ふらあそ!

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【アニメ】キラキラ☆プリキュアアラモード!/総評

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さて、先日大団円を迎えたキラキラプリキュアアラモード(以下プリアラ)ですが、今までの作品と比べると、あっという間に過ぎ去った、時間の経ち方が妙に早かった作品、というのが最初の感想でした。

なかなかプリアラロスから立ち直れませんが、1年間を振り返りつつ、まとめていきたいと思います。

 

まとめ

やはり、4クール1年間で6人のプリキュアメンバーは多すぎました。おしまい。

 

 

 

 

 

いてっ! すいません、冗談です。石、いたっ! 石投げないでっ(´;ω;`)

 

と、冗談めかして言っていますが、実は半分以上これは本心です。

上でプリアラロスなどと言っていた舌の根も乾かないうちに何を、という声もあるでしょうが、ここからは少し真剣に総評していきたいと思います。

 

この作品の根本的な欠点。それは6人体制であった事

スタート時点で5人で始まったプリアラですが、最初から5人と言うのは実にスマイルプリキュア以来、5年ぶりだったのですね。最終的に5人体制になったドキドキプリキュアもありましたが、久方ぶりの多人数体制と言う事で、どう料理するかは番組開始当初から注目点でありました。

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結論から言えば構成そのものはスマプリに似てはいました。各個人回にスポットを当てつつ、つなぎの話を交えて、最後の敵に迫っていく。なのですが、今作のキャラクター達は非常に個性的であり、良く言えば深みがあったのですが、反面以前の記事でも書いた通り変化球タイプばかりだったんですよね。それが故にとてもではないのですが、1話30分ではその魅力を引き出せない。しかも困った事に今作品の縛りであるスイーツクッキングを何処かに挟まなければならず、更にキャラクターの個性を語る時間が削られていきました。

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スマプリの多人数劇の作り方は言うなれば見た目と性格にそれほどミスマッチがない、悪い言い方をするとステレオタイプ的なキャラクター性を利用した上で、可愛さや面白さを追求した作りになっており、視聴者側にとってとても分かりやすくゆるいものになっていた気がします。それが故に突如訪れるシリアス回でのギャップが鼻につきもしたのですが、30分をフルにその時その時のテーマに使える事もあって、充実感があったのも事実です。

ところがスマプリの形を踏襲してしまったプリアラは個性的なキャラクターを魅力的に語る事に時間的な制約を受けてしまった事に加え、6人目キュアパルフェが加わってしまった事によって、1人に使える時間が更に減少してしまうというまことに困った事態を生み出してしまいました。

これは考えてみれば当たり前の事で、例えば6人体制で各々のエピソードに1話充てるのであれば、最低6話分も必要になるのです。6話分というのは時間に直せば1か月半です。もし、ゴプリの最終単独エピソードの様にキャラクターを掘り下げるのに2話分使ってしまえば、それだけで3か月です。これでは4クールあっても実は足りない。

詳しくはキャラクターの項で後述しますが、今作の複雑なキャラクター性を持つ登場人物を1回のエピソードで描いていくのは難しかったと思います。ゴプリが良かった点はあれだけの複雑な感情(特にこれはきららが顕著だった)や立場を持ったキャラクターをじっくり描いた事にあるのと思うのですが、これは取りも直さず、4人しかメインキャラがいなかった͡事に因るところが大きかったと思います。

6人体制と言うと、5GoGoが過去作品にありますが、この作品は初代に次ぐ2年目に突入した作品であり、6人体制自体は1年しかなかったものの、ミルキィローズを除く5人は既に1年かけてじっくり描いていたという大きなアドバンテージがありました。

そう考えると、4クールで6人のプリキュアを登場させるというのはシリーズ初の試みでもあったんですね。その上であえて言わせてもらえれば、今回の4クールで6人プリキュアを従来の形を踏襲して描き切るというメインプロットは明らかに失敗だったと言っていいと思います。

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多人数でもやりようがない訳ではないと思うんです。奇しくもほぼ同時期に同時進行した戦隊ヒーローシリーズ・キュウレンジャーはシリーズ最多メンバーを最初から謳いつつ、回ごとに担当キャラを明確に決めてみたり、キャラ同士の繋がりを絡めて小チームを組ませておいたり、色々工夫していました。

翻ってプリアラも、最終盤のおまけ扱いとは言え、キュアペコリンやルミエルなどが一時的に参戦しており、更にプリキュアでこそなかったものの似たような力を行使したジュリオや濃いキャラクターを押し切ったビブリーなど、もういっそのこと、キュウレンジャーに倣って今作もシリーズ最多でも謳えば良かったんじゃない? と個人的に思わせた程です。

