ふらあそ!

ゲーム好き・漫画アニメ好き・自転車好き・鉄旅好き。インドアだったりアウトドアだったりのふらふら遊び人の日記帳、略してふらあそ!

【アニメ】スター☆トゥインクルプリキュア/総評

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ああ~スタプリロスから立ち直れね~

 

あ、おはようございますorこんにちわorこんばんわorはじめましてorお久しぶり。ふらあそです。

ストーリーに感化され過ぎるとしばらく何も手が付かなくなる悪癖があるふらあそなのですが、今回は久しぶりにキましたね~(正確には半年ほど前、とあるゲームでも発症してはいるんだけど。それは軽度だったのよね)。こんなにキたのっていつぶりだ? Kanonの真琴シナリオ以来かも…

 

さて、例によってここからは長文です。覚悟を決めた方からどうぞ♪

 

 

キャラクターについて

こういう多人数劇に於いて、主人公サイドの描き方というのにはいくつかパターンがあるのですが、この作品は久しぶりに主人公=星奈ひかる=キュアスターを中心に据える方法を採用してそれが見事にハマった作品だったな、というのが最後まで視聴した上での感想です。

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この手法に関してはどちらがいい悪いという話ではなく、あくまでもそれがハマるキャラクターの見せ方がある、という事ですね。

例えば、主人公格を複数据える方法としてはプリキュアシリーズならスマイルプリキュアが一番顕著でしたが、他には聖闘士星矢などが成功例としては挙がるでしょうか。

逆に今作の様に主人公を中心にした上で他キャラクターの魅力を引き出すパターンはシリーズではドキドキプリキュア以来かもしれません。*1

 

さて、今作なのですが、とにかくひかるが魅力的なキャラクターでしたね。最初こそ若干軽く見える性格に、なんでもキラヤバ~という決め台詞と共に勢いで乗り切ってしまう感が強く、正直言うとあまり馴染めなかったのですが、次第にララとの友情を育んでいく事で無神経な部分も解消していきますし、ポジティブ思考が周りにいい影響を与えていくのも好感が持てました。

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また、とにかく多様性を容認する性質や、好奇心旺盛な部分が知らなかった事に対して何でも知りたい、という探求心に繋がっているのも良かったですね。こういうものの考え方は多面的、とも取れる訳で、とかく一方通行的なものの考え方に捉われがちな現代に生きる大人達こそむしろハッとさせるものだったと感じます。

更に軽いノリで物事に突っ込んでしまって失敗した際にもそれを反省しつついつまでもくよくよしない性格など、結構メンタル的にも理想的であり、特に生徒会立候補回でのエピソードではよく練られていたと思います。信用した相手をとことん信じ切る、しかもそれが一切ぶれないのも彼女の強みでした。非常にバランスのいいピンク枠キャラクターだったと思います。

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戦闘シーンに於いては、前作ほどの徒手空拳に偏った内容ではなかったですが、個人的に星の足場を出現させて空間を縦横無尽に駆け回るスタイルは結構好きでした。必殺技プリキュアスターパンチも実に彼女らしくて良かったです。ただ、欲を言えば(他のキャラクターもそうだったが)基調となる必殺技がもう一つぐらい欲しかったかな…まあ、これは贅沢な要求ですかね。

そんな魅力的なひかるでしたが、この作品の凄かったところは、それでいて周りを固める面々が彼女に負けないぐらい良く描けている事でした。

確かに他のプリキュアメンバーはどこかしらにひかるに救われた部分がありました。故郷の星で最低ランクの仕事に従事させられ、自信を持てない性格であった彼女に確信を以てプリキュアになる事を依頼されてプリキュアとして目覚めたララ、家庭と自身の立場に板挟みにされ「綱渡り」だった毎日を、気さくに接してくれポジティブシンキングを示された事で次第に肩の荷を下ろしていったまどか、惑星レインボーを救う事と人々を騙す事を秤にかけその罪悪感に悩まされ続けていたのを、最後まで優しく理解を示された事で絆されていったユニ。皆、ひかるのポジティブな性格に救われていったのですよね。

