ふらあそ!

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【アニメ】HUGっと!プリキュア/総評

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さて、先日の日曜日に大団円を迎えたHUGっと!プリキュア(以下はぐプリ)ですが、まずはスタッフの皆さん、一年間本当にお疲れ様でした&ありがとうございました。

 

今から一年を通しての総評を書くことになる訳ですが、何というか…近年のシリーズでは稀に見る評価が難しい作品だと個人的には感じました。どんな作品にも良い所、悪い所があり、感想を書く際その摺合せには悩む事にはなるのですが(特にスパンが一年と長いプリキュアシリーズは尚更)、これほど悩んだのはハピネスチャージプリキュア以来です。今回の総評を書く初動(本日は1/31木曜日です)が遅かったのもこれによるところが大きかった。

例によって例の如くなのですが、ここから先はかなり辛辣な事を書くかと思います。特に今作は神作だと感じる人も多いでしょう。実際にそれだけのポテンシャルがあったのは事実です。故に今作に対する批判を見たくない人は素直に回れ右した方が良いと思います。実際のところ、自分の意見がマイノリティである事の自覚もあります。

 

故にここから先は自己責任の範囲でお願いいたします。

以下、長文注意↓

極上の素材たち

この作品はシリーズ15周年作品という事もあって、当初の気合の入り方が半端なかったです。そして、それに見合うだけのポテンシャルを確かに持っていました。

キャラクターデザインにシリーズではエース級と言っていい川村敏江さんを擁し、シナリオも今までになかったタイムリープを匂わせ、各話タイトルは歴代のシリーズの標語を所々に散りばめ、主題歌にはシリーズの歌姫・宮本佳那子さん、更には放映中に公開された映画は久々のオールスターもの、と、まるで約束された勝利の剣の様でした。

声優さんも有名どころならば小倉唯さんを筆頭に田村ゆかり・奈央さんのW田村コンビに加え、あまりメジャーではなかったものの実力十分の引坂理絵さんや本泉莉奈さん、脇役も一流どころが固められており、非常にレベルの高い布陣で安心して見ていられました。

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そう、神作。正に神作になる要素は揃っていました。

…ですが、回を追う毎にその感覚は次第に薄れていきました。色々な解釈があるでしょうが、この作品は大きく分けて3つのパートに分かれていたと感じます。そして、そのパートごとに大きな転換期を迎え失速していったイメージがあります。

 

シナリオ前半について

前半部はスタートから第22話「ふたりの愛の歌!届け!ツインラブギター!」までとしたいと思います。いわゆる初代降臨回までですね。人によってはえみルルコンビメインエピソードを分ける場合もあるかと思いますが、個人的にはここが第一の分岐点と考えました。

前半部という事もあって、メインキャラクター達のエピソードを中心にして最終的に5人チームとして結束を固めるまでの期間ですね。正直言うと、この前半部については申し分はなかったと思っています。個人的に鼻に突いた初代降臨回もえみルルコンビの最後の結束を固める重要な役割を担っており、ここまでは非常に良い塩梅で進んでいました。あえて言うならばえみルルコンビの比重がちょっと重すぎたかな、とは思いましたが、好奇心旺盛な性格から職業体験に積極的なはな、真面目な娘ながら意外と螺子が外れたところがある上に負けず嫌いなさあや、ケガからスポーツ選手としての在り方に悩んだほまれと、掘り下げが進みました。

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そして、上でも書いた様にえみルルコンビの友情には本当に涙する展開が多く、唸らされました。特に前半部のお互いを思いやるシーン(残念ながら後半部からは単なる仲良し、という描写に留まる事が多く、この感覚は薄れた)は目を見張るものが多く、えみるのルールーを庇うための啖呵には拍手喝さいを送ったものです。この物語の主人公は紛れもなくはなでしたが、えみルルコンビ(特にえみる)はもう一人の主人公と言っていい出来栄えだったと思います。

他にもキュアエールが剣の道を選ばなかった展開やほまれ師匠回などえみルルコンビ意外でもグッとくる話が多く、キャラクターの描き方は非常に良かったです。掴みはオッケーだった訳ですね。