制作側がどう捉えているのかは分かりませんが、プリキュアシリーズは今後も続くのでしょうから、今作の教訓が今後に活かせればなあ、と思う次第ですね。

 

個性的なキャラクター

プリアラチームについて

放映当初から思っていたのですが、まずはスイーツと動物言う脈絡のない組み合わせが鼻についたことに加え、そこに更にシリーズ恒例の色との組み合わせが加わって、最初から複雑な構成を盛り込み過ぎていました。

もちろん、回を重ねるごとにその違和感は薄らいではいきました。最初に一番自分がしっくりこなかったのはやはり熱い性格をライオンに準えたのに、青のイメージカラーと冷たいお菓子であるジェラートを組み合わせた立神あおい=キュアジェラートでしたが、彼女はそのきっぷのいい性格の反面、非常に理知的な一面があり、プリアラチーム全体の問題を最初に提起したりバンド活動と自身のお嬢様であるという立場に思い悩んだり、この手のキャラクターにありがちな能天気さとは真逆の場面が度々描かれており、おまけに学年でTOP5に入るほど勉強が出来るという意外性を持ち合わせていました。

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いい方向性に取るならば、ライオンは集団戦を得意とする実は賢い動物ですから、知性枠に当たる青をイメージカラーに当てたのは間違いではなかったのかな、と思いますが、これは回数を重ねたからこそ出せた味でもあり、やはり複雑ですよねえ。

このあおいの例に限らず、プリアラチームのメンバーは皆一癖ありました。と言うよりはどこかしらに二面性を持っていました。明るく素直でありながらいじましいばかりの自己犠牲性や気遣いを持ついちか、気弱でありながら最も芯の強さを発揮したひまり、気まぐれを前面に押し出しながらも実は優しさと激情を持ち合わせていたゆかり、一見独り立ちしているように見えて実は皆から支えられていたあきら、そしていちかと似た性格を持ちながら歯に衣着せない物言いがピカリオの悲劇を生んでしまったシエル、全員どこかしらに表裏があり妙な人間臭さがありました。

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それはそれで良かったのですが、これを描けたのは4クール1年と言う長いスパンがあったからこそ辛うじて、でした。人数が多いのが災いして、一話分にキャラを詰め込み過ぎて一回一回はキャラクター性をあまり深く描けなかった上、個人エピソード回が回ってくる周期も長めになってしまう、というまことに困った事態が発生しました。更にこれだけの人数になるとどうしても要所要所でキャラクター配分の不具合が発生しており、これはキャラ立ちが大人しめのひまりやあきらがあまり作中目立たないという若干割を食う形で現れてしまいました。

そういう事も踏まえて、やはり上でも書いた様に6人体制は失敗だったのかな、と感じます。しかし、全体としては最終的にキャラの魅力は描き切ったと言って差し支えなく、これは自身がTwitterで呟いた事なのですが

こういう感想も同時に得ており、連続で見ると視聴済み故の知識がある事も手伝ってイメージががらりと変わる可能性がありますね。

考え方次第でしょう。今回みたいに複雑な性格を持ったキャラクターを1年かけてじわじわ描くのも、スマプリの様に直球で分かりやすいキャラクター性を持たせるのも、どちらも正しいと言える。だけど、個人的には1年1週間というスパンには正直合っていなかったのかな、というのが今回のプリアラチーム全体の印象でした。

 

敵キャラについて

前作まほプリに於いて、大きな不満点の一つに敵キャラの魅力のなさがありました。特に幹部に関しては無個性ではなかったものの、全員がボスに絶対の忠誠心を持っている点や、何をしたいのかわからない上に怪物をけしかけては返り討ちにあい無様に撤退する、さりとて憎めなさがある訳でもないという、わりかしどうにもならないものでした。

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しかし、今回は序盤からラスボスとして君臨していたノワールの正体をオブラートで隠しつつ、実はキラリン=シエル=キュアパルフェの縁者だったジュリオ、我儘勝手な性格ながら強烈なキャラクター性を持ったビブリー、粗暴さと傲慢さを具現化したグレイブ、そしてラスボスと密接に関わりがあった、というよりは最終的にラスボスとなったエリシオ、と幹部が非常に魅力的でしたね。

正直言えば、戦闘シーンにおいてはジュリオとビブリー、グレイブは若干物足りないと言うか、善戦はするもののどうにも力不足な印象が拭えませんでしたが、それでも大体はプリアラチームがチームプレイをしてようやく互角、の様な展開が多く、バランスそのものはちょうどよかった気がします。しかも、各自出したファイナルモードではプリアラチームを全滅寸前まで追い込むパワーがありました。