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唯一、えれなだけはひかるの影響をあまり受けなかったキャラクターでしたが、彼女は元々かなり完成された人物であり、こういうキャラクターが一人いるのもまた良いアクセントだった気もします。上で挙げた似た様なキャラクター描写のあったドキドキプリキュアでも立ち位置こそ違うものの亜久里がマナの影響をそこまで受けないキャラクターとして登場しましたが、双方メリハリをつける意味でも成功していたと思います。

えれなはそれが故に後半で抱えていた悩みが顕在化してしまい、その解決に3エピソードを使う事になってしまった訳ですが、これもひかると深い接点がなかったからこそ出来たエピソードであり、上手くキャラクター設定が回っていたからこそ上手に機能したと言っていいでしょう。*2

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これはひかるも含めて全員に言える事でしたが、反省するべきところは反省する、そしてそこから立ち直った際にはあくまでも前を見てあまりくよくよしない、というのは徹底されており、非常にわかりやすかったというのもキャラクターの魅力を引き出す際には大きかったと思います。あえて言えば、ユニがアイワーンの件でかなり長期間悩みを引っ張りはした*3のですが、最後は自ら譲歩を示すという手法でアイワーンを許容しており、これもひかるをはじめキャラクターとの交流をこなしてきたからこそ出来た演出であり、本当に上手に回っているのですよね。

もちろん、細々としたことを指摘するのならば、例えばララは前半の任務優先の冷静な判断力が後半影を潜めた事、まどかの勝負ごとにまで相手を慮る繊細さの表現、父親との確執の決着が些か中途半端になってしまった事、ユニの普段の感情を表に出さない性格が葛藤等の心理描写を分かりにくくした、など欠点がなかった訳ではないのですが、特に後半部はチームの一体感が半端なく「そういうのも些細な事だったなあ」と思わせたのは見事でした。

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特に同級生の見ている前で何の躊躇もなくプリキュアの変身アイテムを全員が前に突き出したシーンはマジで燃えました。

 

 

次に敵に関して。

最終ボスだったダークネスト=蛇遣い座のプリンセスについては後述したいと思います。幹部としてガルオーガ、アイワーン、カッパード、テンジョウが登場しましたが、個人的にはガルオーガがそうでもなかったのですが、久しぶりにちゃんと救われて欲しい、と思えた悪役でしたね。

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孤独が故に科学者としてのスキルを伸ばしたものの、ユニに騙され続けた事によって心の拠り所だったバケニャーンを失い、更にユニがプリキュア達によって救われていくのを見て悔し泣きするアイワーン、故郷の星を滅ぼされ人間不信になって人を恐怖に陥れる事に執着してしまったカッパード、容姿で差別された事によって歪んだ道に入ってしまい笑顔を嘲笑としか感じられなくなったテンジョウ。正直、かなり胸に来る展開ばかりで、特にテンジョウの事情については他人事とは思えない程でした。*4

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ここ最近のシリーズでは、敵幹部は生き残るのが常態化していますが、正直、事情持ちや途中から改心したならともかく「なんでこいつまでしゃあしゃあと生き残るの?」という幹部も多く、ちょっと辟易した部分があるのも事実なのですよね。いくら主人公たちがお人好しで浄化を是とするプリキュアシリーズであっても。*5

逆に幹部に対して「全員救われて欲しい!」と思わせたシリーズはホント久しぶりで、最後に和解するシーンでも各担当プリキュア達が浄化技に頼るだけでなく(一応、和解前に浄化技炸裂はさせていたけどね(笑))きっちり納得のいく説得をしてくれる。えれなとテンジョウの一連の和解シーンはプリキュア史上に残る傑作エピソードだと個人的には感じます。第48話で幹部たち(というかノットレイダー達)とプリキュアが共闘するシーンがありましたが、素直に嬉しいシーンでもあり、こういう演出は見事としか言いようがなかったですね。

 

サブキャラに関しては前半はひかるの家族にスポットが当てられ、彼女のキャラ立ちに一役買っていましたが、流石にユニが入ってきた段階でだいぶサブキャラへ割ける時間が減ってきた印象がありました。えれなの懊悩エピソードは家族が大きく絡むものだったので、若干性急に感じられましたし、まどかと父親の考え方のすれ違いも、母親の諫言であの父親が納得したの? と感じられました。が、前半部である程度それぞれの家庭事情は語られていたのでそこまでの違和感はなかったです。

