先日の1/31に最終回を迎え大団円で幕を閉じたGo!プリンセスプリキュア(以下、ゴプリ)。
私自身がこのブログを始めたのが去年の7月初旬だったため、ゴプリの感想をアップし始めたのは第22話「希望の炎!その名はキュアスカーレット!!」からでした。
些か中途半端なスタートとなってしまったわけですが、勿論、作品自体は最初から視聴していた訳で、ここでは1年間を振り返って、総評・まとめを行ってみたいと思います。
実は最初のイメージは最悪に近かった
いきなり不穏な見出しをつけてしまいましたが、実は私自身のゴプリの最初のイメージは今まで見てきたプリキュアシリーズの中でもかなり悪いものでした。
まず最初に鼻についたのが時折画面端にクルクル出現するレース模様でした。*1
少女漫画風に仕立てたかったのは分かりましたし、登場人物や背景をきらびやかに見せたかったの理解は出来るのですが、今までのシリーズにはなかった演出であり、正直言うと「邪魔臭い」という印象でしたね。何せ画面の2割ぐらいがレース模様で覆われてしまうのですから。
次に、プリキュアのデザインそのものが、あまりバトル向きではない丈の長いドレス状のものであった事。第一話でキュアフローラが初変身した時「いきなりファイナルモード?」と思ってしまったほど、よく言えば派手、悪く言えばバトルを含む変身系アニメには似つかわしくない、と感じました。*2
ついでに言うと、変身した後髪の毛に刺し色が入る(フローラとマーメイド)のも個人的にはあまりイメージが良くなく、放映開始当時はかなり不安視していたのを覚えています。
また、些細な指摘点ですが、前作のハピネスチャージプリキュアに「キュアプリンセス」が登場しているのに、そのネーミング? というのも少々引っかかっていました。
そして、最も違和感を感じたのは、自分たちがプリキュアになる! という事実をあっさり受け入れてポーズまで完璧にこなしてしまう演出、特にはるかとみなみはそれでしたね。
過去のプリキュアたちは初変身に際し、必ずと言っていいほど戸惑いを見せるもので、今回の何の躊躇もなくあの両手をくねくねさせるポーズを完璧にこなしてしまうキュアフローラには「オイオイちょっと待て!」とTVに向かって突っ込まずにはいられませんでした。特にキュアフローラ=はるかの場合、第一話では前向きではあるがそそっかしくドジな面の方が強調されていましたから、余計にその思いは強かったですね。
まあ、そんな感じで最初こそイメージは悪かったんですが、やはり最初のきらら回終了段階(第5話)でだいぶそのイメージも払拭はされてはいきました。プリキュアシリーズってこういう事多いな。しかし、そのきららもキュアトゥインクル初変身後「私プリキュアなんてやらなーい」と軽~くパヒュームを返す場面があり、今までにない面白いタイプのキャラクターだな、とは思いましたが好印象ではなかったですね。
成功した成長物語
そんな訳で最初こそ不安なスタートでしたが、次第にキャラクターの魅力が伝わって来て面白いと感じるようになると、今度はシナリオに注目が集まってきました。
ゴプリのテーマは色々あったと思います。が、一番の根幹にあったのはヒロインたちの成長でしたね。
ゴプリという作品は「夢」を物語の核の一つとしていました。夢を奪われ絶望してしまえばゼツボーグになってしまうし、大きな夢を持っている事がプリキュアになるための条件の一つだった訳ですから。そして、ヒロインたちが夢に向かって成長していく姿こそこの作品のメインテーマだったと思います。*3
最初こそ、明確な夢を持っているのはトップモデルになるというきららだけでしたが、最終的には海の獣医という道を見つけたみなみ、絵本作家の道を歩んだゆい、祖国を取り戻しグランプリンセスへの変身も果たしたトワ、そして本格的にモデルの道を歩むべくパリに飛び立ったきらら、と皆苦悩と努力の末に成長し、それぞれの道を進み始めました。
そして、メインヒロインのはるか。
具体的な夢は結局叶わずじまいだったとも言えます。グランプリンセスへの変身こそ成し遂げたものの、カナタとは別れ別れになりますし、そもそも彼女の夢「プリンセスになる」という事自体が具体的なものではないんですから。