後半のエリシオはかなりの強敵感がありましたが、グレイブが退場した後はとにかく一人で高戦闘力を発揮しつつ、精神攻撃を執拗に繰り返す万能さ・非情さが鼻につきました。しかし、それも実はエリシオがノワールから生み出された存在であった事が判明し、一気に釈然としない点が払拭されました。

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そして、とにかく今回の敵はプリアラメンバー以外にも関係者は言うに及ばず赤の他人も巻き込みまくっており、歴代でも相当タチの悪い組織という印象です。 この点でもエリシオは容赦がなく、病人のみくに平然と手を出した挙句怪物化させたり、ひまりにとっては何より大切であったであろうスイーツ研究ノートを燃やしてみたり、とにかく卑劣な手段が次から次へと繰り出され、これ、本来の視聴者層の幼女たちは泣きださないか不安になるほどのレベルでした。*1

ただ、個人的な見解を述べさせてもらうと、今までのシリーズでの疑問だった

プリキュア側は正体を隠さなくてはならないのに、敵側はプリキュアの正体を知っている。にも拘わらず敵はプリキュア関係者に何故か手を出さない」

という矛盾に見事に応えてくれたという点で、この悪役感は大好きでしたね。と言うか、今までのシリーズの上記の法則の方がむしろ不自然だったぐらいで、ちょっとこの場で言うのは憚られる様な薄い本の様な展開になる方がむしろ自然なんじゃないの? というのは前々から思っていたんですよね。*2

まあ、視聴の最中はそのエリシオもやる事やる事裏目に出て、結果的にプリアラチームをパワーアップさせていたのには苦笑しましたし、最終的には全ての幹部が生き残るというのは少しどっちらけ感はありました。が、振り返ってみれば良い悪役だったと思います。

 

その他のキャラクター達

実はこの作品は登場人物がかなり多いように見えて、意外と閉じられた世界であり、主要な登場人物は少なかったのですよね。これもプリアラメンバー6人の弊害だと思うのですが、とにかく時間が押せ押せでそういうサブキャラクターまで手が回らなかったイメージです。

それが最も顕著に表れていたのが、シエルが転校した回以降、学園生活がほとんど描かれなかった事でしょうか。他にもとうとう最後まで登場しなかったひまりの親族など、どうにも中途半端なイメージでしたね。

そんな中でも、妖精枠にあたるペコリンは最終盤にはプリキュアになって大活躍しましたし、長老も上手く設定を活かした良いキャラクターでした。

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特に感心したのは長老で、このキャラクターはプリアラメンバーを見守る保護者的な立場でしたが、人望もあり穏健派として非常に常識的な人物(?)でした。そして皆を守るために霊体になってしまった設定が最後でも活かされ、彼を霊体に縛り付けていたキラパティボックスが最終回で肉体を取り戻した事により解放され、世界を駆け巡る事を決意したいちかに譲渡された展開には唸らされました。

また、最後の最期でいちかの枷を外してくれたペコリンも非常に好印象でした。ペコリンは、ジュリオに操られた好戦的な妖精によって妖精サイドがピンチに陥った際にいちかに助けを求め、いちか、延いては他のプリアラメンバーをプリキュアの道に導いた存在でしたが、その彼女が最終話で自らキュアペコリンに変身し「キラパティは大丈夫」という証を立てていちかに自由の翼を与えたという点で、物語の始まりと終わりを語る重要な役割を与えられていたのが印象的でした。後半の献身的な姿も含めて、まほプリに続き妖精枠としてちゃんと考えられていたなあ、と感心する事しきりでした。

 

徒手空拳封印の失敗

さて、放映前からプロデューサーさんから肉弾戦封印を宣言されていた戦闘シーンでしたが、これはもう明らかに失敗だったと明言して良いでしょう。

ただでさえ、スイーツ作りを話中に挟まなければならない縛りのため、タイムスケジュールが詰め詰めなのに、基本的にクリーム状の飛び道具を飛ばして拘束・無力化、そこからの必殺技での浄化、というワンパターンな流れは流石に迫力不足は否めませんでした。*3

また、今回はスイーツを前面に押し出したせいなのか、各々の技に一貫性がないというか、本当に謎クリームを発射するだけに留まったのも非常にまずかったと感じます。

何度も比較対象にして申し訳ないのですが、やはりここら辺はスマプリは非常にわかりやすかったですよね。ピンク→桃色光線(苦笑)、オレンジ→炎、黄色→雷、緑→風、青→氷という非常にわかりやすい技構成であり、ビジュアルも派手で技そのものにも迫力がありました。