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中盤部ではララとそれに付随する家族のエピソードを集中的に描きましたし、たまにレインボー星人、特にレインボー星の女王・オリーフィオを思い出すユニは描写として十分な時間を割いており、全体を通して丁寧に描いていたな、と感じました。

プリキュア達のサポートに徹する事になったサブキャラ・プルンスもいいキャラクターでしたね。何気に能力が高く、それでいて面白い性格で皆を和ませるなどプリキュアメンバーと一緒にいる事にあまり違和感を覚えないキャラクターでした。

特にマオの正体を知った際に「ファンの心を弄んだ!」とユニに食ってかかるものの、マオの姿でお願いされるとデレて言う事を聞いてしまう、そのアイドルファンの鑑(?)みたいな性格には笑わせていただきました。

そしてサブキャラというカテゴリーに入れていいのか分かりませんが、物語の中核にいたフワ。

正体はスターパレスの一部であり宇宙の存在を左右する文字通りの「器」でしたが、個人的にはフワそのものがスターパレスそのものという印象でしたね。実際、フワにイマジネーションの力を注ぐことで成長、スターパレスの復活につながった訳ですし、蛇遣い座のプリンセスの思惑通りに歪んだイマジネーションを限界まで注ぎ込めば宇宙が滅んでしまう訳ですから。

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ただ、フワはプリキュア達が覚醒する際の重要なファクターでしたが、正直、えれなとまどかのフワを守りたい、という切欠はちょっと分かりずらかったですねえ。それでもえれなの弱い者を守る、というのは理解できたのですが、まどかは当初、ただ単にフワが可愛いから、ぐらいの理由しか見出せず、それに命まで賭けてしまうのは*6さすがにちょっと…という感想しか湧かなかったです。まあ、それも中盤のガルオーガ襲撃の際の決意表明で「フワを守りたい気持ちは誰にも負けない!」と啖呵を切ってくれたことで氷解しましたけどね。

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全編通して可愛く描かれており、一部で不評のユニコーンスタイルも決して嫌いではなかったです。それだけに最後のプリキュア達を庇って消滅するシーンと、その後復活したものの元の状態に戻ったのは嬉しいと同時に少し切なくもなりました。

 

シナリオについて

まず大きな破綻がなかったのが高評価ではありますが、ばら撒いた伏線もほとんどきっちり回収しましたし、何よりそこまで複雑な話にしなかったのが実はポイント高いです。

あとはやはり最終章の怒涛の展開ですかね。これを詰め込み過ぎと考えるか、目が離せなく面白かった、と取るかは意見の分かれるところだとは思いますが、個人的には圧倒的に後者でした。特にダークネストが蛇遣い座のプリンセスとして正体を現してからの展開は息つく暇さえない程でした。

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反面、そこに至るまでの過程は平坦だったという気は更々ないですが、例えば前作・はぐプリのえみルルエピソードの様なインパクトある話は少なく、途中までは「非常によくできた佳作かなあ…」という印象だったのを覚えています。*7

ただ、前半部にかなり伏線の種をばらまいたな、という感想も同時に得ていましたので、いつかはその回収の際には盛り上がるのだろうなあ、と感じていたのも事実です。

実際のところ、最終話直前、フワの命と宇宙の存亡を天秤に掛けられプリキュアメンバーが躊躇する展開がありましたが、これは前半でのケンネル星のエピソード大義名分のために他の価値観を踏みにじってはならない」という教訓があったからこそ活きたシナリオでもあり、全ての物語を終了した今、単話での他惑星での一見何気ないエピソードでも思い返してみるときっちり後半に向けて意味ある展開にしていたのは感心しました。反面、あまり意味のないおまけ的なお話(惑星クマリンやアイスノー星でのエピソードは伏線としてはあまり関係がなかった)もありましたが、概ね無駄なエピソードは少なく、やり切った感がありましたね。