それでも、作中成長が最も著しかったのははるかでした。頼りない1年生のドジッ子が最終的にはクローズに「プリキュアの要」と言わしめさせ、最後にはラスボスの元に単身乗り込む決意をした上に、今まで憧れの存在であり先輩でもあったみなみに「彼女に全て任せましょう」と一任されるほどになる、正に自他ともに認めるリーダーとして人間的にも精神的にも成長しました。*4
これは一年4クールという長いスパンがほぼ確定しているプリキュアシリーズの強みとも言えますが、長い時間をかけてじっくりはるかというキャラクターの成長を描いた証左でもあり、メインヒロインでこれほどの成長を見せたのはシリーズでもなかなかいなかったように思います。*5
活かしきれなかったサブキャラクター
プリキュアに変身するメインキャラクターの描き方は申し分なかったのですが、反面、サブキャラクターや伏線になり得そうな要素を上手く使っているとは言い難く、少しもったいなかったかな、という印象を受けましたね。
サブキャラと言えば、この作品で絶対外せないのがゆいちゃんこと七瀬ゆいであり、彼女だけはメインキャラに匹敵する役割を与えられました。
が、彼女は逆にあまりに深く描き過ぎてしまったため「なんでプリキュアにならへんの?」というまことに困った疑問が発生する事態になってしまい、実際、大きな夢の持ち主で「強く正しく美しく」というプリキュアの条件に見事に当てはまったキャラクターだっただけに余計その思いは強かったです。
それでも、ゆいにはプリキュアの物語の語り部という重要な地位が与えられましたが、逆に妖精枠に当たるアロマとパフが完全に割を食う形となってしまい、実際問題第26話以降、ほぼ活躍の場面が失われるという少々かわいそうな扱いとなりました。
他にもノーブル学園関係とホープキングダムの関連性や先代プリンセスプリキュアなど、もっと絡ませても良かったのでは…という要素が多く、トワやカナタの両親に当たるホープキングダム王・王女なども回想シーンを除けば最終話のみの登場と、ここら辺は割り切ったにしても、もう少し使い方があったのでは…と感じます。
後、結果論になりますが、カナタ王子も最終的にはるかと結ばれなかった(正確には別れ別れになってしまった)事も手伝って、あまり活躍できなかった印象が強かったです。
出番そのものこそ多かったのですが、序盤は思わせぶりな出方のみにとどまり、中盤では行方不明、発見された時は記憶喪失で、記憶が戻った後半は封印された城の調査にお出かけ状態と、ちょっとスタッフさんにわざと封じられていた感じがありましたね。まあ、あのままゴプリチーム内にとどまってはるかとイチャイチャなどしようものなら、作品としては締まらないものになっていたでしょうし、ちょうどいい距離感だったのかもしれませんが。
もったいないと言えば、全然ベクトルの違う話なのですが、パフ役に東山奈央さん、先代キュアフローラ役に藤田咲さんを起用したのは少々もったいなかった気がします。
周知の事実ですが、プリキュアシリーズは主要メンバーに抜擢されてしまうと、以降プリキュア役に選ばれるのは不可能とされているためです。*6
名前を挙げたお二人は若いながらも実力派であり、プリキュアを演じる素養が十分にあったと思うのですが、見果てぬ夢となってしまいました。特に妖精役をやった東山さんは絶望でしょう。*7うーん、やはりもったいない! まあ、ある意味藤田さんはプリキュアを演じたという事にはなるのですが…
インターネット普及による弊害?
これは些細な事なのですが、公式HPでゴプリの事を確認すると「え? そうだったの?」みたいな事が記述されていたりするのが少々意外でした。
例えば先代プリンセスプリキュアの事についてなのですが、私の記憶に間違いがなければ、あの3人に関しては作中一回も「先代のプリンセスプリキュアである」とは言われてなかったと思うのです。
また中盤から登場した敵幹部ストップ&フリーズも公式HPだと「クローズから生み出された」とされており、作中にそんなこと言及されていたかなあ、と首を傾げざるを得ませんでした。確か初登場時、ディスピアにクローズに付く様に言われていたとは思うのですが、クローズ産である表現はどこにもなかったと記憶しています。
HP等で設定を明かすのは一つのやり方だと思うのですが、やはりそういう疑問点に関しては作中で語るべき、と私は思っているので、これに関してはマイナスポイントだと感じました。
ぜーんぶディスピアが悪い!