対して、プリアラでこの辺りが解りやすかったのは、正直言えば氷パンチを基調にした技を持つキュアジェラートぐらいのもので、やれマカロン状のヨーヨーを相手にぶつけるとか、やれチョコレート色の渦を相手にぶつけるだの、はっきり言うと戦闘シーンにピンとこない技ばかりでしたよね。

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それでもキャラクターの技それぞれに何らしかの特徴があればまだ良かったのですが、強いて言えばキュアマカロンのマカロンジュリエンヌが拘束技(っぽくも使える)程度のイメージしかなく、シリーズ恒例のバリア特化もおらず、正直漫然とした戦闘しかありませんでした。

前作、まほプリでは敵が弱いことに加えて、魔法使いを標榜しながらモンクもびっくりの超武闘派だったのに頭を抱えましたが、ここまで戦闘シーンに迫力がないのもそれはそれで困りモノだと感じましたね。

前半はキュアジェラートの咆哮やキュアカスタードの超スピード、後半でも声を封じられたキュアジェラートの沈黙破りなど、見るべきシーンもなかった訳ではないのですが、そんなクオリティが長く続くはずもなく、自ら入れた縛りで首を絞めたイメージです。

そして、何よりまずかったのが必殺技のビジュアルの悪さでした。特にキュアショコラの必殺技・ショコラアロマーゼはどう見ても上空からマ〇グソが襲い掛かってくる様にしか見えず、本当に直してほしい技の一つでしたね。

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また、5人同時に放つ必殺技スイ・ツー・ワンダフルアラモード、キュアパルフェも含めたプリキュアファンタスティックアニマーレ、ともにお世辞にもカッコいいとは言えず物足りなかったです。唯一、中盤での浄化に使用されたキュアパルフェのキラクルレインボーはスピーディーにパフェを作る過程に疾走感があり演出的に申し分ありませんでしたが、反面、個人技での浄化がしばらく続くという、まほプリの悪夢再び、みたいなのが素直に楽しむのを徐々に阻害していったのが惜しかったです。*4

他にも、何の脈絡も襲い掛かってくるエリシオや、スイーツアニマルで対処できたはずなのに上空の敵に為す術もなく一方的に攻撃されるプリアラチームなど、不自然な場面も多々見られ、どうにも消化不良が多い戦闘シーンなのは残念の一言でした。後半登場したスイーツアニマルもいくらでも使いようはあったでしょうに、PFA時の使用に留める*5など、いくら浄化がメインテーマのプリキュアシリーズとはいえ、迫力の戦闘シーンは間違いなく売りの一つなのですから、肉弾戦封印は間違いなく失策だったと言っていいでしょう。

 

シナリオ自体は非常に良かった

これに関しては非常によく出来ていましたね。所々粗い部分は散見されましたが、話の根幹にルミエルとノワールとの確執があり、これに関しては全くぶれてはいませんでした。

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この話ははっきり言えば恋愛がらみが拗れて大惨事になったケースです。そういう点ではブルーが中途半端な態度を取ってしまったが故にミラージュという闇を生んでしまったハピチャと似てはいますが、今回のルミエルとノワールの件は、双方ともにしょうがない事情に基づいており、ちょっとしたボタンの掛け違いが悲劇を生んでしまった例でした。少々勿体なかったのは、ルミエルにしろノワールにしろ、各々の事情にそこまで深くシナリオが切り込まなかった点でしょうか。

最終回まで見たからこそ感じた事なのですが、ルミエルはイチゴ坂出身でずっとイチゴ坂を守っていたと思っていたのですが、考えてみれば舞台が日本でありながら外国名であり、ひょっとしたら最後のシーンのいちかと同じく、各国を巡っていてイチゴ坂で事件に巻き込まれた可能性があるんですよね。

同じく過去のノワールについても詳しくは言及されませんでしたが、その台詞からどうも軍人関係なのでは? と思わせる描写がありました。その半生を戦場で過ごしてきた殺伐とした身の上ならば、ルミエルの溢れかえる優しさに激情にも似た恋心をコントロール出来ずに一気に闇に染まったというのも分からなくはないです。

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…まあ、あの「俺のものにならないなら世界滅ぼしゅ」というギャグにも似た唐突さには苦笑を禁じ得ませんでしたが。

少し穿った見方なのですが、プリアラの舞台をもし放映年の2017年とした場合、ルミエルやノワールが実在した時代はおよそ100年前と明言されているので1917年と言う事になります。現実のこの年の近辺を調べてみると激動の時代であることが解ります。

