どさくさに紛れてナニ言っとんじゃあ、ワレェ!(# ゚Д゚)
さて、不測の事態を受けて、突如はぐプリ映画が三週に渡って放映されたわけですが、映画館に行くということが殆どない筆者にとってはいい塩梅となりました。ですが、東映にちょっかいかけた輩は許しがたいですし、何とも迷惑な話の上というのは若干モニョりますが、ね。
話の流れとしては、突如襲来した謎の敵・ミデンを初代&はぐプリチームが迎撃する…というものなのですが、このミデン、プリキュア達の記憶を次々と奪い、奪われた者たちは幼児化し、挙句に奪ったプリキュア達の技等をそのまま使用可能…という難敵で、はぐプリチームが襲われた段階で初代の二人(ルミナスも幼児化された)以外は全滅というなかなか厳しいスタートを切ります。
紆余曲折あって、はぐプリチームのはなを除いた四人とほのかまでも幼児化されてしまい、怯える幼はぐプリチーム&ほのかに翻弄されるはな&なぎさ。記憶を奪われ泣きじゃくる4人にとうとう堪え切れなくなったはな、そんな折、ミデンが再襲来。ほのかの幼児化で変身すら出来ないなぎさが身を呈してはなを庇い…というものです。
はなとなぎさの対比
さて、最初に面白いな、と感じたのはこれでした。
この作品はオールスターを謳ってはいるものの、実質は初代とはぐプリチーム、それもはなを中心に据えられて展開していきます。
ミデンが記憶を奪う事によって相手を幼児化させる能力を持っている、という事で、思い出を蘇らせることでその呪縛を打ち破る、というのが物語の大まかな流れなのですが、序盤最後で幼児化したほのかをなぎさは個人的な想いでそれを成就したのに対し、はなははぐプリメンバーを絶対に守る、という強い意志を以て幼児化した4人からの応援を受け取る、というものでした。双方ともにお互いの想いのやり取り(交換)ではあったのですが、なぎさが個に対する強い思いだったのに対し、はなは関わった全ての事象に思いを馳せた上でなんですよね。実際、初代の二人のやり取りはほとんど愛の告白みたいなノリでしたし( ´艸`)。
ありがちな言葉で言えば、はなのは「母性」になるんですかね。泣きじゃくり思い思いの行動をとる幼はぐプリ組に対し、とうとう泣き出してしまったはなは「皆に忘れ去られたことが辛い」と溢しています。さあややほまれ、えみルルコンビとの縁だけではなくそこまでの過程をすべて奪われてしまったからこそあそこまで悲しんだ。本放送でもそんなところありましたよね、彼女は。だからこそ過去のいじめ問題にも敢然と立ち向かった訳ですし、相手がどんな境遇であれ応援できる。
初代&はぐプリチームが全員復活し、ミデンを追い詰め初代がとどめを刺そうとした瞬間、彼の境遇を知ったキュアエールが同情してしまい、相手に逆転のきっかけを与えてしまったのも「らしい」シーンでした。
どちらがいい悪いという話ではなく、性質の違いが面白い。なぎさ(&ほのか)が一直線に信念に対し突き進んでいくのに対し、はなは広範囲に思いを振りまく&受け取る。良い対比だと思います。そのはなもなぎさのひたむきさを見て一瞬でも弱気になった自分を恥じて幼くなった4人を守り抜く強い決意を固めたわけですし。
これだけでも、この作品が初代と組ませた価値があったと思うのです。次回以降も過去作品とのコラボ映画がありますが、俄然見てみたくなりました。どういう風に絡めていくのかとても興味ありますし、評判も良いみたいですし。
あと、他の幼児化したプリキュアを復活させるのに“映画の観客の思い出を分けてもらう”演出は上手でしたね。このシーンは映画版ではお約束だそうですが、これは上手い使い方だな、と素直に感心しました。
そして、全員復活したプリキュア達を邀撃すべくちびミデンとの乱戦に突入するのですが、その際にも、キュアエールはミデンの精神世界の中で「私まで出て行ったらあなたは本当に空っぽになってしまう」と追い出そうとする力に逆らって彼の深層意識に向かっており、本当にこの子は慈悲深いというか…救いを求める相手をどういう形であれ放ってはおけないのですね。
ミデンについて
結論から言えば、彼は古ぼけて使い捨てられたカメラの物霊です。フィルムすらない状態で打ち捨てられた怨恨がやがて思い出=記憶を奪い求める怪物になってしまった。しかし、その奥底には冷たい雨に打ちひしがれる、という形容が為された弱々しい霊的な存在がありました。それが故にテルテル坊主がモチーフになっていたのは上手でしたね。
このキャラクターが面白い…というか考えさせられたのは、プリキュアの思い出を奪った段階で、様々なプリキュアの性質が顕現する…特に台詞でした。
というのも、方々で歴代プリキュア達の台詞をしゃべるのですが、勝ち誇った際には「何でもできる! なんでもなれる!」と宣い、「ぶっちゃけありえなーい!」とおどけ、怒れば「堪忍袋の緒が切れました!」と、あのテルテル坊主モチーフのちょっと不気味な顔を真っ赤にする。
そう、プリキュアの決め台詞って悪意の下で発せられるとこんなに怖い言葉になるんだな、って今更ながら怖くなりました。
もちろん、本来その言葉を発するプリキュア達に悪意はありません。正しい心と強い意志で発せられるからこそ強いメッセージ性になる。でも、だからこそ反転するとこんなに恐ろしい事もない。
プリキュアの技等も含めて、今作はそれが初代&はぐプリチームに降りかかった訳ですが、強い力というのはその反対も考えなければならない。果たして、制作側にその様な意図があったかどうかは分かりませんが、個人的にはミデンはそういう空恐ろしさを存分に表現した悪役だと感じました。
ちょっと話の軸が弱かったかな?
