…しかし、身体は応援を求める。
怒涛の…怒涛の一か月間でしたね。
勿論、話の軸となったのは、プリルンとメロロンのプリキュア化、キュアズキューンとキュアキッスの突如参戦です。
先月に予告された際には唐突過ぎて、少し整理がつかないような状態でしたが、かなり重い設定を持ち出しており、俄然ノッてきたな、という感覚で、序盤の少し倦んだ様な展開が嘘の様にすら感じました。
ハートキラリロックについて
メロロンが生まれた時に一緒についてきたマジックアイテム。
なんとその正体は、錠前のキーを回す事で何でも願いを叶えることが出来るが、持ち主とキーを回す者の「一番大切なもの」を代償として封印してしまう、というもの。
ピカリーネはメロロンに使用する事を禁じていましたし、一種の呪いのアイテムの様な側面があります。
しかし、その話を聞いて、メロロンがプリルンにそれでもロックを使うのか問うている最中に、人間界でプリキュア達が窮地に立たされている事を察知したプリルンは躊躇う事なく、ロックの力を使う事を選択。
ロックの力はプリルンの願い「キュアアイドルを守る事」を叶え、彼女をキュアズキューンに、ロックの持ち主であるメロロンも願い「姉さま(プリルン)の願いをかなえる事」の力でキュアキッスへと変身する力を得ました。
正直言うと、プリルンはここまでの心証があまり良くなかったので、プリキュアがピンチ→安直にロックの力に頼る、なのかなあ、と思っていましたが、最後の念押しにメロロンから「封印されるのはうたとの思い出」と質された際には涙しながら、うたを守れるならそれでいい、と、鍵を差し込むんですよね。
この場面はプリルンがうたとの思い出を失う事に葛藤がなかった訳ではない事を顕していてとても良かったです。ただ、それをやればうたを悲しませることになる(実際、キュアズキューン=プリルンの正体が割れて、彼女がうた関連の記憶を失っていることを知ったうたは第21話で号泣している)というところまでは考えが及んでいなかったぽいのは、らしいなあ、とも思いましたが。
逆にメロロンは覚悟ガンギマリなんですよね。無私というか、とにかくプリルン優先。ただ、自分がプリルンを大切に思っていることを封印している訳ではないっぽいんですよねえ…プリルンと愛の巣( ´艸`)を築いていたり、うたがプリルンに接近するのを嫌がっていたり、そもそも見た感じ、少なくともこれまでの記憶を失っている描写がない。
ですが、ピカリーネが田中さんに「ロックで願いをかなえた以上、メロロンも何かを封印しているはず」と断言していますから、それは先のシナリオで明かされていくのでしょう。このロック自体が重要アイテムなので、その際には少し重い話にはなりそうです。
あと、とても気になるのが、ロックの封印を破った場合、どうなってしまうのか。
実際、第21話ではプリルンが記憶を復活=封印を破ってしまいました。正直言うと、メロロンが三人に対して(彼女自身は記憶封印されている訳ではないのに)つれない態度を取っていたのは、封印を破ったりすればロックの呪いが発動する、単純な答えの一つとして、変身能力自体を失ってしまうからでは? と考えていましたが、どうもそういう訳でもない。
まあ、あの話はうたとプリルンの友情が起こした奇跡、でもいいとは思うんですが、ピカリーネがあそこまで警戒したアイテムですから、流石にこれで終わり、とも思えないんですよね。ズキューンキッス組はこれから先はメロロンに注目の矛先が向かいそうです。
追加戦士の二人について
全体スペックが他の三人より高い様な演出がされています。これは毎作恒例みたいなものなのでとやかく言う気はないのですが、ほとんど出番を奪うような形(「今よ!」どころか「ここは私たちに任せて」)になっている上、これが5回連続(6月はいつもより話数が一回多かったんだねえ…)で行われてしまうのはさすがにちょっと頭痛かったです。販促なのはわかるけどサ…