あえて言うなら、ここ最近のプリキュアシリーズは中盤で一回大きな山場を持ってくる展開が多いですが、今作もダークネスト降臨回や惑星サマーン探訪回など、なかった訳ではないのですが、過去作品と比べるとそこまで大きな…という展開ではなく、やはり最終盤までは盛り上がりに欠ける要素だった事は否めません。

これは私の友人の話なのですが、ユニが参入する中盤周辺でやたらと他のメンバーが彼女を庇う展開に加え、彼女自身があまり感情を表に出さないため没個性と感じたらしく、視聴リストから外してしまったらしいのですが、その話を思い出した上で、この構成は途中でドロップアウトしてしまうと非常に勿体ないものだったんだな、とも感じました。ダークネストの正体を明かすのが最終盤だった事が決定していたからなのかな…と個人的には邪推していますが、やはり盛り上がりを引っ張り過ぎた感があったのが少しマイナスだったのかなあ、などと考えています。

 

12女神+蛇遣い座のプリンセスについて

正直言うと、視聴当初から彼女らには何かあるのかな…とは感じていました。

とにかく抽象的な事しか言わない上に、ペンが揃った段階で次は正体が何かも分からないトゥインクルイマジネーションの探索を命じるなど、こいつら何か隠してないか? とは前々から思ってはいたのですよね。更に言えば、ダークネストが蛇の被り物をしていた上にイマジネーションの力を欲していた事から、これ蛇遣い座がらみでしょ? とは予測は出来ており、特にトゥインクルイマジネーション探索を命令した辺りからは不信感が半端なかったです。

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全てを見た上で更にびっくりしたのは、彼女らはハナからフワを犠牲にしてスターパレスに力を取り戻す=宇宙を元の平和な状態にする気が満々だった事に加え、プリキュア達にトゥインクルイマジネーションを集めさせたのは、フワの器を完成させるついでに蛇遣い座のプリンセスを討伐する目的まであった、という事です。

そう、全て分かっていた上でプリキュアを利用していたんです。

というよりは、プリキュアそのものが宇宙に歪んだイマジネーションがはびこった時に正しいイマジネーションを集めそれを浄化する、言うなれば宇宙にピンチが訪れた時の緊急安全装置の様な役割が12女神たちによって設定(あえてこういう表現を使うが)された存在だったんですよね。

当然、上でも書いた様に最終的にフワがいなくなってしまう事を知った上でフワを育てるように仕向けた訳ですし、トゥインクルイマジネーションの正体だって最初から分かり切っていたし、ダークネスト=蛇遣い座のプリンセスの正体を知っていたにも拘らずノットレイダーとプリキュアをぶつけていた訳です。

それを全部隠してプリキュア達を東奔西走させた挙句*8、しかも、それも宇宙のためには仕方なかった、と全てが判明した際にしおらしくしていたのならばともかく、さして反省する様子も見せずに、結果的に大団円になってこれからも宇宙を見守ります、って…口さがのない言い方で申し訳ありませんが、テメエらは何もしなかったくせに…と思いましたねえ。

人の感情など些事であるという神様らしい、と言えばそこまでなのですが、個人的には味方側であるにもかかわらず、久しぶりに質の悪いキャラクターだったな、と感じました。

この手の話でよく引き合いに出されるのがハピネスチャージプリキュアのブルーですが、彼は最後にはきっちり反省してミラージュを受け入れましたし、最後は地球への干渉そのものを別の星に移住する事でやめてしまいます。そもそも、彼がヘイトを貯めた一因のプリキュアは恋愛禁止」にしてもいおなにそんなものには従えない、と強く言われた際に強制的な態度は取りませんでした。そういう事も含めて彼は人間味があって神様らしくはないんですよね。まあ、彼自身が曖昧な態度を取った事で地球を大ピンチにした挙句、幾人ものプリキュアになった少女たちが犠牲になった事から鑑みるに、特段好きなキャラではありませんけどね(笑)。ただ、アンチブルーの人には納得できかねるかもしれませんが、個人的にあの最終回は彼なりに最低限の罪滅ぼしをしたな、とは思っているんです。

