大ボスの指に噛みつくというローラの蛮行(笑)にもたまげたが、それで怯んだ挙句、アクアポット回収がてらに逃亡されちゃう後回しの魔女様、べりーきゅーとです(お目目ぐるぐる)。
さて、いよいよローラ変身、キュアラメール登場となりました。とりあえずの感想としては、やっぱり性急な感じは否めないかなあ…というのが正直なところです。
特に長丁場の物語の見せ場に於いて、全てに回答を示す必要性はもちろんない訳ですが、ちょっとWhy? に対する答えが少なかったかな…この辺りは後々語られていくのかもしれませんから、早急な判断は出来ませんが、個人的には少しもにょりました…
ローラの心情・キュアラメール変身について
第16話予告にて「プリキュアなんて道具だと思っていた」と随分過激なことを言っていましたが、本番第17話ではそれに関する心理表現はありませんでした。ここはちょっと残念だったかな…やっぱり彼女なりの大きな心変わりポイントだと思うので、きっちり描いて欲しかった。
確かに全体的な描き方としては申し分なかったです。ここに至るまでプリキュアメンバーとの交流は存分に描かれましたし、彼女が人間に憧れるようになった理由付けにもなっている。第16話冒頭の登山もそうでしたが、先回のみのり入れ替わり回のはしゃぎっぷりや風紀委員回の彼女の立ち回りを鑑みればやはり皆とともに歩みたい=自身の足で寄り添いたい、という欲求は相当なものだったと容易に想像がつきます。
それだけに「プリキュア=道具」という彼女の考え方が180度転換するほどの心理は描いて欲しかったかな、と思うのは我儘ですかね。ただ、想像する余地が十分にある(またそのようにこれまで丁寧に描写した)ので、この点に関してはそこまで大きな不満点ではありません。
少し気になったのは変身のきっかけが「怒り」だった事です。ローラのアクアポットによるやる気回収がない不利な戦いで次々と変身解除に追い込まれるトロプリチーム、そしてチョンギーレに水中戦で敗北して吹っ飛ばされたキュアサマーを目の当たりにして感情爆発して…というものだったのですが、まあ、彼女たちを道具扱いしていれば、当然そんな感情など湧き上がるはずもなく、この辺りは流石の説得力だったのですが、どうにも一時の感情で変身してしまった様にも見受けられ、少し危うくも感じられました。
尤も、その前に女王の前で人間の世界に戻る宣言をした際にトロプリメンバーを一人ずつ回想しながらともに歩みたい旨を告げており、すでに覚悟は決まっていたのでしょうし、それだけローラにとってキュアサマー=まなつは大切な存在だったという事でしょうし、これまでの彼女の描き方からしても感情の起伏が激しいタイプなのは分かっていましたから、らしいと言えばらしいのですが。
パーソナルカラーは青(水色)ですかね、ネイルの色から鑑みるに。追加キャラ特有の強キャラ感は存外ないイメージです。浄化技・プリキュアくるくるラメールストリームも地味というか他の4人との別格感はなく、等身大である、という感覚を受けました。彼女の変身動機(皆とともに歩みたい)を考えるとこれは良い演出だと思います。ある意味ホッとしました。もちろん、4人合体技で浄化しなくてはならないZヤラネーダを単独技で浄化しているわけですから、それなりに強力なのでしょうが。
変身直後に足が生えましたが、変身解除後も足はそのままであり感極まった表情で「私人間になれた」と言っていました。これは文字通り「人魚から人間になった」のか、あくまでも擬態なのかは正確にはまだ分かりませんね。今後に注目…という事になるのでしょうが、人魚ではなくなった、となるとそれはそれで重い決断だった訳で、この辺りのお話をどう絡めるのか、あるいは絡めないのかも個人的には注目点となりました。
女王の思惑と残された謎
第17話にて囚われの身から見事脱出に成功したローラでしたが、追手のバトラーの攻撃に巻き込まれ、深海の底に沈んでいく…という描写がありました。その際にアクアポットを手放してまでいるのですが、一時の白日夢を見た後に気が付くと女王の元に送られており、アクアポットも元通り…というものでした。
女王曰く、くるるんが助けてくれたそうなのですが、わりかし状況的には絶望状態からの復帰であり、もし女王の言葉を真に受けるのならば、何? くるるん、実はパルプンテかマハマンでも使えるの? もしくはゴメちゃんみたいな存在なの? とちょっと勘繰りたくもなりました。
先回のみのりとの入れ替わり&解除の件もそうですが、ちょっとこの辺りのご都合感は荒いと言わざるを得ません。
女王は帰還したローラに対して、プリキュアを探し出すという任務は終了した事、女王候補として務めを立派に果たしたことを告げ、この先どうしたいかを問い、更にこのままここに残る事も是としました。
ただ、その口ぶり(「あなたはどうしたいのですか?」)から、女王の本来の目的は彼女の精神的成長を促す事だったように思えます。まあ、ローラはあの性格ですからね、女王も彼女の才能は認めてはいてもまだ未熟、と感じていたのかもしれません(苦笑)。