細かい部分を言い出せば、ルールーは野乃家に居候していたにも拘らずそういう生活感があまり出ていなかったり、なぜマザー出現後にプリハートが分裂したのかの説明が一切ないなど、不備はありましたが、それもそこまで目くじらを立てるものではありませんでした。

 

シナリオ中盤について

第23話~第37話までを中盤と定義づけしたいと思います。初代降臨回からオールスター回までですね。

個人的にこの作品最大の失敗はここでの展開の拙さだったと感じています。オールスター回については色々思う所があるので後述しますが、問題はこの期間にある程度の布石の解決を行わなかった事にあります。

中盤は前半部で重めに扱われたえみルルコンビを少し差し置く形でメイン三人にスポットを当てる回が多かったのですが、それについては問題はなかったと思っています。特にはなのエピソードでプリキュアシリーズでありながらいじめ問題というネガティブなテーマを提起したのは称賛に値します。他にもさあやの進路やほまれの恋心など、後半に向けての布石張りもしており、この辺りについては問題はなかったのですが…

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前半部の初期にこの作品はタイムリープ、若しくは時間がらみである事が匂わされていました。プリキュアメンバーが同時刻に時間停止の不思議な感覚を味わっていた事、ハリーが未来から来たことを明言した事、何より不思議な赤ちゃん・はぐたん(成長後の正体への疑問)の存在など、今までになかったシナリオ性の深さにも注目が集まりました。

が、この中盤においてもこれらの布石が何なのか語られる事はほとんどありませんでした。この頃にはそれなりの仲に発展していたほまれに対してハリーが若干の事情を語る事はありましたが、それでもはぐたんの事に対しては徹底的に口を噤むなど(最後まで見れば分かるのだが、それほどハリーははぐたん=キュアトゥモローに傾倒していた証左でもある)メインの謎に全く切り込みませんでした。

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深いシナリオをやりたいのであれば、これらは適度にばら撒かなければダメだと思います。特に中盤は、ある意味別世界を展開しがちなえみルルコンビよりもメイン三人組にスポットが当たったのですから、その機会はいくらでもあったはず。プリキュアシリーズは一年もの長い期間を以て物語を構成しなければならないのですから、唯一事情を知っているハリーが(キュアトゥモローの件があるにせよ)それを全く喋らないというのは、不実と言われてもしょうがないでしょう。

そして、この謎を中盤になってまで隠し通し後半に突入してしまったのが、この作品の失速につながっていった…個人的には感じました。

 

シナリオ後半について

第38話~最終話までを後半と定義します。

途中にオールスター回を挟み、いよいよ物語が佳境に入ってくると、今までの謎が次々と解明されていくのですが…遅きに失したというのもそうなのですが、世界観そのものがこの期に及んでイマイチ不透明だったのが、さらなる失速を招いた…というのが感想です。この頃になると、エピソードの主題に早く入りたいがために、導入を拙速にしてシナリオがドタバタになる事が多く、しかも、それですら細かい事情が分からずじまい、という展開が多くイライラさせられたのも事実です。

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設定暴露の山場としては、やはりはぐたん=キュアトゥモローであった事でしたが、この頃には引っ張り過ぎていて「ああ、やっぱり」程度の感想しか湧かなく、しかも重要案件であろう、金色の女神に関しては最後まで正体すら分からないという体たらくで、正直この頃は記事を書きながら心の中では「もう全ての布石の消化は不可能だろうなあ」位に考えていました。

エンディングも最終話前半であれだけ感動的に未来組との別れを描いたのに、エピローグではその顛末も分からず、やはりもやもやが残るものとなりました。

 

世界観の描き方の失敗

そもそも予めばら撒いた謎を後半に一気に解明する手法自体は今までもなかった訳ではありません。直近ならば魔法使いプリキュアがその例であり、マホウ界とナシマホウ界の秘密と、それに付随するはーちゃんの謎も一気に解明した事例がありました。

しかし、今作に関してはその手法が一気に不満点になって爆発しました。その理由が世界観そのもの描き方を失敗している点です。魔法使いプリキュアの様な明快な描かれ方が全くなされていないのです。