第一次世界大戦ロシア革命、関東の大水害など暗い事件も多く、これならばその暗黒を照らすべく活動していたルミエル、そして時代の奔流に呑まれていたノワールという図式にも妙に納得できるものがあります。

もちろん、プリアラの舞台が2017年とは名言されていませんから、推測の域は出ないのですが。

結局、失恋により大切なものを失いたくないノワールの絶望がエリシオを生み、心の闇に付け込むように他の幹部を次々と篭絡、ノワールの意を汲んだエリシオが執拗にプリアラメンバーやその関係者を闇堕ちさせようとする姿にも説得力がありました。根元の設定がしっかりできていたからこそ出来た演出であり、非常に好印象でした。

そして、その根元を軸にしてプリアラメンバーの成長を時間はかかったものの描き切れたのは本当に上手でもありました。特に年長組であるゆかりとあきらの描き方は申し分なく、目立つことこそなかったもののあきらの各エピソードとそれを繋いだ成長度合いには感心しましたね。

 

しかし、反面、どうしても納得できないことも一つありました。

それはキラパティがどういう商売をしているのか全く分からなかった、もっと具体的に言うと、金銭関係の話が一切出なかった事でした。

それはプリキュアシリーズに相応しくない? 確かにそう思います。

ですが、それならハナからパティスリー関連の話をするべきではなかったと思うのですよね。作品全否定になってしまいますが。

作品中、何度もキラパティが商売をしている場面は語られました。お客にスイーツを振る舞う場面は幾度となく描かれ、店舗と顧客の関係を築いており、いくらなんでも無料で振る舞っている規模ではないんですよね。地下のキラキラル発生装置を使っている=原価タダの可能性はありますが、近所の果物屋で果物を品定めしている場面もありましたし、まさか立神グループが資金バックアップをしているとも思えない。

パティシエは女の子の憧れの職業でも上位に入っていたと記憶していますが、だからこそそういう点はしっかり描いてほしかったですよね。前作のまほプリでも1か月単位で家を留守にしたみらいを家族がお咎めなしにしたり、こういう現実味のある点をアニメだから、幼女向けだから、とぼやかすのははっきり言って逃げです。

今作はプリキュアメンバーがパティスリーをやる、というのがメインプロットの一つなのですから、これだけは本当に惜しかったと思っています。

 

今度こそ本当にまとめ

それらも含めてもう一度言いますね。

やはり、4クール1年間で6人のプリキュアメンバーは多すぎました。

せっかくしっかりしたシナリオ設定も、キャラ立ての魅力も、戦闘シーンも、いい要素があったにも拘らず全て中途半端にしてしまいました。

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正直言えば、これが追加戦士なしの5人であったのならば…と本気で思う程です。反感覚悟で言いますが、ジュリオの件がなければシエル=キュアパルフェってあまり必要のないキャラだった気がするんですよね。ここまで個性的なメンツを揃えたが故に、性格そのものもいちかと被るところが結構あり、ビブリーのフォローについてもいちかで充分代用できる範囲の内容でした。はっきり言うと5人に絞って、もっと初期5人の魅力を引き出した方が良かったのでは…と思いました。シエル=キュアパルフェ自体は第41話に代表される様なはっきり物を言う性格など好きなんですけどね。

 

何とかギリギリ、次回作HUGっと!プリキュア放映前に総評を書き切ることが出来ました。各キャラごとの寸評やもっと突っ込んだ事を書こうかとも思ったのですが、文章量が更に膨大になる上に、1年間の記事の蒸し返しになる事も多いと思われたので割愛しました。明日からは新シリーズと言う事ですが、まずは掴みでどうなるのか、注目しながら視聴する事にしましょう。

 

それでは、最後のキラキラル☆

 

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*1:ただ、往々にしてプリキュアシリーズはこういう容赦のない表現が散見される。キュアサニー人形事件やキュアダイヤモンド氷漬け事件など。

*2:もちろん、皆無だったわけではない。

*3:今思い返しても、肉弾戦ぽいものは序盤のキュアジェラートが数回と、後半のエリシオとキュアショコラの一騎打ち、最終決戦ぐらいしか思いつかない。

*4:ラクルレインボーは技演出そのものが冗長だったのも個人技なのに…と思わせた一因である。

*5:効果的に使ったのは姿を消したディアブルを嗅覚によって発見した回と最終エリシオ戦のみ。大体騎乗前提の召喚獣であったのにも拘らず、PFA以外でまともに騎乗したのは最終エリシオ戦のみとどうにも勿体ない使い方をしている。