終盤には大乱戦もあり、概ねオールスター物としては満足いく仕上がりだったのですが、個人的にはミデンの由来が不透明、というか、接点がイマイチないのが不満点と言えば不満点でした。
ミデンの正体は上でも書いたように古ぼけたカメラ。さあやが「幻のMIDEN F mark2」だと言っていましたが、幻の、がつくあたり、相当古い品であることが伺えます。上で打ち捨てられたカメラの物霊、と書きましたが、正確にはそんなことは一言も言及されておらず、あくまでも推論の上で物語の流れ的にそう結論付けただけです。
ところが、このカメラ(以下MIDEN)ははぐプリチームは言うまでもなく、他のプリキュア達との接点も見当たらない。はっきり言ってしまうと、ぽっと出過ぎるんです。
オールスター映画というと、印象深いキャラクターで話の主軸にもなったNEWSTAGEシリーズの坂上あゆみ=キュアエコーがいましたが、あの作品はあゆみの複雑な身の上と心情を丁寧に描写したからこそ成功した作品であって、こういう描写がミデンにもMIDENにも薄かった。というかMIDENに至っては皆無です。
フィルムがない状態=空っぽだったことを埋め合わせるように人の思い出を奪ったのは分かりますし、その性質上カメラをモチーフとして取り上げたのは分かるのですが、そうなると今度は(強い思い出の力を持っていたにしろ)プリキュア変身者をピンポイントで狙う、という力の渇望にイマイチ結びつかない。プリキュアである必要性がそもそもない。はなが持参したデジカメからミデンが出現する表現がありましたが、カメラで写真を撮ろうとしている=思い出を作ろうとしている人間なんて、世界中にいくらでもいる。
MIDENとプリキュア達との繋がりが希薄が故に、ここだけはどうしてもほっぱらかしにしている様に見えてしまっています。最後にMIDEN自体がはなの所有物になり、一緒に思い出作りをしていこう、という結末ありきだったのは分かるのですが、せめて打ち捨てられた理由なり、は欲しかったです。
後はこまごま気になった点
- 序盤の怪物による観覧車大回転は、中の人ミンチでは…(^_^;)
- ルールー幼児化→ネジ!? はギャグのつもりだったんだろうけど、少し説明が欲しかったかも。ただSNS上で誰かが言ってた「観覧車から抜け落ちたネジだったのでは?」は上手い推察。
- 途中からCGになるが、表情なんかはまだまだかなあ。キュアエトワールの考察シーンとか結構ひどい。
- レポーター役の人は素人さん? 声優の凄さを再認識させられると同時に、この声はちょっと辛かった。
- 幼女化したプリキュア達かわいい…
- キュアフローラが力技を!?
- 決め台詞を言わせたかったのは分かるんだけど、ミデンの事情を知った上で「愛を知らない悲しいカメラさん」はちょっとむご過ぎないか、キュアハート…
- プリアラでもあったけど、一人をみんなで取り囲むの怖い! 怖い!( ´艸`)
スケジュールが狂ってしまったのは如何ともしがたいですが、サプライズのオールスター映画楽しませてもらいました!
来週はデパプリ第5話のリバイバル放送。それを経て再来週(4/17)本放送再開の様でほっとしています。返す返すも犯人は許しがたい。嫌がらせなのか、デジタル身代金目的なのかは知りませんが、卑怯な振る舞いはいずれ自身を地に堕とすと思いますがね。
今回の映画をかいつまんでナナメからバッサリ
大乱戦シーンはプリキュア達の様々な戦いが拝めたが、手をつないだ状態で駆け抜けるだけでミニミデンが次々と散っていったSSチーム、かっこよすぎて惚れた…