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まず、最初に思ったのがハリーやはぐたん=キュアトゥモロー、クライアス社側の人間がいた未来の世界、それそのものがどういう世界か全く分からなかった、という事です。

それは、もちろん読んで字のごとく、はぐプリの舞台の未来の世界です。ついでに言えば最終回で判明したのですが2030年+α年の世界です。更に言えば、その世界はジョージ・クライ曰くクライアス社が手を下すまでもなく人間たち自らが歩みを止めた世界でもあり、ハリー曰く今より少し文明が発達した近未来である事が明言されています。

なのですが、その世界ではネズミが人語を喋り小さな集落を形成していたり、そもそもクライアス社自体が何をしているのか最後まで分からなかったり、その描き方は未来の世界、というよりは単なる異世界としか思えないんですよね。

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そして、その未来世界についても正直言うと途中でほっぽりだしたようにしか見えませんでした。最終回、未来組の連中がドクタートラウムの発明したタイムマシンによって未来の世界に帰還しましたが、その後がどうなったのか全く不明でした。最終回で2030年の未来が描かれましたが、あの先にクライアス社が活躍する時間停止未来が来るとはちょっと考えられません。

それほど、作中での2030年は明るさに満ち溢れており、2030年に推定小学生状態(ランドセルを背負っていたので)のあの純真なジェロスやチャラリート、産婦人科の助手をやっていたダイガン、幼い状態で復活したルールーあたりが更に十数年後*1、クライアス社に入社して悪事を尽くす…とでもいうのでしょうか。とても考えられない。

そうなると浮上するのが、作中の2030年と時間停止未来は切り離された別の世界になってしまった、と考える道がありますが、それだと今度は時間停止未来がどうなったのか全く分かりませんし、何より残りの未来プリキュア達がどうなったのかも分からずじまい。何よりこの流れだった場合、えみるとルールーとは永遠の別離になった事になり、延いては2030年に幼いルールーに出会った事も含めて切なすぎでしょう。

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この最後の時間関係の帰結を明確に描かなかったのは想像の余地を残すためだったのかもしれませんが、ことタイムリープものは物語の流れ的にどうしても最後の結末をどうするのか? という点に目が行きがちです。はぐプリチームの活躍により未来そのものが変わったのか、タイムパラドクスによるパラレルワールドが形成されたのか、それとも2030年のその後にクライアス社出現により元の未来に帰結するのか…どちらにせよ、ここを誤魔化してしまったのは悪手だったと言わざるを得ません。

自分も物書きの端くれですし、過去の体験や既成の作品を見ていて思うのは、タイムリープ・タイムパラドクス系のお話って本当に難しいですよ。納得いく結末をどこまで導き出せるのか…一歩間違えば間違いなく齟齬が生じますし、そこが気になり始めると芋づる式に矛盾がずるずると生まれかねない。

今回の時間系の物語をプリキュアで取り上げる、というそのチャレンジ精神は評価したいですが、残念ながらまだ早かった、というのが個人的な感想です。放映初期にこのテーマを捌き切れるのか、非常に危険視したものですがこれに関しては的中してしまいましたね…

 

次にラスボス・ジョージ=クライ(プレジデント=クライ)が最後まで全く正体不明な存在だった事が、この作品の世界観をよりぼんやりしたものにしました。

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とにかく人間離れした能力を有し、一動作で町中の人間からアスパワワを奪取しトゲパワワを増幅、時間を止めてしまいます。強大なアスパワワを持つプリキュア達は動けるもののキュアエール以外の4人は最終盤でもほぼ手も足も出ない状態でやられてしまい、覚醒したキュアエールとの一騎打ちでもやや優勢という驚異的な体術を誇りました。

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おおよそ、人間とは思えない存在でしたが、その力は彼が常に手に持っている未来日記(仮称)によるところが大きいのは度々散見はされていました。が、これも最初は未来の出来事が書いてある魔導書の様な存在かと思いきや、最後の決戦ではその本に書いてある通りにならない事に激昂したり、ちょっと良く分からないんですよね。