敵側の描き方についてなのですが、特に今回の幹部に関しては思いの外コミカルな面が弱く、全体的にシリアスな面が拭えませんでした。
プリキュアの敵幹部と言えば、特にスイートプリキュア以降、どことなくドジというか憎めないというか、どこかしらに可愛い部分が存在したのですが、今回の幹部はそういう味が出ていたのはシャットぐらいのものであり、前半のやられ役でコミカル色を残していたクローズが一度倒された後の復活後に別人物と思えるぐらい陰湿な性格に変貌してしまい、また、その段階でロックは退場済み、シャットは事実上の降格と、クローズの陰湿さが前面に押し出されてしまいました。
それはそれ、今回の敵は一筋縄ではいかない、という緊張感を生み出してはいたのですが、困ったことに敵の大ボスであるディスピアもほぼ同じ性格で被ってしまっていたんですよね。
さて、このディスピアですが、オチから言うと世界中の絶望の感情が凝り固まって生まれた思念体の様な存在だったのですが、榊原良子さんの演技の上手さもあってボスとしての貫禄が半端なかったですね。
何をしても倒せない、でも倒さなくてはならない恐るべき敵、という雰囲気が良く出ていたと思います。
圧倒的な力を持っていたディスピアでしたが、最終話一歩手前でグランプリンセスに目覚めたゴプリチームの攻撃によって、今までの強さは何だったのか、と言わんばかりにあっさり消滅してしまいました。
しかし、最終話でディスピアの力を全て引き継いだクローズが立ち塞がります。
クローズとは戦いにはなるものの、キュアフローラの絶望も夢も表裏一体でありなくならないという言葉を受けて倒されるまでもなく自ら消滅してしまいました。
最終回の感想でも書いた事なんですが、ここでクローズはディスピアの影響を受けていたとはいえ完全なディスピアの傀儡ではなく、個として成立していたことを証明した訳です。
しかし、ロックとシャットは離反して生き残り、クローズもあくまでも自分の判断で消滅してしまったため、どうにもこの物語の悪の元凶がディスピア一人に擦り付けられた様なイメージを受けました。
これがいいことなのか悪いことなのかは、判断はつきかねますが…
迫力の戦闘シーン
ゴプリの大きな魅力の一つに戦闘シーンに迫力がある事がありますね。
元々、徒手空拳の戦闘の比重が大きいプリキュアシリーズですが、今回もダイナミックな殴る蹴るに派手な必殺技と魅せてくれました。必殺技の飛び道具系がキーを集めるごとに強化されていくのも見ごたえがありましたね。
また、水中戦が得意というキュアマーメイドの描き方や、時限爆弾カウントダウンなどの凝った戦闘描写もあり、飽きさせない作りになっていたのも好印象でした。
あと戦闘ではないのですが、変身シーンが非常に派手で、これに関しては前二作にあたるドキドキプリキュアとハピネスチャージプリキュアのものが比較的地味だったことも手伝って、見栄えが恐ろしく良かったです。
特にキュアトゥインクルの変身は今までのプリキュアシリーズ変身シーンでもベスト3に入る出来栄えだと個人的には感じており、毎週の楽しみでもありました。
まとめ
全体的にシナリオに大きな破綻がなく、何より前向きなヒロイン達の描写も素晴らしく、1年間飽きずに見る事が出来ました。
プリキュアシリーズって4クールという長い期間やるので、どこかに中だるみが生じてしまうのですが、これは久々に最初から最後までワクワクしっぱなしでしたね。
これはトワイライトやキュアスカーレット(トワ)を序盤から中盤に参入させられたのが上手い具合に作用したのも大きかったと思うのですが、とにかくシナリオのメリハリの付け方が上手だったと感じています。
個人的にはかなり印象に残るプリキュアになりました。こういうものに順位みたいなものをつけるのは野暮かもしれませんが、今まで見た中では2番目に良かったですね。*8
後、これは声を大にして言いたいのですが、最後に成長したメンバーの姿が出して、完全にGo!プリンセスプリキュアという一つの物語を語りつくしたのは好感持てました。
こういう、物語を完全に締めに行くというのは、簡単な様で結構難しいものです。終わりよければ全てよし、を最終回のCパートのあの短時間で表現したのは見事でした。
来週からは「魔法つかいプリキュア」が始まりますが、これもどんな物語を紡いでくれるのか今から楽しみです。
名残惜しいですが、これでゴプリとはお別れなんですね。
いや、BD買うという手段もない訳では、、、、いやいや(笑)。
それでは、ごきげんよう。
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