基本的には変身の際に人間態になってからペアで変身フォームに入る事、第21話でプリルンが怪物化してしまった際にはペアでなければ変身できない事が判明しました。更に単独ライブの浄化技がないところから、これもペアでなければできないと見ました。
必殺技はズキューンが極太レーザーを発射するズキューンバズーカ、キッスが投げキッスで足場を形成したり、相手を封じたりするキッスショック。ズキューンが直接攻撃担当なのもキュアアイドルの影響を受けているっぽいですね。
人間態は妖精態とは打って変わって大人びた雰囲気になりますが、これは「何かを失った事で大人びた雰囲気に変貌する」というメッセージ性かなあ、と感じました。どちらかというと大人になった人間に対して。
戦闘能力は三人より上、という表現が今の段階ではなされていますが、この辺りはシリーズ恒例、正式にメンバー入りした段階で均等になるとは思います。が、今の段階では正式入りは遠いというか…そもそもプリルンの願いを曲解するなら「うたを守りさえできればいい」訳で、無理にメンバー入りする必要性すらない。そう考えると第17話でライブ中継を切り替えたのは(最初はまた無断配信かよ! と思ったが)自分たちが注目される事でうた達を守ったとも取れるわけで。ただ、中継チェンジはキュアキッスの仕業だし、第21話でキュアズキューンの記憶は戻っちまったのよな…なんかちぐはぐではあるんだよな。
アイドルプリキュア達について
全体的に突如現れた新たなプリキュア達に右往左往している印象でしたが、プリルンの記憶喪失の事を知って落ち込みがちで暗い雰囲気になりがちな会話の場を無理に明るくしようとするこころや、まずは問題解決のためにメロロンの処を訪れようとするななと三者三様でキャラクター性は損なわれていなかったと思います。
そして、恐らくそうなるのかな、とは思っていたのですが、うたがプリルンの事を思い悩んだ末に、父親が何気なく言った「子供なんて失敗する事が仕事みたいなものなんだから、今のうちに失敗しとけ」を受けて「今までは失敗みたいなもの。これから「またたくさんの思い出を作っていけばいいんだ」と吹っ切ったのはすごく好印象でした。
幸い、ロックの力はうたとの過去は封じていても、未来までは封じていなかったのですから。しかも、その前の話で記憶喪失状態のプリルンはうたがキュアアイドルの変身者である事を見ており、彼女的には悪い印象がある訳ではないし、実際、その提案をされた際にはうたと二人一緒になってはしゃいでいます。これはまほプリ・ミライデイズでも取り扱ったテーマですが、未来に目を向けることの大切さを学ぶ主人公、というのは良い落としどころだったと思います。
敵側の事情について
第17話でカッティーが正式退場しました。一応、ズキューンキッスの浄化技・プリキュアズキューンキッスディスティニーで浄化された訳ですが、あなたを正気に戻したのはあの二人(ズキューンキッス)だよ、と声を掛けてきたキュアアイドルに、自分は君の声に救われたのだ、と言っていたのは、前話の演出もあってなかなか良かったと思います。
最後はさわやか顔で「自分がファン会員No1番ですぞ」と言って去っていきましたが、そういやそうだ!( ´艸`)と突っ込まずにはいられなかったです。
ただ、これダークイーネ様、黙って見逃しますかねえ、性格的に。
実際、カッティーが帰ってこなかった事をチョッキリーヌは「始末されてしまっているだろう」と予測しており、動向が気になります。特に裏設定があった訳でもなく、なんか浄化されて去っていくという、若干すっきりしない退場をしましたが、流石に改心したキャラが粛清されてしまうのは後味が悪いというか。
個人的にはひろプリのカバトンみたいにちょこちょこ出てきてはなみちタウンで推し活している姿が見たいかも( ´艸`)
