近頃はすっかりプリキュア感想の更新に追われてしまい、最早プリキュアブログと化していた当ふらあそですが、久々にプリキュア以外の記事を書こうかと思います。が、なんかタイトルからして結構不穏な感じですね(苦笑)。
とはいうものの、このタイトルはまごうことなき事実であり、注意点も含めてその経緯を書いていこうかと思い筆を執りました。
まず、TyrellFXという自転車について
香川県にあるメーカー・Tyrellさんから発売されている、高次元の走行性能と折り畳みによる小径車ロードバイクです。詳しくはここ↓を参照。
FX 概要|ロードサイクルブランドのニューカマーTYRELL(タイレル) 有限会社 アイヴエモーション
実際乗ってみると分かりますが、折り畳みとは思えない高次元での走行性能が確保されており、値段こそ他の折り畳み自転車*1を大きく上回りますが、それに見合うだけの性能を有しています。
折り畳み性能について
まずはこの公式の動画を参照してほしいのですが…
非常にスムーズに瞬間折り畳みをしていますが、実際のところはなかなかこう上手くはいきません(苦笑)。
というのも、折りたたむ際に安全ピンの脱着、フロントフォークの折り畳み時のノブ回し、ステムの折り畳みなど、過程が非常に多く、どうしてもBD-1やブロンプトンに比べるとシンプルさでは水を空けられています。
私自身がのんびり屋という事もありますが、5分ぐらいは見ていた方が無難でしょうか。更に言えば、折り畳み時の大きさも若干嵩張るものとなっており、折り畳み性能そのものを第一優先とするならば、あまり選択肢に入らない構造です。
しかし、過程が多い故に非常に堅牢な機構であり、延いてはこれが走行性能をスポイルしない形につながっています。チェーン脱落防止パーツや折りたたんだリア部分をフレームにつなぐパーツなどは非常によく考えられています。
何より、走りの性能をスポイルしないという事は、十分に走った後に輪行をする際に小さくまとめて袋に入れられ、電車内でも省スペース化が可能という事であり、少なくとも700Cのロードバイクの輪行に比べればはるかに楽に輪行が可能という点にあります。
気になる走行性能は?
この自転車の売り文句の一つに、700Cのロードバイクに匹敵する性能を持っている、というのがありますが、残念ながらこれは大嘘です。
と言うか、どだい20インチのホイールで700Cのバイクに勝てる訳ははなからないんです。もしロードバイクと遜色なく走れるというのならば、その人は剛脚さんだと考えた方がいい。少なくとも自分では700Cの方が速く楽に走る事が出来ました。
しかし、他の折り畳みに比べれば、走行性能は折り紙付きです。
自分の経験でいうと、過去に乗った事がある折り畳み自転車、ブロンプトンM3、BD-1、DAHON・VISC20、KHS・F20Rの中では頭一つ抜けています。唯一匹敵していたのがORIのSURPAZぐらいでしたが、これはFXの倍の価格を取られてしまいます。アルミフレームである事から硬いと思われがちですが、実はそこまで硬いというイメージはありません。あの独特のフレームの形が関係あるのかもしれませんね。
これぞふらあそ流
これらもろもろを考慮してフレームから組み上げた自転車がこれでした。
私は最初からこれを小径ロードバイクとしてではなく、どちらかと言えばランドナー的な立ち位置として考えました。
理由は、上にも書いてある様に、輪行をする際の便利さ、どうせスピードならロードバイクに譲る形になるのだからのんびり仕様にしたい、また、自分は通常より短足な体型なのでシートピラーがあまり出せず、大きなサドルバッグを装着する際苦労があったのだが、これならば20インチならばその心配はほぼ皆無である、など様々でした。
レバーもダブルレバーをサムシフターを流用して採用、ブレーキレバーをギドネットにしてみたり、ギヤもアウターを48Tにしてあえてのんびりギヤ比を設定してみたり、アイデアを詰め込みました。実際、非常に気に入っていました。
ですが
完成してわずか半年、この子は里子に出される結果となりました。
Tyrell-FXの弱点
ここから先は、この自転車を気に入っている方などは読まない方が無難です。それなりの時間乗った上でこそ見えてきたネガティブな事を記していきますから。
・意外と汎用性が見出せないハンドル周り