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翻って、今回の12女神はさして何もしなかった事に加え*9、最後も反省するでもなく最終回でものんびりお茶会とか、正直言って個人的にはブルーもぶっちぎりで全シリーズ通して敵味方全て含めてすら大嫌いなキャラになりました。

そもそも販促物がある以上しょうがないのかもしれませんが、12柱もの女神のキャラ付けなど出来ようはずもなく、おうし座のプリンセスしか印象に残った女神はいなかったですね。実際、彼女がまとめ役で12柱の意思を代表して伝えるようなニュアンスでしたし。

例えば、おうし座のプリンセスはプリキュアを利用する事に躊躇はないが、他の女神はフワを失う事になるプリキュア達の心情を慮っている、とか、蛇遣い座のプリンセスを粛正までする必要性はないと考えている、とか女神ごとにある程度考え方の相違があればまだマシだったのですが、まあ、そこまでやるのは流石に手が余ったでしょうね。何せ12柱もいますから。

どうもこの手の販促がらみの設定は魔法使いプリキュアの宝石とミトメール妖精といい、スイートプリキュアの音符妖精といいあまりいい方向に回らないイメージが強いです。今回のスターカラーペンにしても必殺技に星座名を付与してパワーアップしているだけ、という感じでイマイチ物語上では機能していなかった気がするんです。まあ、ここら辺は割り切るしかないのかな。

ラスボスとして君臨した蛇遣い座のプリンセスですが、彼女とも最終的には和解したものの、元々酷薄であったであろう性格*10が変わった様には少なくとも表面上は見えず、若干モヤモヤが残りました。尤も、今一度私たちと一緒に宇宙を見守ろう、という12女神たちの提案を「(こんなことをしでかした私が)今更」と言って拒否しましたし、ワープゲートが使える腕輪を最後にガルオーガに渡して「仇を討ちたければ追ってこい」と言ってみたり、心情に変化がなかった訳ではないのかな? とも思わせもしたのですが。

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蛇遣い座のプリンセスは単独で今一度宇宙を見守る事を選択した訳ですが、額面通り受け取るならば、また宇宙に歪んだイマジネーションが蔓延する様なことがあれば同じことをするぞ、と言ったようにも取れる訳で、その時には12女神たちはどうするのかねー? という少し意地悪の視点で見てしまいますね。

ただ、蛇遣い座のプリンセスは悪役としては申し分なく、返す返すも登場が遅かったのが悔やまれます。ダークネストが筋骨隆々の男の姿をしていたのがノットレイダー達にとって、そして視聴者にとってもフェイクだったのは分かるのですが、何故わざわざその姿だったのか、理由は欲しかったですね。

 

変身の歌について

毎回変身の際に歌うのは流石にちょっと胸焼けしそうだな、というのが最初の素直な感想であまりいいイメージはなかったのですが、曲自体が結構良かったのとやっぱり慣れが出たおかげで中盤辺りからはあまり気にはなりませんでした。

特に4~5人バンクの合唱は結構全員の声がハーモニーになって意外と合っていた*11のが驚きでした。最初にその話のメインを張ったキャラが単独で歌い変身シーン、その後に全員のバンクとなると同時に合唱になる演出などもあり、効果的に使ったな、と思います。

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そして、やはりこの歌う変身が最後の最後で「イマジネーションの結晶」だった、という展開には唸らせられました。先日の記事でも書きましたが、歌=音楽は人間が生み出したイマジネーションの最高傑作の一つです。果たして、スタッフがそういう意図で歌う変身を選択したのかは分かりませんが、少なくとも自分にはそう感じられました。

宇宙が闇に呑まれ絶望的な状況の中でひかるが歌い始め、やがてスタプリメンバー全員が合唱する事でイマジネーションの力が復活し闇を照らしはじめ再変身を果たす、というのは「ああ、この展開のためにこそ歌う変身だったのかな」と思わせたほどで、本当によくできていました。

毎回毎回こういう変身をこの先のシリーズで続けられても困りモノかもしれませんが、こういうテーマに沿ったものであるのならば歓迎ですかね。

 

こういうのでいいんだよ。こういうので。

さて、そろそろとりとめもなくなってきたのでまとめますかね。

これは特に中盤辺りから感じた事なのですが、ある程度テーマ性を保持していればそこまで複雑なシナリオにする必要性はプリキュアシリーズではないんじゃないかな、という事です。

