ふらあそ!

ゲーム好き・漫画アニメ好き・自転車好き・鉄旅好き。インドアだったりアウトドアだったりのふらふら遊び人の日記帳、略してふらあそ!

【雑記】寝台列車が消える

来年の3月、とうとう新幹線が北海度の地を踏むことになります。

喜ばしいニュースである反面、それによって最後のブルトレ北斗星が、唯一の寝台急行はまなすが、そしてこの度とうとうカシオペアの廃止が決定してしまいました。

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なんとも淋しい話です。

 

JRは車両の老朽化や牽引機関車の問題などを廃止の理由に挙げていますが、もちろんそんな事はミエミエの詭弁であり、実際は多くの人に新幹線を利用してほしいからに他ならないでしょう。

だって、新幹線って「倍の金額」が取れるんですから。

実は一昨年、初めて北海道を電車旅しました。

私は生粋の青春18きっぱーで、特急というものに今まで全然乗ったことがなかったんですが、その北海道行きの際、行きは青春18青函連絡船、道内はフリーきっぷを使用したのですが、帰りについてはまったく決めておらず、ならば、という事で日本海回り+特急で帰る事にしました。

で、今更ながらビックリしてしまいました。JRの特急ってかなり割安なんですね。一定距離以降特急料金が変わらないので、長距離になれば有利なんです。予想以上に安く帰れて今までの認識の違いを思い知らされました。

ですが新幹線の料金は特急とは別で距離でどんどん値段が上がっていきます。なので、結果的に運賃のほぼ倍になると。

寝台列車の運行が難しいことは確かに理解できます。

寝台料金による割高感もありますし、時間もかかります。長い距離を走るため、ちょっとしたことでダイヤの影響を受けます。

数年前大分から東京まで「富士」で帰ったことがありましたが、夜中に岡山の山の中で貨物列車が鹿を轢いてしまい、それが次から次へと影響して東京到着が4時間近く遅れました。要するに「富士」が通る山陽本線東海道本線は一本につながっている大動脈ですから貨物列車の遅れが阪神圏、名古屋圏、関東圏すべてに影響を与えてしまい、これらを全て通る寝台列車は大都市圏の通勤列車より優先順位が低いため、どんどん遅延していく、という構図なのです。

もちろんJRの言うように老朽化問題もあるでしょう。

 

私がヤだな、って思うのは、「選択肢」を奪うやり方をしている事。

鉄道に乗りたければ新幹線以外選択肢はないんでしょうか? ここ最近の新幹線ビジネスはただでさえこのやり方が露骨すぎて見るに耐えません。

上越新幹線の水上~越後湯沢間のボトルネック方式なんかまだマシです。昨今の第3セクター方式とその異常な運賃上げなんかは酷いです。北陸新幹線登場で北陸本線が3つの第3セクターに分かれたのは乾いた笑いしか出ませんでした。大体、東北本線経由の寝台列車の運賃が高いのも、元はといえば東北新幹線による東北本線3セク化の影響です。

更に言えば、長野新幹線の横川~軽井沢に至っては廃止に追い込まれています。もし長野新幹線を使わずに東京から軽井沢まで行きたい場合、中央本線小海線しなの鉄道というとんでもない回り道をさせられる結果になり、ご丁寧にも実質新幹線一択となっています。

難しい問題でしょう。赤字路線を粛々と抱えるのも、一部の鉄道ファンのために運行の難しい電車を走らせるのも。

でも、それでも移動の、旅の選択肢を奪うような真似はしてほしくないのです。

 

今回の北海道新幹線は鉄道で北海道で行く実質唯一の手段になるでしょう。寝台列車は全廃され、江差線は3セク化、ただでさえ青函トンネルを走る「普通電車」は今の段階ですら存在していないのですから。

随分な利益を見込んでいるようですが、果たしてそう上手くいくでしょうかね。

今までの新幹線が乗り入れた他の地域と北海道は違います。直通の普通電車もない、バスだって通っていない。フェリーだって駅から離れた非常に不便な場所から発着している。私の様な極度の飛行機嫌いならともかく、大半の人は「じゃあ飛行機で」となるでしょう。せめて函館の駅に直接乗り入れならば乗り換えなしの有利さもアピール出来たでしょうに、それすらもままならない位置に新駅設置ですもん…

新幹線はまぎれもない電車最速の乗り物ですから、旅情に訴えかける事も出来ませんよ? 旅情云々を言える電車を自ら潰したんですから。新幹線を求める効率重視の人ならば飛行機使いますって。料金の優位性だって、極端にないどころか工夫すれば飛行機の方が安いぐらいなんですから。

 

上で書いた「富士」の話なんですが、数時間遅れで静岡駅に着いた時、車掌さんが回って来て「急いでいる人は新幹線で振替するよ」って言ってくれました。

私は笑いながら、車掌さんにのんびりこのまま行くことを告げ、電車の旅を満喫しました。狭いシートに比べたらはるかにのびのび出来る寝台に腰かけて、富士山を眺めるのも悪くなかったですよ?

こういう思いが出来る電車…いや、旅そのものがどんどん減っていくのかな? そしたら今の日本の旅は昔のそれより、ほんのちょっぴり淋しくなってしまうのかもしれませんね。

 

新しく出来る電車、消えていく電車、それぞれを見ながら、このまま日本の鉄道はどこに進んでいくんだろうね、などと柄にもないことを考えたりするのです。