あいつら(トロプリチームの面々)は私がいなくちゃダメだから、と生意気な口を利きつつ、地上に戻り彼女らとともに歩むことを告げたローラに女王はのちに変身アイテムとなる古びた貝殻を落ち着いた様子で渡しました。
さて、ここで疑問になるのが「人魚はプリキュアにはなれない」という言葉の真意です。
変身アイテムになる素材を手渡したことと言い、女王は半ばローラがプリキュアになれることを確信めいていた節があります。ついでに言えば、後回しの魔女はローラに対して、自分たちに協力すれば人間にしてやる、と取引を持ち掛けています。
自分的にはあれは人魚の間で語り継がれている伝説、若しくは常識と解釈していたのですが、ここにきて
- ローラがそう思い込んでいた。
- 女王が(あえて)そういう風に吹き込んでいた
- ローラは完全に人間になったから変身できた(人魚が変身できない、という事実は依然としてある)。
など、様々な可能性が出てきました。正直、女王があのアイテムを渡した時にどういう由来のものなのか注釈を入れてくれればだいぶ疑問は薄れたんだけどなあ。
ついでに言うと、キュアラメールが誕生した際に、チョンギーレ、ヌメリ―、ともにそれほど驚いた様子は見せておらず(めんどくせえ事態になったなあ、程度の認識)、どうにも海の生物側の事情については少しモヤモヤが残ります。
物語としては1/3程度が経過したあたりでしょうから、これからの動向に注目するしかないのでしょうね。
敵側の事情について
まずは相手の弱点を的確に突いた事は評価できる…というより、敵対勢力の動きとしてはむしろ当然の動きですよね。
第16話にて、ローラのやる気回収、というよりはアクアポットの能力が厄介だと気が付いた幹部たちは一計を案じるのですが
- まず「船」型のZヤラネーダを「港湾地区」に召喚
- わざとやられるふりをし
- ローラがアクアポットを出したタイミングを見計らって、Zヤラネーダに大量のアクアポットに似た瓶を大量排出させ彼女ごと巻き込み、慌ててポットを探してまごついているローラごと網で捕獲
- 船の速力を活かして海に逃げ込む
という見事な作戦でローラを捕らえており、こんな頭脳戦が出来るとは…と感心しきりでした。オルーバ辺りは見習えよ(笑)
尤も、第17話ではエルダはローラの罠にものの見事に引っかかって脱走させてしまった上、大ボスの後回しの魔女ですら、彼女に指を噛まれた程度で拘束を緩め脱出されてしまうという失態も犯しており、まあ、何というか緩い組織だなあ、と(苦笑)。
ただ、第17話にてやる気回収をするために地上に出張ったチョンギーレとヌメリ―は「もう地上にやる気回収に出かけるのは何回目だよ」と愚痴めいたことも溢しており、どうにもエルダの態度と言い、単なる悪の組織、とは思えないんですよね。イヤイヤ、という訳ではないのでしょうが、後回しの魔女に与するだけのなんらしかの事情があるのかもしれませんね。
さて、その後回しの魔女なのですが、今回ローラとの対談の場が設けられ、その際にローラに目的を問われた際「地上をやる気のない人間で満たし、後回しの世界を作る事」と返答しました。
…はて?
一応、目的を初めて明示したわけですが、よくよく考えてみると全然答えになっていない。後回しの世界を作って何がしたいのか、地上の征服? 滅亡? それとも単なる趣味? 世界を後回しの世界にするというのは、世界そのものの停滞、とも受け取れますが、ならば、なぜそんなことを? 世界の動きを止めてまで何か目的があるのか?
どちらにせよ、ろくでもない事を考えている事は間違いなく、ましてあくまでも前進する事を是とするトロプリチームとは対極であり、対決はやはり避けられないのですよね。
ただ、ローラが逃げる際に切った啖呵「お前の力は借りない、自分の事は自分で決める」に何か感じ入ったような様子も見せており、やはり何かあるのかな、彼女には…とも思わせました。普段の彼女の態度からすると激昂しそうな場面であったにも拘らず…です。
ともあれ、敵のとりあえずの目的は分かりました、その真意までは分からないが…というのが今の段階での敵側の事情、といったところでしょうか。
今後はアクアポットを狙うにしても、ローラ自身がプリキュアになってしまいましたから容易ではなくなったでしょう。敵側もZヤラネーダ登場に次ぐ、更なる手を打ってくるのかもしれませんね。
次回はローラが早速あおぞら中学校に転入してくるようですね。そしてトロピカる部の前に色々な部活に挑戦してみる…というものらしいですが…入学時のまなつと同じようなことをしているのが興味深い。
ここまでのトロプリをかいつまんでナナメからバッサリ
流石山場回だけあって作画がとても良かった。最後のローラが人間になれて感涙するシーンは日高さんの演技も相まって今の段階で今作のベストシーンの一つと言っていいでしょう。