっぽかったのですよね。つまり、今回のまなつの誘いを以て、しかもこれまでも様々な経験を経て、彼女は「伝説のパパイア」という言うなればマーメイド物語の核、延いては自身の欲しかったものの象徴に対し一つ答えを見出した、と。
中盤でエルダが呼び出したエビ型ヤラネーダと戦闘になりますが、そこでもキュアパパイアは今までの経験が積み重なった今の姿こそがキュアパパイアなのだ、と啖呵を切りました。
そして素早い移動で味方を翻弄するヤラネーダに対し、四方からの同時集中攻撃を指示し、逃げ道を上に限定させたうえで攻撃を加える、という策士ぶりを見せました。プリキュアメンバーと敵の特性を見極めた頭脳戦は正に彼女の経験値の高さに裏付けされた真骨頂の様なシーンでしたね。
戦闘終了後はマーメイド物語ではなく、新たなシナリオを着手する事、そしてそれはトロピカる部のメンバーをモチーフにする事を皆に宣言して幕となりました。
しかし、どうにもこの話、個人的にはもやっとしました。
というのも、このマーメイド物語、どうも完結していなかったらしいのです。実際のところは良く分からないのですが、まなつがこの本を改めて読み返しながら「続きが読みたい」と言っているのです。
もちろん、未完品であろうと、文芸部の先輩に言われたことを気に病んで筆を折ってしまった事に破綻はないのですが、それならばなおの事きっちり手直ししたうえで完成させなくてはならなかったのでは? と思うのです。ましてや、今話の最後でマーメイド物語ではなく新作を書き下ろす、という事は、厳しい言い方をすればマーメイド物語という作品に対しては逃げたとも受け取れます。
言いたい事としては、マーメイド物語の核である「伝説のパパイア」=トロピカる部での大切な思い出と経験=それを反映させた新作、という構図なのは分かるのですが、マーメイド物語はまなつやかつての文芸部員から好評を得ているそれなりの作品である事も考慮すると、最後までやり遂げた方が良くないかな? とも思うのです。そしてその上で改めて先輩の意見を覗ってみればいい。新しい作品作りが再出発の狼煙、でも良いのですが、マーメイド物語が嫌な言い方をするなら踏み台になったかと思うと、それはなんか違うんじゃないかな、と。少なくとも続きを楽しみにしている人間が一人はいるんですから。*1
ただ、先回での回想でみのりは「書き終わった(時にやったと思った。傑作だと思った)」とも言っており、この表現からすると完結している様にも取れるんですよね。どうにもこの部分はあやふやです。みのりの物語の芯の部分だと個人的には思っているので、もう少し明確にしてほしかった。
…まあ、この創作物を最後まで書き切る、作り切る、というのは結構自分にも耳の痛い話で、私事になりますが、自分も処女作に当たる小説は完成させる事が出来なかったので自戒の意味も込めているのですが(^_^;)
次話である総集編でみのりの新作はまなつの提案もあり「トロピカる物語」に決まったようですが、どうも最終回に関りが出てくるような雰囲気もありますし、まだマーメイド物語の話が出ないとも限りません(別に作品そのものを廃棄したわけではないので)。あすかやさんごが割とすっきりした回答を提示したのに対すると、どうにももにょる内容だったので、最後までみのりの動向は気になりますね。
敵側の事情
第40話にてエルダがエビを核にした生体ヤラネーダが登場した際に気が付いたのですが、次回は鯨型が登場するらしく、やはり海の生物縛りでもあるんですかね? しかし、それだと、幹部達自ら…というのは一応適用できるんですよね。
そういえば、今回はエルダが出撃の際「そろそろ本気出しちゃおっかな」と妙に大人びた声で言っており、ここら辺の動向も気になります。
第41話ではみのりが新作の脚本作りの参考にしようと、今までのトロピカる部や仲間内の軌跡を追憶する、という内容だったのですが、敵側も三幹部達が集まりながらだべっており(あれを会議と言っていいのかわからいので)、ランドビートダイナミックを凄い技だった、と回想しているんですね。これ、何気に先回海のリングを狙った理由付けにもなっています。こういうところは丁寧でした。
第41話で気になった点としては
あすか初登場のシーンを再度見ることになりましたが、初変身時の啖呵といい、彼女はやはりセーラームーンでいうところの外惑星戦士枠の方が良かったんじゃないかなあ、少なくとも中盤までは、と思ってしまいました。まあ、この手のキャラクターが出るといつも思ってしまう事ではあるのですが。近作ではスタプリのユニがそのポジションでしたね。
ただ、あすかの場合、特にローラとのやり取りもあって、すぐになれ合うのは少し違和感があったんですよね。まあ、まなつの人徳かな。
ローラは回想しながら大部分ところどころを盛って話すのが相変わらずの可愛さでしたが、例の「人魚はプリキュアにはなれない」については「私はその枠を飛び越えたスゴい存在」ぐらいの認識なんですね。彼女らしいですが、それ以上にこの作品の作風かな、とも感じました。
尤も、グランオーシャン側の事情も伝説のプリキュアの件も含めてまだまだ謎な部分が大きいですし、最終盤に向けて語られることもあるかもしれません。そして上でも書きましたが…
次回はとうとう鯨モチーフ、そして最強のヤラネーダが登場するそうです。最終決戦への前哨戦の匂いがぷんぷんします。そして、個別エピソードを着実にこなし、伝説のプリキュアやグランオーシャンの秘密もある程度語られ、敵の最強モンスターを浄化する変身フォームも登場済み、敵側も三幹部の上に当たるバトラーが出張る事が多くなり、いよいよ駒が揃ってきた感を鑑みても1月末決着ですかね、恐らく。
ここまでのトロプリをかいつまんでナナメからバッサリ
物書きの立場で言わせてもらうと、こうなると創作って一気に楽しくなるんだよね。頭の中でキャラが勝手に動いてくれるの( ´艸`)
----------------
*1:ただ、途中でマーメイド物語に手直しを入れているシーンは挿入された。