また、彼の行動理念そのものも最後まで不明瞭でした。一応、理屈としては

未来世界では人間たちがどんどん堕落していってしまいトゲパワワが自然大量噴出し時間そのものが止まってしまったため、そんな醜い姿を見るぐらいなら私自らが人間どもを過去から粛清してやる。ほうら、美しいままで時間が止まるだろう。

と言うものなのですが、そんな中でもはなだけは特別な存在と捉えている様で、彼女を少なくとも物理的に傷つける事は最終決戦までやりませんでした*2し、複数回の出会いに加えて、終盤ではクラスペディアの花束(花言葉が永遠の幸福)をプレゼントしたり、かなりの執心を見せました。それ故に未来世界に於いて何か因縁があるのではと目されてはいましたが…

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最終回で名言こそされませんでしたが、彼は十中八九、はなの未来の旦那さんです。最終決戦の時、巨大化したクライとキュアエールが最後の戦いをしている際に若いクライがこの戦いを見ているシーンが挿入されましたが

いや、無理あり過ぎでしょ。

確かにはなは作中でもクライを気にかけている描写がありましたし、クライアス社の社長で敵であると認識した後も「悲しい目をしている」、最終決戦終了後に後ろから抱きついて「貴方が未来を信じていないなんて嘘だ」と理解を示しましたが、彼自身は世界を滅ぼそうとした完全な巨悪です。しかも上でも書いた通りとんでもなく自分勝手な理屈で。

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演出上仕方なかったのでしょうが、作中でも前触れもなくはなの目の前に現れ、思わせぶりなポエムを呟いて去っていくというスタンスだったためストーカーと揶揄され、仮に若いクライがはなに魅せられたと仮定しても、それは最終回一歩手前の思わせぶりな登場のみ(実際、顔を隠していた)。

これでジョージ=クライそのものではないにせよ、若いクライとはなが最終的に結婚して二人の間に子供まで設けられた、と。

ごめん、これは納得できませんわ。はなってそこまであっぱらぱーじゃないでしょ。

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ところではなが産んだ子供、金髪だったのですが、ネット界隈ではそれを揶揄して「これは外人との不倫」とか「ほまれとの子だな!」などと冗談めかして言われています。もちろん言っている人たちも含めて本気でそんな事を思っている人はいないでしょう。しかし、こんな冗談が出てくることそのものがジョージが受け入れられていない証左だとも自分は考えています。こんな冗談が出てくること自体を引き起こしたことを猛省して欲しい。

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無論、想像出来る事はあります。ジョージがあそこまで暗く自分勝手な考えに捉われ、しかも時々フラッシュバックで成長したはなと思われる人物を思い出すシーンが挿入された事といい、クライアス社設立の未来世界に行きつくまでに二人の間に何かがあった事は容易に想像は出来ます。自身も考えつきましたしネット界隈でも良く言われるのが若くして妻であるはな死亡でクライがトチ狂った説でしょうが、結局この辺りは全くの語られずじまいでした。それならそれでいいのでしょうが、そういう設定が仮にあったのならば要所で要所でネタをばら撒かなければ無意味です。*3

結局そこに至るプロセスがなかったため、思わせぶりな立ち振る舞い、人間離れした能力、俯瞰を前提とした思想、という視聴者側の疑問には一切答えない(5W1Hの部分的欠如)どうにもすっきりしないプレジデント=クライという人物を形成してしまいました。ラスボスなのにね。いっそ荒唐無稽なオチの方がまだ説得力があった(例えば、あの本自体がインテリジェンスアイテムで彼は操られていた、とか)というのは如何ともしがたい、というのが感想です。

 

そして、やはり個人的に最大の失敗だと思うのがオールスター回で世界観そのものを完全にあやふやにしてしまった事ですね。詳しくは当時の記事のリンクを張るに留めます。書きたいことは粗方書いてるので参考にしていただければ。記事を書いた当初から心変わりもしていませんので、今の感想も概ね当該記事通りです。

furafuraasobinin.hatenablog.com

もちろん、映画のオールスターがパラレルワールドである事は重々承知していますし、そこに突っ込むほど野暮ではありません。が、作中でプリキュア世界をどういう形であれ同一世界観視したのは明らかな悪手だと断言します。