これは前作・HUGっとプリキュアがかなり思想的な内容で様々なテーマを盛り込んでいたが故にそのギャップとして感じた事でもあるのですが、全体的にとても分かりやすい内容だったんですよね、今作は。

例えば、ちょっと考えればダークネストが蛇遣い座がらみなのは何となく想像がつきますし(まさか筋骨隆々男の中身が女性だとは思わなかったが)、話も前半のスターカラーペン探索に星々を巡る、という展開も分かりやすいです。ネーミングから後半の探索目標だったトゥインクルイマジネーションが精神的なものである事も容易に想像がつきましたし、各キャラクターが抱える悩みも理解しやすい(これは敵方ですら)ものだったと思います。それでいてきっちり満足するものを描き切っているんですから。

もちろん、プリキュアシリーズなんて単純なストーリーでいいんだよ、という傲慢な事を言いたいわけではなく、前作との比較もあって今作は上手くメリハリが取れていたと思うのです。今後、またテーマ性を深く追求した作品が出るのも是でしょう。ただ、どちらかに連続して偏ってしまえば、それは重すぎたり軽すぎたりシリーズ全体がバランスが悪いものになってしまうと思うんですよね。

ちなみに今作は比較的複雑性はなかった、とは言っても遼じいとひかるの祖父祖母と関係性や、最後の蛇遣い座のプリンセスの態度など、想像する余地を残す深い描写もあり、決して一面的ではないんです。

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何より、最終回の最後の展開は「視聴者に想像の余地を残す」エンディングとしては傑作であり、こういうのは一年間の積み重ねが上手くかみ合ったからこそ出来た訳で、本当の良作品だったと思います。実際、最終回終了後、SNS上で「その後」も含めたファンアートが今までより多数見受けられ、こういう点でも本当に愛された作品だったのだな、としみじみしている所で今回はこれにて筆を置こうと思います。

 

最後に今後について

とりあえず、次回作「ヒーリングっど♥プリキュア」に関しましても、今作と同じく数話分を雑感としてまとめていく形で継続していこうかと思います。ただ、引っ越しが完了し、ようやく落ち着いてきたのでもう少し更新頻度を上げていきたいですね。酷い時には1か月半空けてしまいましたので。あと、私事ですがプリキュア関係の記事が次の記事で200記事に達するのですね。節目を迎えて更に気合入れていきたいと思います。よろしければお付き合いいただければ幸いです。

 

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*1:プリキュアシリーズはダブル主人公というのが多いが、これは取りも直さず初代が二人から始まった作品である事が影響していると思う。

*2:彼女は中盤以降まどかとの関連性の方が強調された。

*3:逆にえれなは後半まで顕在化はしなかったし、一気に解決までシナリオを持っていった。

*4:中の人:遠藤綾さんは当初は幹部に使うの? 勿体ないなあ、と思っていたが、全てを見終わった後は彼女で良かった、と思えるほど名演技だった。

*5:ここら辺は描き方によって色々変わる要素でもある。プリアラのエリシオやグレイブはやった事を考えると「ええ…」と思ったし、ドキプリの幹部たちは何となく憎めなさがあって「しゃあないか」と思わせる。スマプリの三幹部はピエーロの「被害者」という側面が強い。

*6:プリキュアシリーズという事でだいぶライトに描かれているが、今作は宇宙の覇権を狙う勢力との命のやり取りであった。特に前半部は。

*7:あえて言えばばサマーン星のエピソードが中盤の山場だった。

*8:実際、全滅寸前まで追い詰められた事すらある。

*9:スターカラーペンの力で助力した、ともいえるが、プリキュア達は最終決戦ではその力すら使わなかったんだよなあ。

*10:生物にイマジネーションの力は必要ない、というのが彼女の主張であり、今回の物語の発端でもある。

*11:先だって歌の変身バンクを使ったハピネスチャージプリキュアが全員とても歌が上手かったのに対し、今作では単独の場合キュアスターとキュアセレーネの歌はイマイチ…と感じたのがその理由でもある。