この自転車の折り畳みのキモの一つにターンステムを用いてハンドルを90度回転させる機構があります。しかし、ステムの横にその開閉レバーがあり、この動きを阻害しない様にスペースを空けてあげる必要性があります。
これが何を意味するかと言うと、少なくともステム本体にサイコンやベル、ライトといったバーツを付ける事が出来ないという事です。更に開閉レバーの大きさは意外と大きいものであり、これによりハンドルの右側にもその手のパーツが付けられなくなります。付けるためのバンド類がレバーに干渉してしまうのです。
もちろん、私はギドネットレバーを採用した事により、更にこれらのパーツを突ける選択肢は狭まりはしたのですが、とりあえず、ハンドルの右半分とステムは事実上死んでいると思ってください。
・スラントデザインの弊害
これは大した問題ではないのですが、フレームのX字のデザインをTyrellはスラントデザインと呼んでいます。
非常にかっこよく、このバイクが目立つ要因の一つともなっていますが、反面、足つきが非常に悪くなります。というのも、一旦バイクを止めようと足を付いた後にこのデザインだとトップチューブがないため、股で自転車を支える事が出来ないのです。
もちろん、ハンドルを手で支えれば問題はないのですが、逆に自転車を止めて手を使いたい状況(携帯電話をかけるなど)の時、非常にやりずらく結果的に自転車を一回駐車し降りる必要性がありました。
また、ダウンチューブにあるボトル台座の使い道が実質ポンプ装着一択になっており、またその場所も非常に狭いスペースしかないため、ポンプを非常に取り出しにくくなっています。
・タイヤの選択肢が実質一択しかない!
そして、これが私が最終的にこの自転車手放すことになった最大の要因でした。
この自転車はその走行性能を最大限に発揮するために、非常に細いタイヤが使用されていますが、フレームの構造上、特にフロント側が細いタイヤにしか対応していません。
使用されているタイヤはシュワルベのデュラノPTという対パンクベルトが入っているもの。タイヤサイズは 20"×1-1/8です。
しかし!
このタイヤが非常にパンクに弱い! 少なくとも走行距離1300kmで糸くずの様にか細い針金で1回、ホチキスの針で1回パンクしました。当然、完全貫通パンク。
お話になりません。
それならば、耐パンク性能の高いタイヤを試してみようと調べてみたのですが、そこで驚愕の事実を知りました。
このホイール径(406)の1-1/8の太さのタイヤはこのシュワルベのデュラノしか存在しないのです! これより細い0.9のタイヤが同メーカーのアルトレモにありますが、これはバリバリの軽量タイヤであり、PTを謳っているデュラノより更に対パンク性能は落ちると考えられます。
他の406のタイヤは太さがそれなりのものであり、とてもFXのフロントフォークには入りません。
もちろん、パンクは直して使えばいいだけの話かもしれません。いくら不器用な私でも自転車乗りをやっている以上、パンク修理ぐらいは出来ますから。
しかし、上でも書いた様にツーリング仕様を目標に作った自転車に、この欠点は致命傷でした。
パンクに怯えながらツーリングするなんて言うのは最早本末転倒も甚だしい。
せめてシュワルベ・マラソンの細いバージョンがあるか、一番細いマラソンが入るフレーム構造ならば…というのが悔やまれます。
という訳で
以上の理由によって、わずか半年という短い間で、Tyrell-FXという非常によくできた自転車を手放す結果になりました。
念押しすると、いくつかの欠点を挙げはしましたが、非常によくできた自転車です。
小径車の本来の使い方は町乗りから小規模ツーリングまででしょうから、メーカーが想定したであろう使用方法であれば、これらの欠点はさしたる問題にはならないかもしれません。
ただ、もしこの記事に目を通して頂いた読者の方で、これから購入予定があるというならば、参考の一助になれば…と記事を書いた次第です。
結局のところ、小径折り畳みツーリング車の構想はまだ捨て去ってはいないので、またゼロからとはいえ色々考えたいと思います。
候補はタルタルーガとかバイクフライデーとか、ツーリングの事を考慮しているデザインのものかねえ…TyrellのCXの折り畳みバージョンとか出ればッ!!
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*1:完成車基準の場合