 

ちぐはぐなメッセージ性

この作品には多くのメッセージ性が込められていました。LGBTへの差別、旧態然とした思想への批判、出産に代表される女性の強靭さ、いじめ問題、恋愛問題の難しさ、そして誰でもプリキュアになれる=応援の尊さ、今までのシリーズではあえて切り込まなかったであろう領域まで深く切り込みました。

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これ自体はとても素晴らしい事です。特にこれらを語るために用意された野乃はなというキャラクターは、優しさがありながらも不用意に相手の領域には踏み込まず、しかし助けを求める者に援助を惜しまない、という素晴らしいキャラクターに仕上がりました。*4

なのですが、上でも書いた事も含めて、この作品は大切な所を要所要所でぼやかすために、どうにもそれが中途半端に感じられてしまうのですよね。しかも、そのメッセージ性そのものを表現するのに、殊更インパクトある絵面を挿入したがる、という演出が多かったため「いいんだけど…でも、うーん」というのが非常に多かった印象です。

例を挙げましょう。

最終回でのはなの出産シーン。

後半部ほぼ丸々かけて、出産絶叫が続くというインパクト十分という言葉では足りない程の衝撃的な展開でした。それはもうヤフーニュースの主要一覧に掲載されたしまったほどです。それ自体を批判する気はありません。むしろ良く描いた、とすら思っています。

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ですが、このシーンでは同時に顔を見せない状態での父親と思われるジョージ、そして出産された子供がどう見てもはぐたん、そしてその様を俯瞰するように思わせぶりに登場するキュアトゥモローとハリー、という場面も同時に描かれました。

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大切な場面でしょう。なのに、そこになぜかぼやかした設定の数々をあえてぶち込んでいる。「顔を見せない状態の」「どう見ても」「思わせぶり」という単語を物語の最後の帰結にまで枕詞として使わせてしまっている。そういうものを最後の最後でぶち込みたいのであれば、それは色々な今までの布石をあくまでも視聴者に解決した状態で見せた後でなくては機能しません。

作中ではなとジョージ(若ジョージを含めたとしても)の関係性の修復*5はしていませんし、キュアトゥモローがらみについては解答すら出ていません。上でも書いた様に未来がどうなったのかがまるで描かれていないのですから。*6

厳しい言い方をするなら、シナリオの方が最重要と考えた(この場合は出産シーン)場所に力を入れる事さえできれば、他の細かいことに関しては適当に思わせぶりなシーンを挿入すれば視聴者は勝手に想像してくれるしどうでもいいでしょ、と考えていた様にすら思えます。インパクトを与える事に注心し過ぎている、というか。

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他にもアンリがらみの煙の巻き方(何か重要なネガティブ要素があるのかと思ったら、単なるケガだったり、専用OPをわざわざ作ってクライアス社側に行く事を匂わせたり)なども何かスタッフだけが「してやったり」みたいな感じが出ていてすごく鼻につきました。そう言えばアンリもやたらと悟った事ばかり言うキャラクターでしたね。

ルールーという最重要キャラが絡む事案でありながら、ドクタートラウムの娘(と思われる娘)のエピソードも語らずじまいでしたし、全員プリキュア化に関しても、言いたいことは分かるのですが、正直「ここでインパクトを与えて、伝説を作るぜ!」臭が凄くて、視聴者の想像に任せる、というのであればむしろこういう場面にこそ充てるべきでは…と思わせました。

 

それは貴方の想像力欠如でしょ、と言われれば、まあそれ以上は自分は何も言えません。ですが、少なくとも自分には想像力で補うにはあまりに厳しい内容が多すぎた、というのが率直な評価です。

 

まとめ

最初に書いた様に、良い所もあり悪い所もあり、非常に難しい作品だった、というのが総評という事になるのですかね。15周年という節目に当たって非常に力を注いだのは良かったですが、個人的には他の過去シリーズの様な尖った部分がなく、何となく沈んだ作品というイメージです。

こう言うと「えっ!?」と思われる方も多いかと思います。

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確かに二度にわたる絶叫を伴う出産シーン、初の男性プリキュア誕生、人類総プリキュア化、他作品プリキュアの作中登場、所々に今までにない尖った演出はありました。が、それだけです。