ただ、ここにきて思ったのは、ダークイーネってそもそも存在しているかちょっと疑問なんですよね。正体現わさないのももちろんなのですが、影から出現したりしますし、ちょっと超常的な存在というか…名前も取りようによっては「ダークいいね」になるし。これ、例えばSNSの闇の部分の概念的存在の可能性があるかも、と感じています。
一方、プリキュアと対峙するのは、専らザックリーになりましたが、彼も敗退を繰り返しているズキューンキッスに少しやられている感じはあるものの、口ではプリキュアのライブの映像を隠そうともしないで「敵情視察」と平気でチョッキリーヌに言ったりしています。それよりも休みなしで働いている事の恨み辛みをキラキラを振りまいている人間にぶつけて怪物化させたり、5人もプリキュアがいたら勝ち目ない、と愚痴ったり、どちらかというと現況への不満が大きな要因となって、そこからプリキュア達に絆される展開かなあ、と感じました。
第17話では、プリキュア達が集めたリボンの数が完全ではない事も示唆されましたし、もう少し幹部たちとの攻防は続きそうですね。
あと最後にちょっと苦言
ズキューンキッスを大きくピックアップしたいのは分かるのですが、とにかく他の三人が、歯が立たず吹っ飛ばされまくるわ、ウインクバリアはパリンパリン割れるわ、足手纏い同然になっているのは、流石に見てて痛々しいというか、久しぶりに
となってしまいました。
それならばまだしも、戦闘シーン自体も雑で、最後のライブシーンで時間を取ってしまうのはしょうがないにしても、吹っ飛ばしも何もないままに、クラヤミンダーを強制着席させたり(これは先月も見られた)、そもそも三人が大苦戦している相手をズキューンバズーカ一発でのしてしまったり、とにかくパワーバランスがハチャメチャ。
特に酷かったのが第20話の戦闘シーンで、最初はクラヤミンダーを押していた三人が、ズキューンキッスが変身した瞬間から押され始め急転直下ピンチに陥った挙句、加わった二人のラッシュであっさり再逆転され、一気に二人ライブで決着するという。
これには流石に筆者も思わずTVの前で「雑ぅ…」と呻いてしまったほどです。
せっかくシナリオがいい方向に向いてきたのに、何とももったいない…
いつまでもこの流れが続くとは思えませんが、ここでズキューンキッスをほか三人と並べてしまうと、今度は急激な格落ち感が出始めてやっぱり違和感を感じてしまいますし、かと言って、彼女らがプリキュア界でも最強格の代名詞的存在キュアフェリーチェのような特殊な存在とはいくら何でも思えない。あえて言うなら、アイドルをはじめとした三人組に急激なレベルアップが付随するイベントが、しかも納得できるレベルで起こらないと、かなりきついと思います。
ただ、これは簡単…というか、意外な回避法もあって…
で、次回予告がこれなのですが、第21話にてメロロンはこれから一緒に戦おう、と言ったうたに明確なノーを突き付けて、ズキューンキッスはアイドルプリキュアのライバルになる宣言をしているのですよね。
つまり、共闘関係ではなく、あくまでも共通の敵と戦いはするが、なれ合う気はない、思惑は各々別にある、という路線であれば、この2チームの実力格差があっても、当座、シナリオは進むとは思うんですよね。シリーズだと、ハトキャのキュアムーンライトがこれに近い立ち位置でしたね。
でも、まあ…うん、なんかほのぼの系の話っぽいな( ´艸`)
正直、プリルン=キュアズキューンに共闘しない理由が存在しない*1のがねえ…言うなればメロロンのわがままなわけで。
今月のキミプリをかいつまんでナナメからバッサリ
これさ、割とマジで心配なんだけど、複数プリキュアがコラボする映画版でのわんぷりの扱いってどうなるんだ? 個人的にはあの四人に殴る蹴るは使ってほしくないんだが…かと言って浄化技だけの登場だと薄くなってしまうだろうし、これ、脚本家さんは腕の見せ所かもね。
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*1:ただ、うたに傷ついてほしくないが故に、自分だけが戦えばいい、と考える可能性はある。