BeautifulJAPANというPanasonicの企画があります。
来る東京オリンピックに向けて、日本の美しい風景を4K動画で配信するという企画です。
県ごとに徐々に増えてきているようですが、静岡県の回に自転車選手を夢見る三人兄弟の子供たちが出演しています。
日本は自転車競技(ロードレース)では、まぎれもなく後進国であり、こういう子たちがいる事は喜ばしくもある反面、辛いなあ、と感じる事もあります。
正直、日本においての自転車の地位があまりに低すぎるのです。
ニュースサイトで何か自転車の話題が上れば、ここぞとばかり「自転車は邪魔!」「道路交通法が間違っている。自転車は排除で」という意見が声高に叫ばれ、行政が自転車用に設置した専用レーン(左端に青い塗装ほ施してあるゾーン)があれば、たちまち自動車の違法駐車の餌食になり、駅前に行けばろくすっぽ駐輪場も整備されていない癖に、ここに止めるな、そこも止めるな…
はっきり言ってアホらしいです。
別にネットの世界だけではなく、私の身の回りにもこういう意見を言う輩は存在します。最初こそ道路交通法の自転車規則を説いたり、その考えは間違っている、と反発していましたが、最近はそんな事は無駄だと悟り、こう言うに留めることにしています。
「自転車のマナーが悪い? 邪魔? 勝手に言ってろ。俺は法を遵守して自転車に乗る。それだけだ」
人間なんてイメージがものをいう生き物です。自動車優先の社会に生まれ、その環境下・文化で育てられればそういう考えがベースになるのは当然で、そういう人間と議論するのは時間の無駄です。
そういう人たちを悪し様に言うつもりはありません。実際のところ、自動車なんかなくたって不便なく生活できる、なんていうのは日本では東京・大阪・名古屋などの電車が数分おきに行き来し、他の交通網も発達している様な大都市に限られ、それ以外で生まれ育った者にとっては自動車は必須の文化であり、それこそ生活に密着したベースになります。
私は色々あって新潟県やその出身者に友人が多数いますが、自分の自転車趣味の事を言うと鼻で笑う人が数人いました。要するに「自転車なんてガキの乗り物」という発想みたいなんですね。彼らは免許が取れる年になると、まず真っ先に免許を取るそうなんです。さもありなん、と思いました。要するに免許を取得する、というのは年齢の事も相まって「大人になったという証」も兼ね備えているのですね。
全ての大都市圏以外の人間がそういう思想、という訳ではないでしょう。
ですが、自動車がそういった生活に密着した文化を発展させ、反面、その自動車の邪魔をしている自転車、という思想は日本ではあまりに根深く、これが根本的に解決する事は多分今後もあり得ないでしょう。*1
だからこそ、今回の動画に出てきた3人にとって、自転車の選手になる、というのはいばらの道以外の何物でもありません。文化レベルでアウェーでの戦いを強いられるんです。野球やサッカーとは訳が違う。
しかし、それでも、だからこそ、頑張ってほしい。古くは市川選手や今中選手が、そして現在、新城選手や別府選手、いや欧州で活躍している選手だけではない、国内でも足を磨いている選手が大勢います。
あと5年で東京オリンピック。彼らはその頃には選手に選出される可能性が出てくる年齢になるでしょう(特に長男の子)。彼らが東京を駆け抜ける姿を5年後に見てみたいものですね。
-----------------------------------------
*1:ちなみに私は自転車に対して「邪魔」という表現を使う人間に対して、自転車の話は一切しない事にしている。他人の思想に口を挟む気はない。ただし自分の思想も口にはしない。