何というか、心に染みるシーンがあまりなかったというか、レベルは高いんだけどどこを取ってもナンバー1にはなり切れない、というか。えみルルコンビの名エピソードの数々は良かったのですが、腑に落ちない事柄が多かったことも含めてプラマイゼロ、何か名作には一歩及ばなかったかな、というのが素直な感想です。

そして、最後にどうしても心配な事があります。というのも、今作は色々と新しい大胆な試みがありましたが、だからと言って以降の作品であまりタガを外してほしくはないのです。もちろん、これからも新しい試みは為されるでしょうし、それはやるべきだとは思いますが、はぐプリでやったんだから何してもいいでしょ、という風潮になるのは正直怖くもあります。こういう意見は作中で出てきたえみるの祖父の様な固い意見と取られるかもしれませんが、昔からの伝統、お約束、というものにはそれだけの理由がある事も忘れてほしくはないのです。杞憂に終われば良いのですが。

という事で、今回はこれで筆をおこうかと思います。

 

最後に

ところで本日(2/1)「プリキュアの日」と定められたそうですね。それを記念してアンケートを基にアンコール配信がされているそうですが、選ばれたのはやはりというか第37話のオールスター回でした。


2/1 プリキュアの日 記念「HUGっと!プリキュア」もう一度みたいお話 アンコール配信

界隈でも非常に評判も良く、やはり全プリキュアが本放送で活躍した派手さとファンサービス精神が評価されたのでしょう。

今までこの記事を読んでいただいた方にはお判りでしょうが、剥離していますよねえ。自分の考え方は、明らかに。

 

その事を受けて、という訳ではないのですが、今回を以てプリキュア記事の毎週更新を一時中断しようかと思います。

他人の意見を気にして、などという訳ではありませんが、ここまで一般的なプリキュアファンとの意見の剥離を見せつけられると、流石にマイノリティ記事を垂れ流す事自体に疑問を感じざるを得なくなりました。今作はメディアでの露出が多く、ネット上の意見が過去作品より多く見ることが出来たのもそれに拍車をかけました。

その様な背景もあって、あまり言いたくはありませんがプリキュアのネガティブ意見を書く(言う)ことそのものが不逞である」という雰囲気も強くなり、ならば自分の役割も終わったのかな、と。*7

また、今年は自身も引っ越しが控えていたり、がらりと環境が変わる激動の年になる予感もあるので、ここら辺で一区切りも悪くはないのかな、というのもあります。

 

今後の予定としては、とりあえずスタートゥインクルプリキュアに関しては気が向いた時に簡便な記事としてまとめて行きたいと思います。あとは思った事をつらつらと書く雑記みたいな記事も少し再開したいですね。*8

ここら辺は皮算用の域をまだ出ませんが、このブログそのものを閉じる訳ではないので、お付き合いしていただける奇特な方がいらっしゃれば、引き続きよろしくお願いいたします。

 

長くなりましたが、以上です。乱筆乱文お読みいただきありがとうございました<(_ _)>

 

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*1:はぐみ=はぐたん=キュアトゥモローであると仮定した場合の+年数。

*2:逆に他の4人は雑草呼ばわりして徹底的に痛めつけた。

*3:例えば、はなを病弱設定にしてみる、某運命ゲームの射手のような境遇が未来に待ち受けている事を示唆する、とか。

*4:この点については親切で明るく優しいが、自分で解決するしかない問題を抱えたせつなにあえて突き放す態度を取ったラブに似ていると感じた。

*5:少なくとも物語後半でジョージを明確に拒否している。いくら若ジョージ相手でもそこまで修復するものなのか。

*6:はなの娘=はぐみと同一人物なのかも極論を言えば不明である。

*7:実際、37話の感想をアップした後、あからさまにヒット数が落ちた。

*8:ただし、スタートゥインクルプリキュアが「ナニコレ? 神作!? もう一年身も心も捧げる!」という内容ならば毎週更新継続かも…尤もそれを悟るにはそれなりの話数を見る必要性があるだろうが…